アルゼンチン東部メソポタミア地方に位置するパルケ・アウトドローモ・シウダード・デ・コンコルディアにて、8月31日~9月1日に開催されたFFツーリングカー選手権TC2000の第7戦は、今季よりシリーズ本格復帰を果たしたTOYOTA GAZOO Racing YPFインフィニアのエースで“5冠”王者のマティアス・ロッシ(トヨタ・カローラTC2000)が、レース1で2021年8月15日以来1112日ぶりの復活勝利を飾ることに。
続くレース2では、そのトヨタの宿敵ロッシとYPFエライオン・オーロ・プロ・レーシングのダミアン・フィネンチ(シボレーYPFクルーズ)を仕留めた“3冠”王者のリオネル・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT)が、今季3勝目を手にしている。
アルゼンチンの王者ペーニャが貫禄のTCR初優勝。プジョー308が完全制覇/TCR南米第6戦
アルゼンチンが誇る最高峰のハイテクFFチャンピオンシップは、これで2024年シーズン折り返しの一戦を迎えたが、前戦で今季初勝利を狙いながら“陣営内同士討ち”という失意の展開を喫していたロッシが、やはり「勝利こそが最高の薬」だと改めての意欲を語る。
「サンフアン以来、僕らはカローラとともに素晴らしいパフォーマンスを続けてきたが、残念ながら貴重なポイントを失っているのも事実だ」と続けたロッシ。
「まだまだ道のりは長く、最終段階に向け具体的な可能性を持って週末に挑みたいと思っている。我々には勝利が必要であり、ライバルと戦うための強力で競争力のあるクルマが手元にあるんだからね」
一方、選手権ランキング2位で乗り込んできたホンダ陣営YPFホンダRVレーシングのベルナルド・ラヴァー(ホンダ・シビックTC2000)も、シビックの10号車とともに後半戦での仕切り直しの意識を強調する。
「コンコルディアは、速く走るためには非常にフラットなバランスが必要な複雑なトラックだ。僕は半年前にここで優勝した経験があるが、その事実には何の意味もないと考えている。TC2000の技術的進歩こそがレースを作っているし、それは年間を通じてますます複雑になっていくものだから」とラヴァー。
こうして始まったFP1では、地元出身の“伏兵”としてオクタノス・コンペティションのエミリアーノ・スタン(フィアット・クロノスTC2000)が最速タイムを記録するも、続くFP2では“王者の息子”として、今季最高峰デビューから快進撃を見せる20歳の新鋭ティアゴ・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT)が、ルノーのサテライトであるディレクTV OCASAレーシングの85号車で総合最速をマークする。
■北米生まれの弱冠20歳がランキング2位に躍進。父子でシリーズを牽引
そして迎えた予選では、真打ち登場とばかりに父リオネルが躍動し、Q2ではロッシのカローラを退けて今季5回目のポールポジションを獲得。これでキャリア通算34回目の予選最速とし、アグスティン・カナピノと並ぶシリーズ歴代史上2位の記録を打ち立てた。
土曜現地17時20分から開始された20分+1ラップのレース1では、チャンピオンシップ順位に応じたシリーズ特有の“ハンディキャップ・タイムペナルティ”制度の適用により、ロッシの117号車が1番のグリッドからスタートを切る。
しかし、その経験豊富なTGRのエースもグリッド上で緊張の瞬間を過ごし、このタイミングでカローラのギヤボックスに問題が発生。幸いなことにメカニックによる懸命な作業の後、問題は解決され無事にシグナルグリーンを迎えることができた。
これでオープニングラップこそ、シボレーで奮闘するYPFエライオン・オーロ・プロ・レーシングのダミアン・フィネンチ(シボレーYPFクルーズ)に迫られたものの、これを凌いで以降は盤石なレース運びを披露。そのフィネンチとペーニャを従え、キャリア通算43勝目を“ポール・トゥ・ウイン”で飾る待望の復活勝利を挙げてみせた。
しかし明けた日曜午前11時20分開始の35分+1周では、そのフィネンチとペーニャが首位発進のロッシに逆襲する展開となり、スタート直後にはシボレーの36号車が新たなレースリーダーに浮上し、その背後にはルノーの1号車が続いていく。
さらに周回が進むにつれシリーズ“3冠”チャンピオンが底力を発揮し、7周目のシケインでインを刺しクルーズの攻略に成功。そのまま逃げた王者のフルーエンスGTがキャリア通算36勝目を飾った。
その背後では、中南米ルーキーカップ登録の息子ティアゴが3位表彰台に続き親子ポディウムを完成させると同時に、ランキングでも北米ダラス生まれの弱冠20歳が2位に躍進。父子でシリーズを牽引するスタンディングと代わっている。
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