可能な限り内燃エンジン版へ似せたい
BMWは、既存の主力車種へ並ぶバッテリーEV(BEV)をラインナップしようと考えているようだ。新しい7シリーズに合わせて、BEV版のi7が登場したことからも、その意向は理解できる。
【画像】可能な限りエンジン版へ似せる BMW i5 試作車 競合のBEVサルーン 現行5シリーズも 全138枚
8代目となる新しい5シリーズの発表が、2023年後半に予定されている。そのラインナップの重要な一翼を担う存在として、BEV版のi5も開発は大詰めにある。
トラディショナルなデザインと、現代的なデジタル機能、フレキシブルなドライブトレイン設計、バランスに長けたドライビング体験の4点に注力したと説明するのは、アンドレアス・ホルジンガー氏。次期5シリーズの、プロジェクトリーダーを務める技術者だ。
「5シリーズを選ぶなら、BEVでも従来的な内燃エンジン車でも、5シリーズらしいクルマにしたいと考えました。ゴールは、可能な限り両者を似たものにすることです」
カモフラージュされているが、写真をご覧いただけば、i5が従来的な3ボックス・シルエットを維持していることがわかる。ボンネットは長く、大きなキャビンを長いルーフが覆い、滑らかにトランクリッドへ続いている。
BEV版も内燃エンジン版も、ボディパネルは基本的に共有するという。だが、フロントグリルや空力特性に優れたホイールなど、視覚的な差別化もパワートレインの違いで図られるらしい。
基礎骨格は改良版クラスター・アーキテクチャ
インテリアにもカバーがかけられていたが、i5のダッシュボードはi7ものと共通することは間違いないだろう。インフォテインメント用とメーター用、2枚のモニターを一体にしたパネルが、軽く弧を描き上部に据えられている。
ステアリングホイールは、スポーク部分にタッチセンサーが備わるマルチファンクション。リムが太い。
インフォテインメント・システムのiドライブは、バージョン8.5という最新版が実装される。無線アップデート機能のほか、ハンズオフでの車線変更機能も盛り込まれるとか。
i5が基礎骨格とするのは、改良版のクラスター・アーキテクチャ。内燃エンジンを積む5シリーズとも共有する。
ただし、81kWhの駆動用バッテリーが敷き詰められるフロア部分は、i5の専用設計。また、リアシート側の空間は通常の5シリーズと比べて若干狭く、車内にはトランスミッション・トンネルの峰がある。ドライビングポジションは同等だそうだ。
パワートレインの構成は、当初2種類。ツインモーターで598psを叶えた四輪駆動のM60と、シングルモーターで339psのeドライブ40という構成。急速充電能力は、ともに最大200kWまで対応するとのこと。
いわずもがな、ライトなMモデルとなるM60の場合、動力性能は同カテゴリーでトップクラス。今回プロトタイプを試乗させていただいたBMWのテストコースでも、その能力に疑う余地はなさそうだ。
ブースト機能で最大10秒間598psを発揮
軽くアクセルペダルを傾けている限り、駆動用モーターは線形的で滑らかにパワーを発揮。優雅とさえ感じる流暢さで、安楽にクルージングできる。
右足へ力を込めると、息を呑むダッシュ力が放たれる。ほぼ無音状態で。i5には、内燃エンジンのエグゾーストノートを模した合成音の再生機能も備わるが、乗り手によって必要性は異なるだろう。
ドライブ・セレクターがDの時は、回生ブレーキは最小限。アクセルペダルを放すと、スルスルと惰性走行する。Bを選ぶと回生ブレーキが明確に効くようになり、ブレーキペダルを踏まずとも停止までできる、ワンペダルドライブが可能だ。
ステアリングホイールにはパドルが装備され、そこにはブーストと記されている。指で軽く弾くと最大10秒間、598psの本領が発揮される。メーターパネルに残り時間が表示される、カウントダウン機能も付く。
出だしは強烈。速度域が上がっても、相当にたくましい。必ずしも運転の楽しさに直結するわけではないとはいえ、すこぶる速い。
試乗車のi5 M60には、BMWアダプティブMサスペンション・プロフェッショナルと呼ばれるパッケージが選ばれていた。フロントはスチールコイル、リアがエアスプリングに、アダプティブダンパーが組み合わされる内容だ。
更に、ボディロールを電子的に制御するオプションも搭載されていた。こちらは、ダイナミック・ドライブと呼ばれる。
テールを振り回せるリアアクスル主軸の特性
スポーツ・モード時は、操縦性は極めてニュートラル。フロントタイヤのグリップ力と低い重心位置により、i5は素晴らしい敏捷性を披露してみせた。
コーナーでは、早期のアンダーステアに見舞われることも皆無。緩いコーナーを、高い速度域を保ったまま不安感なく旋回できる。優れたトラクションと即時的なパワー展開を活かし、アクセルペダルでの姿勢制御も可能だ。
ステアリングラックは可変レシオ。BMWらしい適度な重みが伴い、特に切り初めの精度は秀逸。フィードバックも充分にある。
アクティブ後輪操舵システムを搭載し、リアアクスル側も回頭性をアシスト。連続するカーブを滑らかにこなす流暢な身のこなしと、クルマとの一体感を高めるコミュニケーション能力を備えている。チャレンジングな道でも、自信を持って操れる。
スタビリティ・コントロールの介入を遅くすると、リアアクスル主軸の特性が顕に。タイトコーナーでは、存分にテールを振り回すことも難しくない。条件が許せば、グリップ力を打ち破る太いトルクで、派手なドリフトに興じることもできそうだ。
乗り心地にはコシがあるが、ダンパーの吸収能力は高く、うねりを越えても揺れが残ることはない。横方向のロールや縦方向のピッチングも、しっかり抑制されている。高速域でもボディはフラットに保たれていた。
荒れた舗装ではロードノイズが大きめに響くものの、耳障りなほどではない。洗練性は高いといえる。
穏やかな特性で親しみやすいeドライブ40
M60の能力は間違いなさそうだが、多くの支持を集めるのは後輪駆動のeドライブ40だろう。339psと不足なくパワフルだが、穏やかな特性で親しみやすい。
今回はこちらにも短時間試乗できた。フロント側の駆動用モーターが存在しないぶん、ステアリングの反応はより正確。アダプティブではない通常のダンパーが組まれていたが、落ち着いた乗り心地も叶えていた。
内部抵抗が減り、車重も軽くなるため、エネルギー効率にも優れる。航続距離は、M60より僅かに長いという。
内燃エンジン版の5シリーズとプラットフォームを共有することで、BEV専用のそれを採用したモデルと比較して、i5に妥協がないわけではない。それでも動力性能や乗り心地、洗練性、エネルギー効率などは間違いなく優秀といえそうだ。
量産版に試乗できるのは半年ほど先になるが、i5が訴求力のあるモデルになることは想像に難くない。その証拠の断片を、確かめられたと思う。
BMW i5 M60 プロトタイプのスペック
英国価格:8万5000ポンド(約1368万円/予想)
全長:−mm
全幅:−mm
全高:−mm
最高速度:225km/h
0-100km/h加速:3.8秒(予想)
航続距離:436-516km
電費:4.6-5.6km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:2500kg(予想)
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:81kWh
最高出力:589ps
最大トルク:−kg-m
ギアボックス:シングルスピード・リダクション
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みんなのコメント
逆が理想だけどそれは無理でしょう。
重いのに。