10月26日(木)から11月5日(日)にかけて開催された「ジャパン モビリティショー2023」で発表された新型車を深掘り! 中国のBYDが展開するプレミアムブランド、仰望(ヤンワン)の大型SUV「U8」がスゴかった!
驚異の360度ターン
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ジャパン モビリティショー2023で展示されていた電動SUV、ヤンワン・U8は、今、世界で大いに注目されている1台だ。
全長5319mm、全幅2050mm、全高1930mmのボディを、3050mmのホイールベースをもつシャシーに載せている。本国での価格は、なんと100万人民元! 2023年10月のレートで約2055万円だ。
内容にも驚く。4輪にひとつずつモーターが組み込まれた、いわゆるホイールインモーターを採用。880kWの最高出力と、1280Nmの最大トルクで駆動される。満充電での走行距離は1000km。モビリティショー会場で、レクサスが2026年発表予定としてお披露目した「LF-ZC」で「実現目標」(トヨタ自動車のエンジニア担当者)としたのと同距離だ。
もうひとつ、驚くべき点がある。ホイールインモーターは、トルクベクタリングとして働き、車両のコントロール性を高める。それだけでない。1輪ずつ制御できる利点を活かし、左右で回転を逆にすることで、その場で車体を360度回転出来るのだ。小回りとかそういう次元を超越している。これをヤンワンでは「タンクターン」と、名づけている。タンク、つまり戦車や油圧ショベルなど大型車両が、左右のキャビラーを逆方向に回転させて狭い場所でも向きを変える”超信地旋回”からとったものだ。
「4輪を別々に制御するアイディアは、クルマを手がけたときから、頭の中にありました」
BYDの創業者である王伝福(Wang Chuan-fu)総裁は、2023年1月、U8を公開したとき、上記のように述べていた。
「発想の原点は、動物のチーターに見られるような姿勢制御。チーターが4本の脚を動かすように、四輪を独立して制御するのが、安全と性能の両面における究極だと思っていました。そして、モーター、バッテリー、コントローラーという3つの技術が、20年のあいだに進化したことで、現実のものにすることができたのです」
もし1輪がパンクしても、影響を受けることなく3輪でそれまでと同等のパフォーマンスを発揮できるそうだ。水に浸かってもバッテリーが影響を受けない防水性もきちんとそなえているという。
興味深いのは、究極の走行状況下で、もしステアリングシステムとブレーキシステムが故障しても、モーター駆動によりある程度制御が可能ということ。モーターの逆回転を利用し、100km/hから40m以内で制動。ヤンワンによると、これは軽量なコンパクトカークラスの制動距離だそう。
ヤンワンU8に使う「e4プラットフォーム」の実力ぶりは、BYDの相当な肝煎りの出来なのだ。
2000万円だろうが、それ以上だろうが。押出しの強い独特なスタイルと、世界に類のない性能をそなえたU8のニーズは高そうだ。
ジャパン モビリティショー2023の会場で、日本導入の計画を尋ねたところ、「予定はありません」(BYDオートジャパンのマーケティング担当者)とのことだった。
まず本国の受注を満たし、生産計画が順調に進んだら、日本導入もあるかもしれない。それはまだ先なのが、惜しい。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)
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みんなのコメント
気持ち悪いぐらいのべた褒めですね。
中国製にEVなんて命がいくらあっても足りない。