SUVといえば、背が高くて見切りがいいので運転しやすく、荷物も載せられるファミリーカーといったイメージが強い。およそスポーツカーとはかけ離れた存在なのかもしれない。とはいえ、SUVに高性能を求める方もいらっしゃるだろう。ここではコンパクト、ミドル、ハイエンドを代表する3台のハイパフォーマンスモデルをピックアップ。それぞれの魅力を紐解いてみた!
バラエティに富んだスポーツSUVの選択肢
他のアウディSモデルにも全く引けを取らない洗練された走りを堪能!「アウディSQ2」【JAIA輸入車試乗会】
ひと昔前のSUVを取り巻く“泥臭さ”や“ヘビーデューティ”のイメージはすっかり影を潜め、最近では“高級”や“スポーティ”など以前の風情とは対極にある言葉で表現されるようになった。SUVならではの機能性で選んでいる人だってもちろんいるだろうが、「ああいうカタチをしたクルマに乗りたい」というのが息の長いSUVブームの根源的動機と推測できる。
スポーツSUVに限っても、そのバリエーションはボディサイズでも性能面でも価格面でも実にバラエティに富んでいて選択肢は広い。スポーツカー並みの動力性能や操縦性を備えたSUVをボディサイズ別に「大中小」と揃え、それぞれの魅力を詳らかにしてみようというのが今回の企画である。
3台の中でもっともコンパクトなSQ2はQ2のハイスペックモデルである。全長4220mm、全幅1800mm、全高1525mm、ホイールベース2595mmのボディサイズは、Q3より220mm短く30mm狭く70mm低いが、ホイールベースはわずか10mmしか短くなっておらず、Q2のほうが全長/ホイールベース比で比べるとロングホイールベースであることがわかる。実際、外観の見た目以上に室内には余裕がある。
SQ2の直列4気筒ターボエンジンは“DNU型”で、ゴルフGTIと基本的に同じユニットである。ロングストローク型なので、シュンシュンと軽々レブリミットまで回るタイプではないもののレスポンスは決して悪くなく、息の長い出力特性が特徴的だ。日本仕様のQ2では唯一のクワトロ(4WD)で、後方にデフとドライブシャフトを置くため、リアサスペンションはFFのトレーリングアームからダブルウイッシュボーンにコントロールアームを追加したマルチリンク式に改められている。“Sスポーツサスペンション”と呼ばれる専用のばねとダンパーが装着されていて、乗り心地は明らかに硬め。ダンピングレートと減衰力がばね上の動きを素早く収束させる設定になっている。高速道路の継ぎ目などでは身体が上下に揺すられる回数が多いものの、入山して九十九折りを行けば、ステアリングを何度も切り返しても路面に張り付くスタビリティの高さを見せつける。
300ps/400Nmのパワーは1570kgのボディを動かすには十分すぎるほどで、シートへ押さえ付けられるくらいの加速Gが容易に体験できる。一方で、右足を丁寧に動かせば紳士的な動力性能も可能となる。1800mmの全幅がもたらす取り回しのよさといざというときのパワフルな瞬発力、そしてアウディらしい清潔感ある佇まいのSQ2に乗っていると“スマートな選択をしたオーナー”に見えるかもしれない。
浮世離れした2台のイタリアンSUV
アルファロメオ・ステルヴィオはSUVの格好をしたスポーティカーで、そのクアドリフォリオはスポーツカーだと思っている。クアドリフォリオの試乗会でドバイに招かれた時、アルファのスタッフに「砂漠には絶対に入らないでください」と言われ、用意されていた試乗ルートは高速コーナーの続く峠道だった。作り手側が端っからステルヴィオにオフロードの走破性など必要ないと考えていたことがその時わかったからだ。
アルファロメオのエンジン縦置きプラットフォームは“ジョルジョ”と呼ばれ、ジュリアと共にデビューを果たした。ステルヴィオもまたこのジョルジョを使用しているので、基本的なコンポーネントはジュリアと共通である。一方で、リアに置かれた電子制御式ディファレンシャルとQ4(4WDシステム)を組み合わせたアルファ初のモデルでもある。
V6エンジンは510ps/600Nmものパワーを発生するが、Q4が4輪へしっかりと駆動力を振り分けるので、乱暴なドライバビリティにはならない。しっかりと路面を捉えるトラクション性能には目を見張る。とはいっても、通常の駆動力配分はほぼ0:100のFR。必要な時だけ前輪を駆動するので、FRらしいシャープでスッキリとしたハンドリングも味わえるところがステルヴィオの最大の魅力だろう。
電子制御式ダンパーとばねの組み合わせによるサスペンションは思ったほど締め上げられておらず、適度にばね上を動かしながらスムーズな荷重移動を促すセッティングだ。これにより乗り心地は望外によく、グランドツーリングも難なくこなしてくれる。ボディサイズの割に室内空間がタイトなところにも、ステルヴィオをスポーツカーの仲間に加えようとするアルファの割り切りが現れている。
たまたまSQ2の次にウルスに試乗したら、ステアリングのスイッチ類がSQ2とまったく同じでちょっと興醒めしてしまったけれど、センタコンソールに目を移せば、そこには紛れもないランボルギーニの宇宙が広がっていた。赤いカバーに隠れたエンジンスタートボタンをはじめ、ドライブモードスイッチに「ANIMA(魂)」、個別設定モードスイッチに「EGO(自我)」と付けるネーミングセンスなどは、ランボルギーニだから許される演出である。
エアサスと電制スタビライザーと後輪操舵などの飛び道具も効果もあり、ウルスは面白いようによく曲がり、スタビリティも異様に高い。カイエンやベンテイガと同じV8ツインターボでも、650ps/850Nmという最強のパワースペックを与えられたウルスの加速力は完全にスポーツカーのそれである。「SUVでもこんなことができるのか」と、ウルスに乗る度にランボルギーニの技術力の高さを思い知らされてしまう。
エンジンの吸気音やメカニカル音が前から聞こえるのを除けば、ウルスは車高の高いウラカンに乗っているようでもあった。あまりにも浮き世離れし過ぎていて、もし自分がウルスを手に入れたらなんて想像する気も起こらないけれど、世知辛い世の中においてスカッとした気分にさせてくれることだけは確かである。
【Specification】AUDI SQ2
■全長×全幅×全高=4220×1800×1525mm
■ホイールベース=2595mm
■車両重量=1570kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ターボ/1984cc
■最高出力=300ps(221kW)/5300-6500rpm
■最大トルク=400Nm(40.8kg-m)/2000-5200rpm
■トランスミッション=7速DCT
■サスペンション(F:R)=ストラット:ウイッシュボーン
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ(F:R)=235/45R18:235/45R18
■車両本体価格(税込)=5,990,000円
お問い合わせ
アウディジャパン 0120-598-106
【Specification】ALFA ROMEO STELVIO 2.9 V6 BI-TURBO QUADRIFOGLIO
■全長×全幅×全高=4700×1955×1680mm
■ホイールベース=2820mm
■車両重量=1910kg
■エンジン種類/排気量=V6DOHC24V+ツインターボ/2891cc
■最高出力=510ps(375kW)/6500rpm
■最大トルク=600Nm(61.2kg-m)/2500rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション(F:R)=Wウイッシュボーン:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=255/45R20:285/40R20
■車両本体価格(税込)=11,890,000円
お問い合わせ
FCAジャパン 0120-779-159
【Specification】LAMBORGHINI URUS
■全長×全幅×全高=5112×2016×1638mm
■ホイールベース=3003mm
■車両重量=2200kg
■エンジン種類/排気量=V8DOHC32V+ツインターボ/3996cc
■最高出力=650ps(478kW)/6000rpm
■最大トルク=850Nm(86.7kg-m)/6800rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション(F:R)=マルチリンク:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=285/45R21:315/40R21
■車両本体価格(税込)=29,177,555円
お問い合わせ
ランボルギーニジャパン 0120-988-889
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みんなのコメント
No,the TOYOTA Land Cruiser is so famous that many riches own this fine car,especiailly in the middle east countries. These cars in this article can't drive through a desert,can they?笑う