日本自動車販売協会連合会が発表した2021年5月の新車販売台数を見るとミニバンは、7位のトヨタアルファードをはじめ、8位のトヨタヴォクシー。そして10位にホンダフリードとベスト10に3台もランクインしている。
ベスト20まで広げると、12位トヨタシエンタ、13位日産セレナ、16位トヨタノアと全6台がランクインしている。ファミリィカーの定番として安定したミニバンがある一方で、先日、ホンダオデッセイが2021年で生産終了が発表され驚かされたばかり。
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しかし、国産車メーカーのなかにはマツダのようにかつては、MPV、ビアンテ、プレマシーと3車種用意していたが、2016年にMPV、2018年にビアンテ、プレマシーが販売終了となりミニバンが商品ラインアップから消えている。
かつては隆盛を誇ったミニバンにとって変わってSUVがブームになっているが、やはり家族持ちにはミニバンがいいという人も多いのではないだろうか。
そこで今回は、すでに生産終了もしくは生産終了予定のミニバンのなかから、「もう一度乗ってみる価値あり」という、エスティマ、オデッセイ、エクシーガの3車種をピックアップし、現在の中古車相場などを紹介する。
文/萩原文博
写真/トヨタ ホンダ スバル
【画像ギャラリー】新車では買えないけど乗ってみる価値アリ!! 一時代を築いたミニバン3選
■背の低い走りのいいミニバンとして存在感のあるオデッセイ
ミニバンブームの火付け役となった初代オデッセイ(1994年10月~1999年10月)。ボディは当時のアコードがベースとなっている
初代オデッセイの中古車情報はこちら!
まずは、先日、2021年12月をもって生産終了が発表されたばかりのホンダオデッセイから。
ホンダの高級ミニバンとしてオデッセイは1994年10月に登場した。開発費と生産工場の関係で、当時流行していた背の高い1.5BOXのミニバンではなく、乗用車アコードのプラットフォームを流用して開発。車高を低く抑えたことで、従来のミニバンとは一線を画した乗り心地や走行安定性を実現し大ヒット。現在のミニバンブームの火付け役となったモデルだ。
2代目オデッセイ(1999年10月~2003年10月)。オデッセイのスポーツグレードとしておなじみのアブソルートは2代目で初登場
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1999年10月にフルモデルチェンジを行い、2代目オデッセイが登場。外観は初代を受け継いでいるが、ボディ剛性を大幅に向上させ、よりスポーティな色彩が強まった。特に3LV6エンジンを搭載したプレステージは、ミニバンとは思えないダイナミックな走りを実現している。
2001年のマイナーチェンジで、ローダウンサスなどを採用したスポーティグレードのアブソルートを設定。これ以降、オデッセイのスポーティモデルの名称として定着した。
3代目オデッセイ(2003年10月~2008年10月)。全長4765mm、全幅1800mm、全高は機械式駐車場に入る1550mm。低床で走りのいいミニバンとして高い評価を得た
3代目オデッセイの中古車情報はこちら!
2003年10月に3代目オデッセイが登場。新開発の低床プラットフォームを採用し、全高1550mmに抑えることで、都市部に多い機械式立体駐車場に対応した優れたパッケージングが特徴。搭載するエンジンは2.4、直4の1種類だが、スポーティモデルのアブソルートはハイオクガソリン仕様で最高出力200psを発生する。
4代目オデッセイ(2008年10月~2013年10月)
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2008年10月にフルモデルチェンジを行い、4代目にスイッチ。立体駐車場に対応した優れたパッケージを継承しながら、ボディ剛性やサスペンションに磨きを掛けて、さらに走行性能を向上させている。搭載するエンジンも先代と同じ2.4L、直4の1種類だが、標準モデルとアブソルートでは仕様が異なっている。
このモデルが販売されているあたりから、ミニバンはリアスライドドアのほうが利便性は高い。というのがユーザーに浸透し、販売台数に陰りが見え始めた。
5代目オデッセイ(2013年11月~)。写真はマイナーチェンジ前のモデル
5代目現行オデッセイの中古車情報はこちら!
そして、2013年11月に5代目となる現行モデルが登場。上級モデルのエリシオンとの統合により、オデッセイとしてはシリーズ初のリアスライドドアを採用した。オデッセイ特有の「超低床プラットフォーム」も大幅に刷新され、全高は先代より高くなっているものの、重心高をできるだけ低く抑えることで、オデッセイらしい走行性能をキープした。
搭載するエンジンは、次世代環境技術「EARTH DREAMS TECHNOLOGY」を投入した2.4L、直4。標準車、アブソルートともに使用燃料はレギュラーガソリンとなったが、アブソルートには直噴技術を採用し、最高出力を高めている。
2015年の一部改良からホンダ独自の安全運転支援システム「ホンダセンシング」を採用。2016年には2Lガソリンエンジンと駆動・発電を行う2モーターを組み合わせたハイブリッドシステム搭載車を設定。そして2017年にはマイナーチェンジで「ホンダセンシング」が全車標準装備され安全装備が充実している。
2020年11月にビッグマイナーチェンジを実施した。大規模なフェイスリフトと「脱オラオラ顔」で精悍な印象に
2020年11月にビッグマイナーチェンジを行い、内外装が変更。特にフロントマスクは大きなグリルを装着し、押し出し感を強めた。このビッグマイナーチェンジで、低迷していた新車販売台数も回復を見せていたにもかかわらず、生産終了がアナウンスされた。
オデッセイの生産終了は、なんといっても初代モデルから生産してきた狭山工場の閉鎖が大きな理由だろう。そして、ホンダの脱エンジン宣言も影響は大きい。そうしたことが重なりアルファードが一強となっているフラッグシップミニバンで、オデッセイはその役割を終えたと言えるかもしれない。
現在オデッセイの中古車は2850台流通している。そのうち初代モデルは5台で価格帯は約33万~68万円。平均価格は約34.5万円だ。2代目モデルの流通台数は17台で、平均価格は約30万円。
中古車の価格帯は約14万~約79万円となっている。3代目モデルの流通台数は約290台とグンと増える。平均価格は約31.5万円で、価格帯は約8万~約121万円。そして4代目は530台流通していて、平均価格は約54万円。価格帯は約15万~約198万円となっている。
そして、現行モデルは歴代オデッセイの中で最多の約1950台を誇り、平均価格は約223万円。中古車の価格帯は約38万~約460万円と幅広くなっている。
最安値は3代目だが、歴代モデルすべてが50万円以下で購入できるという珍しいクルマだ。個人的にはステーションワゴン感覚で使える立体駐車場に対応した優れたパッケージが特徴の4代目を100万円以下で購入するのがオススメだ。
■一時代を築いたエスティマも2019年5月に生産終了
1990年5月にデビューした初代エスティマ。卵型の丸みを帯びたフォルムが特徴
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続いては、2019年5月に生産終了したトヨタエスティマだ。ミニバンで、いち早く強いブランド力を発揮し、ミニバンのドレスアップブームの火付け役となったモデルだ。
スポーツモデル一色だったカスタムカーショーをミニバンのドレスアップに変えた立役者でもある。「天才たまご」のキャッチコピーで初代エスティマがデビューしたのは1990年5月。タマゴをイメージさせるワンモーションフォルムのボディに、2.4L、直4エンジンを75度寝かせてミッドシップに搭載するという手品のようなレイアウトを採用した。
商用モデルをベースとしておらず、サスペンションにはフロントがマクファーソンストラット、リアにダブルウィッシュボーンという4輪独立懸架を採用し、他のモデルと差別化を図った。
3ナンバーサイズのエスティマに対し、5ナンバーに収めたエスティマエミーナ
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エスティマエミーナの兄弟車エスティマルシーダ
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1992年1月には5ナンバーサイズに抑えた、エスティマエミーナ/ルシーダを発売し、大ヒット。1994年8月の一部改良で、搭載するエンジンにスーパーチャージャー付きが設定。1998年1月のマイナーチェンジで外観デザインを変更すると同時に、エアロパーツを装着したアエラスを設定した。これ以降エスティマのエアロ装着グレードはアエラスとなる。
2代目エスティマ。2001年6月にはモデル初のハイブリッドを設定
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2000年1月にエスティマは初のフルモデルチェンジを行い、2代目にスイッチ。先代のミッドシップからカムリベースのFFに駆動方式が変更された。これにより搭載するエンジンは2.4L、直4に加えて、オデッセイプレステージに対抗し、3LV6エンジンを追加した。この2代目モデルから両側スライドドアとセンターメーターを採用し、これは最後まで引き継がれる。
そして、2001年6月にミニバンでは初となるハイブリッドのエスティマハイブリッドを追加した。2.4Lエンジンのハイブリッドシステムは、10・15モード燃費で18.0km/Lという優れた燃費性能を発揮。また、最大1500Wの発電機能により家庭用電気機器も使用でき、高い利便性が話題となった。2003年にマイナーチェンジを行い内外装の変更を行っている。
3代目エスティマは2006年に登場し、2019年まで生産されたロングセラー
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3代目の最終モデルは2006年1月に登場し、13年というロングセラーモデルだった。RAV4などと共通の新MCプラットフォームを採用しているが、リアは専用設計となった。外観デザインは先代モデルのアップグレードだが、ルーフが浮いているように見える「フローティングルーフ」を採用。
搭載するパワートレインは最高出力280psを発生する3.5LV6をはじめ、2.4L直4そして2.4直4エンジン+モーターのハイブリッドの3種類。ハイブリッド車の燃費は10・15モード燃費で20.0km/Lまで向上している。
マイナーチェンジは2008年、2012年そして2016年に行い、2016年のマイナーチェンジでは、衝突回避支援パッケージの「トヨタセーフティセンスC」を全車に標準装備し、安全性を向上させた。その一方で、3.5L、V6エンジンを廃止し、グレードもアエラスに1本化されるなどモデルの統廃合を行った。
2016年6月にマイナーチェンジしたエスティマ「4型」
エスティマが廃止されたのは、2020年5月に行われたトヨタの販売チャンネル統合を見据えた車種整理が大きな要因。また、ミニバンの主力がアルファード/ヴェルファイアとハコ型に移行し、ワンモーションフォルムのエスティマのニーズが薄れたことが挙げられる。
現在、エスティマの中古車は2300台。エスティマハイブリッドは450台流通している。そのうち、初代エスティマは11台流通していて、平均価格は約57万円。価格帯は約20万~約110万円となっている。
2代目エスティマはガソリン車が91台流通していて、中古車の平均価格は約31.5万円、価格帯は約10万~約100万円。ハイブリッドは約10台流通していて、平均価格は約54.7万、価格帯は約15万~約80万円となっている。
現行型、3代目のガソリン車は2090台と非常に豊富で、平均価格は約78.4万円。価格帯は約10万~約500万円と幅広い。ハイブリッドの中古車の流通台数は413台で、平均価格は約132万円。価格帯は約20万~約479万円となっている。100万円台の中古車の豊富で探しやすいのが魅力。
■貴重なワゴン派生型の7人乗りミニバン、エクシーガ&エクシーガクロスオーバー7
2008年6月に登場したエクシーガはステーションワゴン型の7人乗りミニバン
エクシーガの中古車情報はこちら!
最後に紹介するのはスバルエクシーガ。エクシーガはインプレッサをベースとした7人乗りのステーションワゴン派生モデルで、2008年6月~2018年3月(エクシーガクロスオーバー7含む)まで販売された。「7シーターパノラマツーリング」をコンセプトに走りの良いミニバンとして登場した。
搭載するエンジンは最高出力225psを発生する2L水平対向4気筒ターボと2L自然吸気の2種類。2009年のマイナーチェンジで自然吸気エンジン車のトランスミッションをCVTに変更。2009年の年末には2.5Lエンジン搭載車を設定した。2011年にマイナーチェンジを行い、内外装を変更。2012年に行ったマイナーチェンジでは、2.5Lを新世代エンジンに変更し、その後エクシーガとしては2015年4月に一旦販売終了する。
2015年4月、エクシーガ販売終了に伴って発売されたエクシーガクロスオーバー7。全幅を1800mmに拡大し、最低地上高を170mmに上げてミニバンとSUVの要素を掛け合わせた
エクシーガクロスオーバー7の中古車情報はこちら!
そして2015年4月に、エクシーガクロスオーバー7として再出発。専用のサスペンションの採用により最低地上高を170mmに上げつつ、前後バンパーやホイールアーチ、サイドシルにクラッディングを施したクロスオーバーSUVとなった。
搭載するエンジンは、2.5L水平対向4気筒自然吸気の1種類で、運転支援システム、アイサイトver.2を搭載している。その後特別仕様車の発売や一部改良を行うが、2018年3月に販売終了となる。
廃止となった理由として考えられるのは、SUVに押されてステーションワゴンの人気が落ち込んだこと。そして、ミニバンと比べると居住スペースが狭いことが挙げられる。
現在、エクシーガの中古車は390台流通していて、平均価格は約46.5万円。価格帯は約13万~約198万円。そしてエクシーガクロスオーバー7の中古車は73台流通していて、平均価格は約178万円。価格帯は約87万~約299万円となっている。
エクシーガは7人乗りとして考えるより、荷室の広いステーションワゴン。もしもの時に7人乗りと割り切って考えると、キャラが立ってくる。特にエクシーガ時代の2Lターボを搭載したGTの走りはスポーティそのもの。歴代レガシィに近い走りを味わえる。
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