ライバルひしめくミニバン市場においてフリードが2022年暦年のミニバン販売台数NO.1を達成した。「え、フリードが? なんで」と思っても無理はない。2016年9月発売のフリードがモデル末期にも関わらず、2022年に発売したノア&ヴォクシー、シエンタ、セレナを抑えての1位だったからだ。そこで、フリードがなぜNO.1になったのか? ホンダやフリードオーナーから話を聞いてみた!
文/ベストカーWeb編集部、写真/ベストカーWeb編集部、ホンダ
2022年ミニバン販売NO.1は意外にもフリードだった!! オーナーが本音で語る「売れた理由」と「不満点」
■現行フリードのデビューは2016年9月! モデル末期でも売れたワケ
暦年新車販売台数で初めてミニバン1位を獲得したフリード。ボディサイズは全長4365×全幅1695×全高1710mm。5ナンバーサイズでちょうどいいサイズ!
ホンダが2023年1月13日、フリードが2022年暦年のミニバン新車販売台数において1位を達成したと発表。
このニュースを聞いた時、正直に言えば、「あれ、フリードが? 去年ミニバンは新車ラッシュだったのに凄いな」と呟いたほど、意外だった。
2022年を振り返ると、新型ノア&ヴォクシー(2022年1月13日発売)や新型ステップワゴン(2022年5月27日発売)、新型シエンタ(2022年8月23日発売)、さらに新型セレナ(2022年12月22日発売)と、ミニバンの新車ラッシュだった。
そんな状況のなかでミニバン販売1位というのは凄いことだ。今回フリードは初めて暦年販売台数1位を獲ったそうだが、過去5年間はどうだったのか、ミニバン販売1位のクルマとフリードは何位だったのか調べてみた。
●2022年:ミニバン1位/フリード(7万9525台)、ミニバン2位/シエンタ(6万8922台)、ミニバン3位/アルファード(6万225台)、ミニバン4位/ノア(5万7696台)、ミニバン5位/セレナ(5万7513台)、ミニバン6位/ヴォクシー(5万5545台)、ミニバン7位/ステップワゴン(3万7966台)
●2021年:ミニバン1位/アルファード(9万5049台)、ミニバン3位/フリード(6万9577台)
●2020年:ミニバン1位/アルファード(9万748台)、ミニバン2位/フリード(7万6283台)
●2019年:ミニバン1位/セレナ(9万2956台)、ミニバン3位/フリード(8万5596台)
●2018年:ミニバン1位/セレナ(9万9865台)、ミニバン4位/フリード(8万4121台)
※自販連調べ
2022年のミニバン販売台数を見ると、フリードは7万9525台と2位のシエンタに1万603台の差をつけて1位となった。2022年上半期の段階で1位となっていたフリードが安定した強さを見せつけた感じだ。
現行フリードは2016年9月に登場。2019年8月には、エクステリアのデザイン変更をメインにSUVテイストのクロスターを追加。
アウトドアテイストのフリードクロスター
2022年6月にはボディカラーの入れ替えやグレードラインナップの変更などが行われた一部改良に加え、特別仕様車「BLACK STYLE」が追加された。
ここで、ホンダ広報部にフリードの人気グレードや人気のボディカラー、ハイブリッド/ガソリン車の販売割合を聞いてみた。
●フリードの人気グレード上位3位
1位:HYBRID G
2位:G
3位:HYBRID G 特別仕様車 BLACK STYLE (2022年6月より発売)
●フリードの人気ボディカラー上位3位
1位:プラチナホワイトパール
2位:クリスタルブラックパール 3位:フィヨルドミストパール
●フリード、フリード+の割合
フリード 75%
フリード+ 25%
●ハイブリッド車、ガソリン車の割合
ハイブリッド車 55%
ガソリン車 45%
※直近6カ月のデータ
フリードの購入層については、30~40代のステップワゴンに対し、20~30代がメインでフリードの購入層のほうが若く、子育てファミリーが中心とのこと。女性比率についてはステップワゴンの3割に対して、フリードのほうが4割と、女性比率が高くなっている。
さらにフリードを選んだ理由、どんな使い方をしているかなどのデータを出してもらったのが以下の通り。
●購入したユーザーの具体的な購買理由
・シンプルなデザインが良い
・小回りがきき運転しやすい
・室内が広くスライドドアで使いやすい
・いざという時に大人数乗れるのがいい(3列目シートの質感も良い)
・子供の部活の道具など荷物を積むのに使っている(ウォークスルーで快適)
・平日はママ運転で送迎や買い物、週末はパパの運転で家族でお出かけする
実際に成約したお客様アンケートでは、広い室内空間や居住性が、フリードの購入を決めた、一番の人気の理由だそうだ。
ガソリン車フリードGのコクピット
■フリードオーナーに聞いた「いい部分」
ベストカー本誌編集部員、馬場にフリードのあること、ないことを聞いてみた
ここで、フリードはなぜ売れたのか、核心の部分に迫るにはオーナーの意見が一番、ということで、ベストカー本誌馬場武治が現行フリードオーナーであることを思い出したので、聞いてみた。
■所有車:現行フリードマイナーチェンジ前モデル。2019年8月納車。G ホンダセンシング(ガソリン車。2WD)。2列目キャプテンシートの6人乗り
以下ベストカー本誌馬場の意見を紹介していこう。
初代(先代)をうまく進化させて、デザインがまとまっていて好き。飽きのこないデザインだと思う。
パッケージングの素晴らしさは、使っていて実感! 全長はそれほど長くなく、車幅も5ナンバーサイズなのに室内は広くゆったり乗れるし、運転できる。
ライバルのシエンタは2列目も3列目もシートがダイブダウンし、広大な空間ができる。それはそれで素晴らしいことだけど、フリードの3列目シートは3列目シートを跳ね上げればけっこうな荷物を積めるので負けてません。
というのも先日、家族でフリーマーケットに店を出したんですが、かなりのモノが積んだ状態で3人乗車もできた! このパッケージングは凄いと再認識した次第。
3列6人乗り、2列目シートがキャプテンシート。3列目シートを跳ね上げれば広大なラゲッジスペースが広がる
私の2代目フリードは6人乗りで「2列目キャプテンシート」が標準設定。シート中央に歩けるスペースがあるので、かなり便利。
例えば、車内にいながらにして1列目の助手席から3列目にも移動できる。もちろん、ドライバーが2列目、3列目の人と交代もできる。
ウォークスルーもできるので使いやすいフリードの6人乗り
5ナンバーサイズなので3列目にしっかり座れるのか、気になっている人が多いと思いますが、シートに厚みがあり、ひざの前も広く普通に座れる。
厚みを持たせるために跳ね上げ式にしているワケだけど、ここは自慢部分。現行シエンタの3列目シートはダイブダウンにするために薄いですよね~。
走りは、ターボではないけど、1.5LのNAでも充分走る。車線変更もクイックにスムーズにできる瞬発力、ありますよ!
使っていれば、初代のキャッチフレーズどおり、「ちょうどいい」を実感。狭い道でも扱いやすいし、狭い感じのスーパーの駐車場でもスムーズに止められる。だから、3年半乗っているけど、うちの嫁さんも、ガツンとぶつけたことや、こすったことは……なし!
■「悪い部分」はあるのか?
ガソリン車のフリードG。街中での実走行燃費12.8kmがちょっと不満だとか
実燃費が意外と悪いかな。WLTCモード燃費は17.0km/Lですが、街中での通常走行で実燃費は、12.8km/Lほど。せこくエコモードで走ってこの数字は寂しい。……でも、高速道路では伸びて、最高で22 km/Lほどを出したことがあります。
ほかに悪いところを強いて挙げれば、Aピラーが太くて、意外と左右の端が見えない場合があることかなあ。例えば、交差点などを徐行で曲がる時、Aピラーに一瞬、歩行者が隠れて「ひやり」としたことが2、3回ある。
衝突安全性のためAピラーを太くせざるを得ないのかもしれないけど……ちょっとね~。で、よく見えるようにAピラーのところに三角窓を付けているけど、あまり効果を感じません。次期型では改良をぜひ!
また、ホンダの悪しき伝統かもしれませんが、1列目シートの乗り心地はいいけど2列目になると乗り心地は悪くなり、3列目はさらに悪くなる……残念!
見た目のデザイン的な話ですが、タイヤサイズ。現状、15インチだけど、ややしょぼい。16インチを前提にしたデザイン(タイヤハウス部分)にしてくれれば、もっと格好よかったかな~と思う。
プリウスが19インチを履く時代。ミニバンも、16~17インチで格好よく決めたいですね! 次期型、期待します。
現行シエンタもいいと思いますよ。馬場はあのデザインも嫌いではないです。でもフリードの普通さがいいんです。
全長4265×全幅1695mmでサイズもコンパクト。うちの嫁さんが一度もぶつけたことないということからわかるとおり、運転しやすくてほんとちょうどいいんですよ。
■フリードの納期と次期フリード最新情報
ベストカーが製作した次期フリードのCGイラスト
最後にフリードの納期はどうなっているのか、2023年1月25日現在の状況をホンダカーズ東京の営業マンに聞いてみたが、ガソリン車、ハイブリッド車ともに納期は半年程度だが一部のボディカラー、タイプによって2カ月程度で納車できるものもあるという。
ちなみにライバルであるシエンタの納期はガソリン車が3カ月程度、ハイブリッド車は半年~10カ月程度となっている。
さて、新型フリードはいつ登場するのか? 最新情報によれば、半導体不足による部品供給の遅れにより、2024年にずれ込んだとのこと。
新型フリードは、新開発のプラットフォーム&基本コンポーネントで全面刷新となるが、ボディサイズはほぼ現行どおりで、外観デザインもキープコンセプトで仕立てられる可能性が高い。
パワーユニットは現行フィットと同じ1.5LガソリンNA&同ハイブリッドを搭載するが、ハイブリッドユニットはこれまでの1モーターから2モーター方式に引き上げられることで低燃費&高性能をさらに高次元で両立させる。またホンダセンシングも現行フィット並みかそれ以上に進化させたデバイスを標準装備するはずだ。
トヨタや日産陣営に比べて遅れていたブラインドスポットモニター、アラウンドビューモニター、利便性の向上を目指した、スライドドアのハンズフリードアオープナーの標準ないしはオプション設定も期待できるだろう。
ライバルのシエンタに対して、どのようなアドバンテージを持って登場するのか、期待して待ちたい。
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みんなのコメント
に乗ってます。広くて使いやすく、2列目のキャプテンシートも良いのですが、サブトランクが無くて困ります。3角停止板やブースターケーブルを入れる場所が無く、シート下に転がっています。また、Aピラーが太くて斜め前方の視界が悪いです。
ガソリン車ですが、動力性能に不満は無く、意外と走ります。但し、タンクは小さいです。ハイブリッドは試乗して、シフトがスムーズに感じなかったので選びませんでした。今のehevなら、選んだと思います。