1980年代、「クロカン」ブームを支えた4WDが、各自動車メーカーから続々と発売された。この連載企画では、今でいうSUVとは、ひと味もふた味も異なる「泥臭さやワイルドさ」を前面に押し出したクロカン4WDを紹介する。第19弾は「2代目 テラノ」だ。
ラリーで培った技術を2代目テラノに惜しみなく投入
日産テラノは都会的なイメージ戦略が見事にユーザーにマッチして、人気を集めたオフロード4WDだ。しかし、意外にもタフなモータースポーツにおいても輝かしい成績を多く残している。
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1986年、初代テラノ(D21)がデビューした翌年に、完走率約50%と言われる世界一過酷な「パリ・ダカールラリー」に初参戦した。続く88年も同レースに参戦し、ガソリン車の市販車無改造クラスで2位となった。さらに89年から93年まで、5年連続でT1クラスで優勝を果たし「ラリーの日産」に恥じない功績を収めた。
そして1995年、ついに2代目テラノ(R50)が誕生する。ボディバリエーションは4ドアのみで2ドアは設定されなかった。乗車人数も5名と割り切り、快適な乗車スペースを確保するレイアウトを採用した。
当然、2代目になってもレースへのチャレンジは止まらない。パリダカやクロスカントリーラリー、W杯など、いくつものレースに挑み続け、表彰台の常連組となっていた。タウンユースを考慮しながらも、オフロード性能もキッチリと高める。これこそ「技術の日産」の表れだった。
最新の4WDシステムに減衰調整機構付きサスペンションを搭載
2代目テラノの注目ポイントは従来のパートタイム4WDの他に、R32 スカイラインGT-Rの4WDシステム「アテーサE-TS」をベースにした「オールモード4×4」を搭載したモデルを設定した。これは前後の駆動配分を「0:100(FR状態)」から「50:50(直結4WD状態)」まで、瞬時に無段階調節する画期的なシステムだ。これにABSを統合制御することで、オフロード走行時でもスムーズなブレーキング性能を実現した。
加えて軽量でしなやかなモノコックとラダーフレームの強靭さを併せ持った「モノフレーム」のボディ構造も特徴的だった。このモノフレームについて、コアなオフロード4WDファンからは否定的な意見も多かった。しかし、冒頭のとおりハードなレースにも耐えうる、理に適った構造であったことはいうまでもない。
さらにサスペンションも秀逸だった。フロントは乗り心地と操縦性に優れたストラット式コイルを採用。長いサスペンションストロークと大きなハンドル切れ角が、オフロードの走破性にも大きく貢献した。リアは先代モデルと同じ5リンクリジッド式コイルだが、減衰力を2段階調整できるショックアブソーバーも設定するなど、あらゆるステージでの最良化を果たしている。
最新のディーゼルエンジンを投入し、常にバージョンアップを図った
パワーユニットは2タイプ。3.3L V6「VG33E型(170ps/最大トルク27.1kgm)」のガソリンエンジンと、2.7L 直4ディーゼルターボ「TD27ETi型(最高出力130ps/最大トルク28.4kgm)」をラインナップ。登場から1年後の1996年には、従来のディーゼルエンジンに加え、3.2L直4インタークーラー付ディーゼルターボ「QD32ETi型(最高出力150ps/最大トルク34.0kgm)」を追加した。
さらに1999年には、排気量をサイズダウンさせながらも、20psも出力アップした3L直4インタークーラー付ディーゼルターボエンジン「ZD30DDTi型(最高出力170ps/最大トルク36.0kgm)」を投入した。テラノに搭載されたディーゼルエンジンには、常に最新のパワーユニットが搭載された。
テラノの最上級グレードとして「テラノ レグラス」を投入
テラノは初代モデルから北米や中近東など、海外からのニーズも多かった。それは2代目も同じで、1996年にはパスファインダー(テラノの海外名)をインフィニティ向けにアレンジした、ブランド初の上級SUV「インフィニティQX」をラインナップした。同年、このモデルを国内向けにリメイクし、最上級グレード「テラノ レグラス」として発売した。
レグラスは、より精悍なエクステリアデザインをはじめ、ゆったりとした室内など「上質感・高級感」を演出した。決してクロカン向きではないが、スポーティなSUVとして位置付けられた。また、レグラスにはオーテックが手がけたエアロパーツをまとった「スターファイヤ」も設定された。
時代を読み、SUVの新たな道を突き進んだテラノだったが、2002年に国内販売を終了した。一方、海外向けのパスファインダーは2004年に北米で3列シート、7人乗りのR51として販売され、2012年のモデルチェンジでR52へと進化したパスファインダーとして、今もテラノのDNAを受け継いでいる。
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