比較的軽量なボディに広い車内空間
text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
【画像】マスタング・マッハE 競合する純EVクロスオーバー 全153枚
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
新しいマスタング・マッハEは、このクラスの純EVとしては比較的軽量。パッケージングもよく考えられている。ベースのプラットフォームは、フォーカスやクーガなどと共通のGE2と呼ばれるもの。金属と複合素材を適材適所で用いている。
シングルモーターで後輪駆動となるエントリーグレードの場合、車重は1900kgを切る。それでいて、ポールスター2と同等のバッテリー容量を備える。試乗車はツインモーターと大容量バッテリーを搭載するミドルグレードだったが、それでも軽い方だ。
ボディには大人5名が座れるシートと、前後2か所の荷室がある。車内空間は、クーペのように傾斜するルーフラインから想像する以上に広い。
リアシートの後ろには、サイドウインドウ下で400Lの荷室容量がある。フロントのボンネット内にも81Lの空間があり、排水口の付いたプラスティック製ボックスがはまっている。汚れた充電ケーブルのほか、ブーツなどが仕舞えて掃除も簡単。
ダッシュボードは、マスタング伝統のダブルバブル・デザインが与えられているが、それ以外はまったく新しい。ただし、ステアリングコラムやスイッチ類などの多くは、既存のフォード製モデルからの流用となる。
素材は特に上質ではないものの、金額に見合ったものだとは思う。レザーは光沢があるが、パネル類の組み付けは少し甘い部分もある。
競合モデルより25%も価格が安く、長い航続距離を得られるのなら、上質な素材にこだわるだろうか。少なくとも、商談をやめるほどではない。
EVとしては味わいの濃いシャシー
ドライバーの正面に来るのは、モニター式のデジタル・メーターパネル。ダッシュボードの中央には、16インチもある縦長のインフォテインメント用モニターが鎮座する。グレードに関わらず、標準装備だ。
テスラのように、実際に押せるボタンがすべて消えたわけではない。ウェブブラウザもなければ自動運転もないが、むしろ好ましい。無線通信でシステムをアップデートできる。
走り出してみよう。ドライブモードには、アクティブ、ウイスパー、アンテイムド(野性的)という変わった名前がついている。ワンペダルドライブはオン・オフの切り替えができ、回生ブレーキの強さはドライブモードで変化する。
スピーカーから聞こえてくる、合成音による走行時のサウンドも変更が可能。ドライブモードによって音質も変化する。SF映画の宇宙船や、テルミンのような電子的な響きではなく、穏やかに喉を鳴らすV8エンジンのノイズに似せてある。
試乗車はミドルグレードだったが、高速道路の速度域まで極めて活発。テスラほどのパンチ力はないものの、扱いやすく滑らかだ。反面、レスポンスとトルクに慣れてしまうと、パワートレインから感じる魅力は多くはない。今の純EVではいつものことだ。
一方でシャシーは、今どきの電気自動車としては味わいが大きい。操舵感には手応えがあり、一定した応答速度と充分なフィードバックがある。重み付けも良い。
現実的な環境では354kmから482km
コーナリング時の姿勢制御も良好。隆起部分などを通過すると、サスペンションの硬さや、車体の重さを感じさせる。機敏と呼べるほどではないが、操縦性は正確。現在の純EVとしては、グリップ力も高い。
試乗車は四輪駆動ながら、コーナー脱出時にはリア寄りのトルク配分を感じさせる場面もあった。ナチュラルなバランスに優れた挙動を好むなら、きっとうれしく感じるものだと思う。
ただし、今までのマスタングのハンドリングとは異なる。エントリーグレードの後輪駆動版でも同様だろう。
優れたボディの落ち着きやロードホールディング性を備え、運転を楽しみたいドライバーでも納得できる範囲にはある。アウディeトロンやジャガーIペイスなどのように。
航続距離は、スタンダードレンジと呼ばれる68kWhのバッテリーで、439kmがうたわれる。エクステンドレンジ版の88kWhなら、609kmまで伸びる。どちらもシングルモーターの後輪駆動版での距離で、ツインモーターの四輪駆動なら短くなる。
ツインモーターにエクステンドレンジ・バッテリーが載った試乗車の場合は、WLTP値で540kmとなっているが、当日は寒い12月というこであまり伸びなかった。満充電で走れた距離は、複合的な条件で約418kmだった。
おそらく平均的な現実環境では、後輪駆動のスタンダードレンジで354km、エクステンドレンジで482kmといったところだろう。温度が高くなれば更に伸びる可能性はある。それでも、マッハEのライバルより、航続距離は長い。
多くの人に受け入れてもらえる純EV
マスタング・マッハEを購入すると、家庭用11kWの交流充電器が付いてくる。急速充電としては、レンジエクステンダー版なら最大150kWまでの直流充電器に対応。最速1時間以内で、80%の電気を蓄えることができるという。
スタンダードレンジの場合は最大115kWhまでと制限されるが、バッテリー容量が小さい分、80%までの所要時間は変わらない。充分に早いといえる。
フォード・マスタング・マッハEを購入するということは、マスタングという名前を純EVにフォードが与えた、という事実を受け入れることにもつながる。長年のマスタング・ファンには、難しいかもしれない。
一方で純EVへシフトしつつある自動車市場全体で見れば、多くの人に受け入れられる内容だと思う。ゼロ・エミッションのファミリーカーとしてデザインはスマートだし、実用的な航続距離を持ち、満足のいく動的性能を備えている。
同等の内容を持つ純EVのライバルと比べれば、価格も高くは感じられないはず。486psのGTグレードも、追って登場予定となっている。
フォード・マスタング・マッハE エクステンドレンジAWD(欧州仕様)のスペック
価格:5万7980ポンド(782万円/試乗車)
全長:4712mm
全幅:1881mm
全高:1597mm
最高速度:112km/h
0-100km/h加速:5.1秒
航続距離:540km
CO2排出量:−
車両重量:2107kg
パワートレイン:ツイン交流同期モーター
バッテリー:88kWh(水冷/使用可能容量)
最高出力:350ps
最大トルク:59.0kg-m
ギアボックス:−
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