現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【V8マスタングを残すために】フォード・マスタング・マッハEへ試乗 最大609kmの純EV 後編

ここから本文です

【V8マスタングを残すために】フォード・マスタング・マッハEへ試乗 最大609kmの純EV 後編

掲載 更新 1
【V8マスタングを残すために】フォード・マスタング・マッハEへ試乗 最大609kmの純EV 後編

比較的軽量なボディに広い車内空間

text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)

【画像】マスタング・マッハE 競合する純EVクロスオーバー 全153枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


新しいマスタング・マッハEは、このクラスの純EVとしては比較的軽量。パッケージングもよく考えられている。ベースのプラットフォームは、フォーカスやクーガなどと共通のGE2と呼ばれるもの。金属と複合素材を適材適所で用いている。

シングルモーターで後輪駆動となるエントリーグレードの場合、車重は1900kgを切る。それでいて、ポールスター2と同等のバッテリー容量を備える。試乗車はツインモーターと大容量バッテリーを搭載するミドルグレードだったが、それでも軽い方だ。

ボディには大人5名が座れるシートと、前後2か所の荷室がある。車内空間は、クーペのように傾斜するルーフラインから想像する以上に広い。

リアシートの後ろには、サイドウインドウ下で400Lの荷室容量がある。フロントのボンネット内にも81Lの空間があり、排水口の付いたプラスティック製ボックスがはまっている。汚れた充電ケーブルのほか、ブーツなどが仕舞えて掃除も簡単。

ダッシュボードは、マスタング伝統のダブルバブル・デザインが与えられているが、それ以外はまったく新しい。ただし、ステアリングコラムやスイッチ類などの多くは、既存のフォード製モデルからの流用となる。

素材は特に上質ではないものの、金額に見合ったものだとは思う。レザーは光沢があるが、パネル類の組み付けは少し甘い部分もある。

競合モデルより25%も価格が安く、長い航続距離を得られるのなら、上質な素材にこだわるだろうか。少なくとも、商談をやめるほどではない。

EVとしては味わいの濃いシャシー

ドライバーの正面に来るのは、モニター式のデジタル・メーターパネル。ダッシュボードの中央には、16インチもある縦長のインフォテインメント用モニターが鎮座する。グレードに関わらず、標準装備だ。

テスラのように、実際に押せるボタンがすべて消えたわけではない。ウェブブラウザもなければ自動運転もないが、むしろ好ましい。無線通信でシステムをアップデートできる。

走り出してみよう。ドライブモードには、アクティブ、ウイスパー、アンテイムド(野性的)という変わった名前がついている。ワンペダルドライブはオン・オフの切り替えができ、回生ブレーキの強さはドライブモードで変化する。

スピーカーから聞こえてくる、合成音による走行時のサウンドも変更が可能。ドライブモードによって音質も変化する。SF映画の宇宙船や、テルミンのような電子的な響きではなく、穏やかに喉を鳴らすV8エンジンのノイズに似せてある。

試乗車はミドルグレードだったが、高速道路の速度域まで極めて活発。テスラほどのパンチ力はないものの、扱いやすく滑らかだ。反面、レスポンスとトルクに慣れてしまうと、パワートレインから感じる魅力は多くはない。今の純EVではいつものことだ。

一方でシャシーは、今どきの電気自動車としては味わいが大きい。操舵感には手応えがあり、一定した応答速度と充分なフィードバックがある。重み付けも良い。

現実的な環境では354kmから482km

コーナリング時の姿勢制御も良好。隆起部分などを通過すると、サスペンションの硬さや、車体の重さを感じさせる。機敏と呼べるほどではないが、操縦性は正確。現在の純EVとしては、グリップ力も高い。

試乗車は四輪駆動ながら、コーナー脱出時にはリア寄りのトルク配分を感じさせる場面もあった。ナチュラルなバランスに優れた挙動を好むなら、きっとうれしく感じるものだと思う。

ただし、今までのマスタングのハンドリングとは異なる。エントリーグレードの後輪駆動版でも同様だろう。

優れたボディの落ち着きやロードホールディング性を備え、運転を楽しみたいドライバーでも納得できる範囲にはある。アウディeトロンやジャガーIペイスなどのように。

航続距離は、スタンダードレンジと呼ばれる68kWhのバッテリーで、439kmがうたわれる。エクステンドレンジ版の88kWhなら、609kmまで伸びる。どちらもシングルモーターの後輪駆動版での距離で、ツインモーターの四輪駆動なら短くなる。

ツインモーターにエクステンドレンジ・バッテリーが載った試乗車の場合は、WLTP値で540kmとなっているが、当日は寒い12月というこであまり伸びなかった。満充電で走れた距離は、複合的な条件で約418kmだった。

おそらく平均的な現実環境では、後輪駆動のスタンダードレンジで354km、エクステンドレンジで482kmといったところだろう。温度が高くなれば更に伸びる可能性はある。それでも、マッハEのライバルより、航続距離は長い。

多くの人に受け入れてもらえる純EV

マスタング・マッハEを購入すると、家庭用11kWの交流充電器が付いてくる。急速充電としては、レンジエクステンダー版なら最大150kWまでの直流充電器に対応。最速1時間以内で、80%の電気を蓄えることができるという。

スタンダードレンジの場合は最大115kWhまでと制限されるが、バッテリー容量が小さい分、80%までの所要時間は変わらない。充分に早いといえる。

フォード・マスタング・マッハEを購入するということは、マスタングという名前を純EVにフォードが与えた、という事実を受け入れることにもつながる。長年のマスタング・ファンには、難しいかもしれない。

一方で純EVへシフトしつつある自動車市場全体で見れば、多くの人に受け入れられる内容だと思う。ゼロ・エミッションのファミリーカーとしてデザインはスマートだし、実用的な航続距離を持ち、満足のいく動的性能を備えている。

同等の内容を持つ純EVのライバルと比べれば、価格も高くは感じられないはず。486psのGTグレードも、追って登場予定となっている。

フォード・マスタング・マッハE エクステンドレンジAWD(欧州仕様)のスペック

価格:5万7980ポンド(782万円/試乗車)
全長:4712mm
全幅:1881mm
全高:1597mm
最高速度:112km/h
0-100km/h加速:5.1秒
航続距離:540km
CO2排出量:−
車両重量:2107kg
パワートレイン:ツイン交流同期モーター
バッテリー:88kWh(水冷/使用可能容量)
最高出力:350ps
最大トルク:59.0kg-m
ギアボックス:−

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

まだまだ続きます 北近畿豊岡道の「有料トンネル」料金徴収期間を延長 背景に老朽化
まだまだ続きます 北近畿豊岡道の「有料トンネル」料金徴収期間を延長 背景に老朽化
乗りものニュース
700万円超え! スバル新型「SUV」発表! 2リッター「水平対向」×マイルドハイブリッド搭載! 全長4.7m級の「新フォレスター」欧州に登場へ
700万円超え! スバル新型「SUV」発表! 2リッター「水平対向」×マイルドハイブリッド搭載! 全長4.7m級の「新フォレスター」欧州に登場へ
くるまのニュース
F1ラスベガスFP2速報|FP1に続きメルセデスのハミルトンが最速。角田裕毅10番手
F1ラスベガスFP2速報|FP1に続きメルセデスのハミルトンが最速。角田裕毅10番手
motorsport.com 日本版
スズキ『V-STROM 250SX』がカラーリング変更、新価格は59万1800円
スズキ『V-STROM 250SX』がカラーリング変更、新価格は59万1800円
レスポンス
約3000万円で落札されたポルシェ「911 カレラRS アメリカ」は何か変! 実は新車の頃からシュトロゼックのボディキットが装着されていました
約3000万円で落札されたポルシェ「911 カレラRS アメリカ」は何か変! 実は新車の頃からシュトロゼックのボディキットが装着されていました
Auto Messe Web
フォード、伝統のバハ1000で『ブロンコDR』と『レンジャー・ラプター』が主要部門を制覇
フォード、伝統のバハ1000で『ブロンコDR』と『レンジャー・ラプター』が主要部門を制覇
AUTOSPORT web
トヨタ勝田貴元、出鼻を挫くパンクは「大きな衝撃がなかった」と驚き。DAY2は”抑えめ”の走りに|WRCラリージャパン
トヨタ勝田貴元、出鼻を挫くパンクは「大きな衝撃がなかった」と驚き。DAY2は”抑えめ”の走りに|WRCラリージャパン
motorsport.com 日本版
最強の4気筒「メルセデスAMG A 45 S 4MATIC+ Final Edition」は限定300台
最強の4気筒「メルセデスAMG A 45 S 4MATIC+ Final Edition」は限定300台
AutoBild Japan
アイオニック5からコナへ!【ヒョンデ・アイオニック5長期レポート5】
アイオニック5からコナへ!【ヒョンデ・アイオニック5長期レポート5】
AUTOCAR JAPAN
走行中、後ろから緊急自動車が! 譲らないと「違反」に!
走行中、後ろから緊急自動車が! 譲らないと「違反」に!
くるくら
トヨタの「“2階建て”ハイエース!?」登場! 豪華“ウッド”&茶内装が超カッコイイ! 充電システム×エアコンも完備のケイワークス「アーチザン Type I」お台場で実車公開
トヨタの「“2階建て”ハイエース!?」登場! 豪華“ウッド”&茶内装が超カッコイイ! 充電システム×エアコンも完備のケイワークス「アーチザン Type I」お台場で実車公開
くるまのニュース
【ヤマハ】Netflix の新作SFアニメ「Tokyo Override」にヤマハがデザインしたバイク「Y/AI(ワイエーアイ)」が登場!
【ヤマハ】Netflix の新作SFアニメ「Tokyo Override」にヤマハがデザインしたバイク「Y/AI(ワイエーアイ)」が登場!
バイクブロス
キャンプ・災害に備える手のひらサイズの携帯浄水器「Greeshow GS-288」のセール実施中!
キャンプ・災害に備える手のひらサイズの携帯浄水器「Greeshow GS-288」のセール実施中!
バイクブロス
ミツオカ新型「M55」世界初公開に反響多数! MTのみ設定&“旧車”デザインに「良すぎる」の声! 青内装の「ゼロエディション」が話題に
ミツオカ新型「M55」世界初公開に反響多数! MTのみ設定&“旧車”デザインに「良すぎる」の声! 青内装の「ゼロエディション」が話題に
くるまのニュース
クシタニが2024-25FWガーメントを発売! 暖かさと運動性の高さを両立した防寒パンツ・ブーツ・グローブをラインナップ
クシタニが2024-25FWガーメントを発売! 暖かさと運動性の高さを両立した防寒パンツ・ブーツ・グローブをラインナップ
バイクのニュース
ついに昔の[ダイハツ]が蘇る!? [不祥事]以来変わった[社内の雰囲気]とは
ついに昔の[ダイハツ]が蘇る!? [不祥事]以来変わった[社内の雰囲気]とは
ベストカーWeb
ニューズウィーク誌が選ぶ「2025年最も期待される新型車」にベントレー新型「コンチネンタルGTスピード」が選出されたもっともな理由…とは?
ニューズウィーク誌が選ぶ「2025年最も期待される新型車」にベントレー新型「コンチネンタルGTスピード」が選出されたもっともな理由…とは?
Auto Messe Web
フィアット125周年をイタリアが国をあげて祝福、2つの特別展示会をトリノで開催
フィアット125周年をイタリアが国をあげて祝福、2つの特別展示会をトリノで開催
Webモーターマガジン

みんなのコメント

1件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

465.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

44.81439.6万円

中古車を検索
マスタング クーペの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

465.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

44.81439.6万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村