現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 電気自動車かと誤解する「進化した走り」の実力とは? レクサスの小型ハイブリッドSUV「UX300h」は驚異的にスムーズかつ静かで快適です

ここから本文です

電気自動車かと誤解する「進化した走り」の実力とは? レクサスの小型ハイブリッドSUV「UX300h」は驚異的にスムーズかつ静かで快適です

掲載 14
電気自動車かと誤解する「進化した走り」の実力とは? レクサスの小型ハイブリッドSUV「UX300h」は驚異的にスムーズかつ静かで快適です

最新の「UX300h」は“エンジンの存在感”がさらに希薄に

 先の商品改良によって登場したレクサス「UX300h」の試乗を終え、筆者(工藤貴宏)は正直、自分を恥じたい気分になりました。

【画像】「えっ!…」これがBEVのようにスムーズで静かで快適なレクサス新型「UX300h」です(46枚)

 試乗するまで「マイナーチェンジだからたいして変わっていないんでしょ」と軽はずみに予想していたのですが、実はその中身、特にハイブリッド機構が、別のクルマといってもいいくらい劇的に進化していたからです。

 レクサス「UX」シリーズは、2023年秋に「LBX」がデビューするまで、レクサスのSUVで最もコンパクトなモデルでした。

 従来モデルの「UX」シリーズにはガソリンエンジン車、ハイブリッド車、そしてBEV(電気自動車)という3種のパワートレインが設定されていましたが、先の商品改良で純エンジン車が廃止され、ハイブリッド車とBEVだけという電動モデル専用車となりました。

 合わせて、先の商品改良を機に、「UX」シリーズのハイブリッドモデルは「UX250h」から「UX300h」へとネーミングも変わりました。

 そんな「UX300h」は、エンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドカーですが、乗ってみてとにもかくにも驚かされたのは、“エンジンの存在感”が希薄なこと。モーターの力が強いフルハイブリッドゆえ、停止状態はもちろんのこと発進時もエンジンを始動させないのは当然ですが、予想と全く異なるのは、そこから加速して速度が上がっていったとき。

 通常のハイブリッドカーならエンジンが始動するような状況になっても、「UX300h」はほとんどエンジンがかからないのです。ハイブリッドカーの常識を超えるほどエンジンを始動させずモーターだけで粘り、100km/hになってもエンジンを止めたままモーターだけで走るのです。

 冗談抜きに「あれ、ハイブリッドじゃなくBEVに乗っているのかな?」と思ったほど。そう錯覚するほどに、「UX300h」の走りはスムーズで静かで快適です。

 もちろん、そのまま運転を続けていたら「やはりこのクルマにはエンジンが載っているんだな」と気づきます。ただし、エンジンが始動してもそのことに気づかないくらい、エンジンの存在感が希薄なのはお見事。静かでスムーズで、細かい振動だって伝わってこない「UX300h」のエンジンは、まさに縁の下の力持ちといってもいいでしょう。

 こうした「UX300h」の乗り味は、最新のトヨタ「プリウス」以上で、「プリウス」のPHEV(プラグインハイブリッド車)に近い感覚。エンジンの存在感の希薄さはトヨタやレクサスのハイブリッドカーの中でも最上級で、エンジンが始動するとその音が耳に届く「センチュリー」のセダンよりも格上といえるほどです。

●ハイブリッドシステムがトヨタの最新世代へと進化

「UX300h」のドライブフィールは、まるで全領域をモーターだけで走行するBEVのようです。では、「UX300h」の走り味は、なぜこのような乗り味になったのでしょう? その答えはハイブリッドシステムの刷新にあります。

「UX250h」時代のハイブリッドシステムはトヨタで“第4世代”と呼ばれるもので、先代「プリウス」と同じタイプでした。

 しかし「UX300h」となった新型は、ハイブリッドシステムが“第5世代”と呼ばれるものへと進化。モーターやインバーターなどハイブリッド関連のメカニズムがすべて、新型「プリウス」と同じ世代のものになったのです。

 しかし、「UX300h」のドライブフィールは、現行「プリウス」のそれとはまた別の感覚です。音や振動などをさらに低減させ、エンジンの存在感をさらになくした進化版だと感じました。

 ウソでも誇張でもなく、加速中にエンジンがいつ始動したのか全然分からない「UX300h」の走りは、まさにBEVと錯覚するようなフィーリングなのです。

 それにしても、マイナーチェンジなのに進化幅がこれほど大きいなんて、完全に予想外でした。新しい「UX300h」は、「いいクルマをつくろう。どんどんよくしていこう」というレクサスの貪欲な精神を、見事に具現したモデルといえるでしょう。

4WD仕様はコーナリングフィールも格段に向上

 その上で、「UX300h」はドライバビリティも大きく向上しています。

 例えば加速時は、アクセルペダルを踏み込んでも反応が鈍く感じる従来のハイブリッド車とは異なり、「UX300h」はモーターがうまく作用し、ダイレクトな加速感を実現しています。

 その理由は、システム最高出力が従来の135kWから146kWにパワーアップしているからといった理由もありますが、実はそんな単純な話ではありません。実は、ドライバーの操作に対して、「UX300h」はその意図をクルマ側がくみ取り、しっかりと反応してくれるのです。

 コーナリング時の印象も同様です。走行安定性を高めるべくボディ補強を施し、さらに4WDモデルではリアモーターの出力が5kWから30kWへと大きくアップ。加えて、コーナリング中のアクセルオン時に駆動トルクを後輪へと積極的に送る制御とすることで、旋回フィールも向上しているのです。

 従来の4WDは、すべりやすい路面での発進性を高める程度の役割しか担っていませんでした。しかし、新型のそれは舗装路でのハンドリング向上にも役立っているのです。

 加速がスムーズで快適、かつ力強くなり、加速もコーナリングもクルマとドライバーとの一体感が大きく増しているのが、新しい「UX300h」のドライブフィールです。

●安全性や使い勝手もしっかりアップデート

 出力がアップしたと聞くと「燃費が悪くなったのでは?」と心配する人もいることでしょう。しかし、その心配には及びません。

 従来の「UX250h」はWLTCモード燃費が22.8km/L(FF車)だったのに対し、「UX300h」は26.3km/Lへと逆に良化しているほど。ちなみに4WD車も、21.6km/Lから25.2km/Lへ向上しています。

 加えて新型は、こうした走りの進化だけでなく、交差点衝突回避支援が加わるなど先進安全機能が向上し、1500Wと大容量のAC100V電源を新設定。さらには、メーターの12.3インチフル液晶化など、安全性や使い勝手もしっかりと進化しています。

* * *

 というわけで、先の商品改良で誕生した「UX300h」は、「たいして変わっていないのでは?」という筆者の事前の印象を打ち破り、「見た目は変わっていないけれど、運転してみると全く別のクルマ」へと進化していました。

 レクサスのコンパクトSUVといえば、最新モデルの「LBX」に注目が集まっていますが、さらに走りの余裕が欲しい人には、「UX300h」も要チェックの1台といえるでしょう。

こんな記事も読まれています

“ランエボ”がお手本!? “不評の電気自動車”がついに「エンジン車顔負けの走り」を実現! ヒョンデの高性能BEV「アイオニック5 N」驚きの実力とは
“ランエボ”がお手本!? “不評の電気自動車”がついに「エンジン車顔負けの走り」を実現! ヒョンデの高性能BEV「アイオニック5 N」驚きの実力とは
VAGUE
「美しさと優雅さは世界一」!? 流れるようなシルエットがカッコいい! メルセデス・ベンツ「CLEクーペ」は暮らしを彩る“大人のクーペ”
「美しさと優雅さは世界一」!? 流れるようなシルエットがカッコいい! メルセデス・ベンツ「CLEクーペ」は暮らしを彩る“大人のクーペ”
VAGUE
マツダが次世代型「CX-5」の存在を明らかに! 心臓部は“マツダ製ハイブリッド”になる!! デザインは新コンセプトカーがベースか!?
マツダが次世代型「CX-5」の存在を明らかに! 心臓部は“マツダ製ハイブリッド”になる!! デザインは新コンセプトカーがベースか!?
VAGUE
【最新モデル試乗】モーターとエンジンの「いいとこ取り」。時代を先駆けるクラウン・スポーツPHEVの迫力世界
【最新モデル試乗】モーターとエンジンの「いいとこ取り」。時代を先駆けるクラウン・スポーツPHEVの迫力世界
カー・アンド・ドライバー
走りを楽しみたい人へ──新型レンジローバースポーツ試乗記
走りを楽しみたい人へ──新型レンジローバースポーツ試乗記
GQ JAPAN
【最新モデル試乗】早期輸入熱望! 今度のVWティグアンはモダンでエレガント。走りも大幅に進化している
【最新モデル試乗】早期輸入熱望! 今度のVWティグアンはモダンでエレガント。走りも大幅に進化している
カー・アンド・ドライバー
アルファードとの628万円の価格差はどこにある? レクサスLM開発者に6座仕様「バージョン L」の「推しポイント」を聞いてみた!
アルファードとの628万円の価格差はどこにある? レクサスLM開発者に6座仕様「バージョン L」の「推しポイント」を聞いてみた!
ベストカーWeb
レクサスの中国製コピー? 上級ワンボックスEVが英国上陸 マクサス・ミファ9へ試乗 価格なりの高水準
レクサスの中国製コピー? 上級ワンボックスEVが英国上陸 マクサス・ミファ9へ試乗 価格なりの高水準
AUTOCAR JAPAN
いいクルマだったなぁ…… 「走り」にこだわったマツダ3代目プレマシー新車時試乗記プレイバック
いいクルマだったなぁ…… 「走り」にこだわったマツダ3代目プレマシー新車時試乗記プレイバック
ベストカーWeb
アンダー250万円の日産「コンパクトカー」なぜ人気? 加速感イイのがポイント? 「NOTE」の魅力とは
アンダー250万円の日産「コンパクトカー」なぜ人気? 加速感イイのがポイント? 「NOTE」の魅力とは
くるまのニュース
竹岡圭 K&コンパクトカー【ヒットの真相】日産キックス「e-POWER+4WD+プロパイロットで安全快適ドライブ」(2024年6月号掲載)
竹岡圭 K&コンパクトカー【ヒットの真相】日産キックス「e-POWER+4WD+プロパイロットで安全快適ドライブ」(2024年6月号掲載)
カー・アンド・ドライバー
可能性は感じる ケド「宿題」も多い オモダ5 プロトタイプへ試乗 1.6Lターボの新型SUV
可能性は感じる ケド「宿題」も多い オモダ5 プロトタイプへ試乗 1.6Lターボの新型SUV
AUTOCAR JAPAN
日産「新型スカイライン」は伝統の「丸目4灯テール」採用!? 新たな「V38」に期待大! まさかの「スカイライン“e-POWER”」登場か
日産「新型スカイライン」は伝統の「丸目4灯テール」採用!? 新たな「V38」に期待大! まさかの「スカイライン“e-POWER”」登場か
くるまのニュース
「ゲレンデ」にも電気の時代が来た! メルセデス・ベンツGクラス G 580へ試乗 破壊的に速い4モーター
「ゲレンデ」にも電気の時代が来た! メルセデス・ベンツGクラス G 580へ試乗 破壊的に速い4モーター
AUTOCAR JAPAN
“クルマ好き憧れのブランド”の真価を体験!「ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京」に行ってみた!! 最新「911」の運転体験に気分がアガる
“クルマ好き憧れのブランド”の真価を体験!「ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京」に行ってみた!! 最新「911」の運転体験に気分がアガる
VAGUE
「ガソリン代が安くて最高!」 日本一「燃費のいいクルマ」ってどれ? “財布に優しい”国産車トップ3とは
「ガソリン代が安くて最高!」 日本一「燃費のいいクルマ」ってどれ? “財布に優しい”国産車トップ3とは
くるまのニュース
ポルシェ911カレラのようなホットハッチ──新型GRヤリスGR-DATモデル試乗記
ポルシェ911カレラのようなホットハッチ──新型GRヤリスGR-DATモデル試乗記
GQ JAPAN
【新型クラウン タイプ別解説】 クロスオーバーはセダンなの?SUVなの?どういうキャラクター?
【新型クラウン タイプ別解説】 クロスオーバーはセダンなの?SUVなの?どういうキャラクター?
月刊自家用車WEB

みんなのコメント

14件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

400.3491.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

219.7559.8万円

中古車を検索
UXの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

400.3491.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

219.7559.8万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村