ニューメキシコの南北へ分岐するジャンクションの街、サンタ・ローザ
広大なアメリカを東西2347マイル(3755km)にわたって結ぶ旧国道「ルート66」をこれまで5回往復した経験をもつ筆者が、ルート66の魅力を紹介しながらバーチャル・トリップへご案内。イリノイ州シカゴから西に向かい、ミズーリ州、カンザス州、オクラホマ州、テキサス州を経てニューメキシコ州へ。今回は、小さいながらも交通の要であり、旅人たちを癒してくれる「サンタ・ローザ」の街を紹介します。
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深さ25メートルのダイビングスポット、「ブルーホール」
モーテルのネオンサインが煌めくトゥクムカリを発ち、西へ60マイル(約96km)ほど進めばルート66は次の街に到達する。人口3000弱と規模はさほど大きくないサンタ・ローザだが、ニューメキシコ南北へ分岐するジャンクションの役割を担う。トゥクムカリにこそ及ばないものの宿やレストランは数多く、州で最大の都市アルバカーキがまだまだ先ということもあり、今も昔も旅人にとってのオアシスとして重宝され続けている。
この街に立ち寄るなら絶対に見ておきたい名所がいくつか。ひとつは海のない内陸州にあるダイビングスポットだ。中心部から少し東に外れた郊外の「ブルー・ホール」は、一見すると澄んだ水をたたえた小さな池のように思えるが、駐車場に立てられた案内板には二度見したくなる表記が。深さ81フィートつまり約24.5m、10階建てのビルに相当する。
ここでは固有名詞として使われているブルー・ホールは、洞窟や鍾乳洞が何らかの原因で水中に没した地形を指す。日本でも全国各地に点在しており沖縄県の渡名喜島、静岡県の柿田川公園などが特によく知られている。
サンタ・ローザのブルー・ホールは1分間に1万Lを超える地下水が湧き出しており、水温は約18℃とウエットスーツを着用しないでで泳ぐにはだいぶ冷たいとのことだ。しかし基本的な気候は砂漠に近い内陸で、夏は連日のように30℃オーバーが続く。そのため休日ともなれば涼を求めて多くの市民が集い、岩から勢いよくジャンプする子どもたちの姿もよく見る。またダイビングのトレーニングも頻繁に行なわれており、写真の日もインストラクター付きで数名が練習に励んでいた。ちなみにブルー・ホールの前を走る道こそが、創設から1937年まで使われたルート66だ。
クルマ好きならずとも必見の「ルート66オートミュージアム」
もうひとつはクルマ好きの心をくすぐる「ルート66オートミュージアム」で、面白いのはガレージに展示されている車両の多くを実際に購入できること。スタッフが案内するわけではないし説明のボードもなく、博物館というよりは中古車販売店といった雰囲気なので、クルマに興味がない人にとっては物足りないかもしれないが、ビジネスの始まりが自動車整備工場だったせいもあって、内外装から機関部までよく手入れされたクルマばかり。多くは1950~1980年代のクラシックカーで、ショーに出展したようなカスタムかーもある。朝は7時半と早くからオープンしているし、ギフトショップの品揃えも結構な充実ぶりだ。
実際にクルマを購入するのはハードルが高いかもしれないが、当然ながら価格も日本のマーケットと比べればリーズナブルで、憧れのアメリカン・マッスルカーのオーナーになる妄想に浸れる。なおブルー・ホールで触れた1937年までのルート66は、他にもあり分かりやすい案内板も設置されているので、時間が許せば探して走りまわるのもアリだろう。
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そして冒頭で触れた南北への分岐。南には西部開拓時代のアウトロー、ビリー・ザ・キッドが根城にしたフォート・サムナー、さらに南下するとエイリアンの街として知られるロズウェル、そこから西に進めばホワイトサンズ国立公園がある。いっぽうサンタ・ローザから北西に当たる州都サンタフェまでの道は、同じく1937年まで正規のルート66として使われていた旧道だ。どちらもスルーするには惜しい見どころだらけなので、次回からは少しまわり道しながら詳しく紹介していきたい。
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