■2リッター×FR想定の「クーペスポーツ」 期待されるも登場ならず
日産「シルビア」といえば、スタイリッシュなクーペボディにハンドリングの良好なFR方式を採用したモデルとして、今でも根強い人気を持ちます。
2002年夏に生産を終了してからもその復活を願う声は止みませんが、かつて日産はそんなシルビアの“後継モデル”を示唆するコンセプトカーを披露していました。
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日産は2005年10月開催の第39回「東京モーターショー2005」で、4ドアクーペのコンセプトカー「フォーリア」を世界初公開しました。
「コンパクトなクーペボディにスポーツマインドとエレガンスを内包」と当時説明されていたフォーリアは、成熟した審美眼を持つ大人の男性と女性に向けたスポーツモデルを提案するモデルでした。
ボディサイズは全長4350mm×全幅1695mm×全高1370mm、ホイールベースは2700mmです。
日産によると、スポーツカーと呼ばれるクルマは数多く存在しますが、その多くは居住性とスタイルを求めるあまりに肥大化の傾向にあったと言います。
ひと昔前に名車と呼ばれたスポーツカーには、非常にコンパクトなサイズの中に卓越したドライビングプレジャーとほれぼれするようなエレガンスをたたえたクルマがあったとしており、こうしたモデルへのオマージュがフォーリアだったのです。
全体的なデザインは2ドアクーペのような仕上がりで、ノングノーズ・ショートデッキを基本としつつ、曲線と直線を組み合わせたデザインに仕上げられ、当時は初代「シルビア」をモチーフとしたのではないかとも言われました。
フロントフェイスはフロントグリルから連続したシャープなヘッドライトが特徴で、ボディサイドははっきりとしたキャラクターラインを配したほか、サイドウインドウをアルミ製のモールで囲い、エレガントさを強めています。
リアはサイドまで回り込む切れ長のテールランプを装着した以外はシンプルにまとめられました。
特徴的なのはドアで、一見すると2ドアのようにも見えますが、観音開きの4ドアを採用。マツダ「RX-8」などと同じ構造で、デザイン性だけでなく実用性も考えられていました。
インテリアはグレーを基調に、インパネ前面やステアリング、センターコンソールなどにはプレーンな肌触りのブラウンのレザー素材を用いるなど、上質な仕立てになっています。
ドアトリムやインナードアハンドル、吹出口、シフトノブなどにはメタル素材を採用し、シフトノブなど指が触れる部分には日本の伝統技法からヒントを得た表面処理を施すなど、まさに成熟した大人のクーペに仕上がっています。
パワートレインの詳細は明らかにされませんでしたが、2リッター級エンジンの搭載を想定していたようで、駆動方式はFRを採用。街中を軽快に走るだけでなく、ワインディング走行も満喫できるとしていました。
そんなフォーリアでしたが、公開当時はFRスポーツカーとしてヒットした7代目シルビア(S15型)から3年が経過したことや、比較的現実的なパッケージングであったことなどからシルビアの後継モデルとして注目を受けます。
その後も、2011年の東京モーターショーではピュアEVスポーツカーの「エスフロー」を、2013年には往年のFRスポーツクーペをイメージした「IDx」を出展するなど、小型スポーツカーの未来像を示すモデルが披露されました。
そのたびに、シルビア再登場にまつわる話題が噴出し世間を賑わせますが、残念ながら2024年現在も、シルビアは復活を遂げていません。
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