メルセデス・ベンツのコンパクトモデル、Aクラスに続いてBクラスもフルモデルチェンジされて日本デビューを果たした。使い勝手の高さは初代から続くBクラスの伝統だが、新型ではスタイリッシュになった内外装にも注目したい。
コンパクト マルチパーパスビークルの王道か
3代目にフルモデルチェンジされたメルセデス・ベンツ Bクラスは、2019年6月に日本デビュー。7月に認証決済され、順次登録が始まった。発売開始から最初の1カ月で600台を超える受注があったそうで、かなり好調なペースのようだ。
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さて、そんなBクラスに試乗する機会を得た。そのスタイルをあらためて眺めてみると、従来型より60mm長く、10mm幅広く、25mm車高が高くなったが、プロポーション的には大きく変わらない。ちょっと背の高いコンパクトワゴンのイメージはそのままだ。
だが、ファミリーユースを考慮してか少し優しくなった顔つき以外、基本的にはAクラスと似たスタイリングはなかなかスポーティ。ラインやエッジを大幅に削減した、最近のメルセデスに共通のデザインは誰にでも好まれそうだ。
従来型ではAクラスに比べるとBクラスは地味な印象で、「デザインはAクラス、実用性はBクラス」なんて揶揄されたらしいが、新型ではデザインでBクラスを選ぶ人も多くなるだろう。
ちなみに、全長とホイールベースはAクラスと同じ。車高はAクラスより145mm高いが、それでもCd値は0.24(Aクラスは0.25)と空力的にも優れている。
インテリアも、基本デザインはAクラスと共通だが、ドアハンドルや奥行きのあるトリムなどで差別化されている。Aクラスとの違いは、なんといってもリアシートとラゲッジスペースの広さだ。
とくにラゲッジスペースは、フル乗車時でも455L(VDA、以下同じ)、4:2:4の3分割リアシートバックを全倒すれば1540Lものフラットでスクエアなスペースが出現する。Aクラスの370~1210Lより圧倒的に広い。
さて、今回の試乗車は1.3Lのガソリンターボエンジンを搭載したB180。ほぼ同じ装備のA180スタイルより約100kg重いが、走り出してみるとパワー的には不満ない。
今回は市街地が中心、少しだけ首都高速を走ってみるという短時間の試乗だったが、それでもそのパフォーマンスの一端を垣間見ることができた。
ルノーと共同開発したエンジンは、ちょっと元気なサウンドを発しながら街中をキビキビと走る。ハンドリングも、けっこう軽快。そして4枚のドアにリアゲートと、いずれも開口部は大きいのにもかかわらず、ボディ剛性が高くてしっかりしているのは、さすがメルセデスだ。
以前に乗ったAクラスでは、A180/200dともAMGラインの18インチタイヤ装着車で少し乗り心地は硬かった。そこで今回は標準の17インチタイヤ装着車を選択。やはり、こちらのほうが乗り心地は良く、それでもサスペンションは柔らかすぎることもない。
オプション設定だが安全運転支援システムのインテリジェントドライブは精度が高く、レーンチェンジまでオマカセできる。
インフォテインメントシステムもAクラス同様に使いやすく、「ハイ!メルセデス」のMBUXは進化して、いろいろなコマンドに対応してくれる。「好きな色は何?」とか「きょうは会社に行きたくないなあ…」なんて問いかけると、どう答えてくれるか。これはぜひ試乗して試してみると楽しめるだろう。
リアシートとラゲッジスペースの広さは初代から続くBクラスの伝統で、これを気に入って選ぶ人も多いはず。シートアレンジなどの使い勝手も高い。
今回はB180だけの試乗だが、おそらくB200dの走りもA200dと大きく変わらないと思われる。市街地ユースが中心ならB180で十分だが、月に1回くらい家族で遠出するならB200dのほうがベターかもしれない。
2人以下で乗る機会が多いならAクラス、3人以上や多くの荷物を積んで乗る機会が多いならBクラス、と思っていたら、Aクラスにはフォーマルな4ドアセダンも登場した。Aクラス セダンとBクラスは装備の近いグレードなら価格はほとんど変わらないし、どれを選んでも間違いはなさそうだから、これはなかなか悩ましい選択になりそうだ。(文:篠原政明、写真:井上雅行)
B180 主要諸元
●全長×全幅×全高:4425×1795×1565mm
●ホイールベース:2730mm
●重量:1470kg
●エンジン種類:直4 DOHCターボ
●排気量:1331cc
●最高出力:100kW<136ps>/5500rpm
●最大トルク:200Nm<20.4kgm>/1460-4000rpm
●WLTCモード燃費:15.0km/L
●トランスミッション:7速DCT
●タイヤ:205/55R17
●税込み価格:384万円
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