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「5ナンバーのカローラ神話」強し!! 旧型でも売れ続けるアクシオがあぶり出すニーズ

掲載 更新 11
「5ナンバーのカローラ神話」強し!! 旧型でも売れ続けるアクシオがあぶり出すニーズ

 2020年6月の販売台数(ベストカー調べ)で、旧モデルのカローラアクシオ:1120台、カローラフィールダー:1640台、新型カローラスポーツ:910台、カローラセダン:1190台、カローラツーリング:4330台とツーリングは抜け出ていたものの、そのほかのモデルに対しては旧型が健闘していた。

 新型が出たあとも売っているのは、トヨタがニーズがあると踏んだ結果なのだが、ここまで根強い人気を維持しているのはナゼか? ディーラー取材でわかった旧モデルを購入している層などの情報とともに、その理由を考察していきたい。

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文/渡辺陽一郎
写真/TOYOTA、編集部

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■なぜ新型に引けを取らない売れ行き 開発者が語る旧型を残したワケ

 2020年上半期(1~6月)の国内販売状況を見ると、小型/普通車ではトヨタが圧倒的に多い。小型/普通車の約半数をトヨタ車が占めた。

 そして2020年上半期における小型/普通車の販売トップ3車は、1位:ライズ、2位:カローラ、3位:フィットだ。直近の7月のみでは、1位:ヤリス、2位:ライズ、3位:カローラと続く。ライズやヤリスと併せて、カローラの人気も根強い。

 ただし日本自動車販売協会連合会が公表するカローラの登録台数は、複数のタイプで構成される「カローラシリーズ」の合計だ。2020年上半期のカローラの登録台数を、ボディタイプ別に1カ月平均で算出すると以下のようになる。

 1位:カローラツーリング(1カ月平均/4465台)、2位:カローラセダン(1577台)、3位:カローラスポーツ(950台)、4位:カローラフィールダー(805台)、5位:カローラアクシオ(592台)。

2018年にカローラスポーツ(写真左手前)、2019年にカローラ(セダン)、カローラツーリング(写真右上)に生まれ変わった現行型カローラファミリー

 ここで注目されるのは「カローラフィールダー」と「カローラアクシオ」だ。この2車は先代型の継続生産モデルで、新型のツーリング/セダン/スポーツが3ナンバー車になるのに対して、5ナンバーサイズに収まる。エンジンは直列4気筒1.5Lのノーマルタイプとハイブリッドを用意するが、グレードはベーシックな「EX」のみだ。ノーマルエンジンのエアコンは、オートではなくマニュアルタイプになる。

現行型に席は譲ったものの、現在も引き続き販売されているカローラフィールダーとカローラアクシオ。今回の主役だ

 従来型のカローラフィールダーとカローラアクシオを継続生産する理由は、以前からカローラには法人需要が多いためだ。カローラの開発者は以下のようにコメントしている。

「歴代カローラのお客様を見ると、セダンでは法人比率が約50%に達していた。ワゴンでも25%程度を法人のお客様が占める。そうなると3ナンバー車になった新型と併せて、5ナンバーサイズのアクシオとフィールダーも残す必要があった。法人のお客様では、社内的な規則などにより、5ナンバー車しか購入できない場合もあるからだ」

 新型カローラは、各種の装備を充実させてエンジン排気量も1.8Lや1.2Lターボになるから、価格は最も安い「セダンG-X」でも193万6000円だ。継続生産される「1.5EX」なら、装備が簡素になる代わりに価格はCVTが166万6500円、5速MTなら154万6600円と安い。価格で単純に線引きされる場合、設計が古く装備が乏しくても、安価な5ナンバー車を購入する場合がある。

■なぜ旧型は売れている? 現場が語るその理由

 それにしても、継続生産のカローラアクシオとフィールダーの台数を合計すると、2020年上半期の1カ月平均が1397台に達する。これは新型になったカローラセダンの1577台に迫る売れ行きで、カローラスポーツ(5ドアハッチバック)の950台を上まわる。カローラシリーズ全体の17%を継続生産モデルが占めた。

 この販売構成は、法人からレンタカーまで、さまざまな需要に支えられるカローラならではだろう。クルマは個人ユーザーだけが買う商品ではなく、用途は多岐にわたる。カローラアクシオとフィールダーが好調に売れる背景には、カローラブランドの、そしてトヨタの販売面における根強さがあるわけだ。

新型カローラ登場後も、引き続き販売を継続している5ナンバーセダンのカローラアクシオ。全長4400×全幅1695×全高1460mmと、今では希少な5ナンバーセダン

5ナンバーサイズの従来型カローラフィールダー。アクシオ/フィールダーともにガソリンエンジンとハイブリッドを設定しているが、グレードはベーシックな「EX」のみとなっている

 カローラアクシオ&フィールダーの堅調な売れ行きについて、トヨタの販売店に尋ねると以下のような返答だった。

「購入するのは大半が法人のお客様だ。カローラアクシオは営業車、ワゴンのフィールダーは、プロボックスのようなバンの代わりに使われることが多い。プロボックスは耐久性が高いが、バン仕様だから後席は狭い。車検期間も初回は2年だが、その後は毎年受ける」

「しかも価格は相応に高いから、法人のお客様がプロボックスではなくカローラフィールダーを選ぶことも多い。また車庫が狭く3ナンバーサイズのカローラではドアを開閉しにくいお客様が、継続生産モデルを購入することもある」

 プロボックスに電動格納式ドアミラーや前席ヘッドレストの上下調節機能を装着した「Fグレード」は、価格が172万7000円だ。これと比較して、カローラフィールダー「EX」を選ぶユーザーもいるだろう。

 カローラフィールダー「EX」の価格は181万8300円だから約9万円高いが、後席のスペースが拡大され、サイド&カーテンエアバッグ、スマートキーなども標準装着される。車検期間の違いも含めれば、継続生産型とはいえ、カローラフィールダーにも魅力がある。

■3ナンバー化する国内向けモデル 新たな5ナンバーサイズ車にも期待

 ただし新型になった3ナンバーサイズのカローラと継続生産型のアクシオ&フィールダーでは、クルマの造りがまったく違う。走行安定性、乗り心地、内装の質、そして安全装備には大きな差がある。

 カローラアクシオ&フィールダーの発売は2012年だが、プラットフォームは2010年に登場した「ヴィッツ」と同じだ。TNGAの考え方に基づく新型カローラと比べれば、機能や装備が大幅に見劣りする。

 そこで、開発者に継続生産型をいつまで造るのか尋ねると「まったく未定です」と返答された。将来のことはコメントできないから当たり前の反応だが、明確には決まっていない様子だった。

 売れ行きが下がった段階でやめればいい話だが、継続生産型が1カ月平均で約1400台も登録されるのは、根強い需要がある証だ。5ナンバーサイズの「ヤリス」は、走行安定性と乗り心地のバランスが優れているので、これのプラットフォームをベースに、かつてのプラッツ&ベルタのようなコンパクトセダンを開発する方法もあるだろう。

 ヴィッツをベースに「プラッツ&ベルタ」を造っていた時代は、各メーカーが5ナンバーサイズのセダンを用意していた。

初代ヴィッツをベースに造られた「プラッツ(前期型)」。キャビンとトランクが広く、法人需要も多かった

プラッツの後継車で、2代目ヴィッツをベースとしていた「ベルタ」。スタイリングに苦心したプラッツと比べて、不自由のないデザインにまとめていた

 トヨタでは「カローラアクシオ」と「プレミオ&アリオン」、日産なら「ティーダラティオ」と「ブルーバードシルフィ」、三菱は「ランサー」という具合だ。そのために「プラッツ&ベルタ」の売れ行きは伸び悩んだが、今はホンダグレイスも終了して、5ナンバーセダンは発売後13年を経過するプレミオ&アリオンとカローラアクシオだけだ。

 セダンとワゴンの売れ行きが下がったのは確かだが、5ナンバー車が皆無になると、クルマの選択に困るユーザーも生じるだろう。

 例えばマツダの場合、ボディサイズの拡大や後方視界の悪化によって、教習車の開発が困難になった。そこで日本では売られていないタイ製の「マツダ2セダン」をベースに、教習車を開発している。マツダ2セダンなら5ナンバーサイズに収まるからだ。いい換えれば今の日本車では、日本の教習を行えないことになってしまう。日本のドライバーを育てる大切な教習車を、海外から調達せねばならない現実がある。

2019年、マツダは日本で販売していないマツダ2セダンを、教習車として新規採用

 カローラアクシオ&フィールダーは、運転しやすい5ナンバーサイズのボディでありながら、後席や荷室は3ナンバー車の新型カローラよりも広い。この特徴を継承しながら、ヤリスのプラットフォームを使ってフルモデルチェンジを行い、走行安定性と乗り心地のバランスを引き上げて欲しい。新しい5ナンバーサイズのセダン&ワゴンに挑んでこそ、日本のトヨタではないのか。

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