■ちょっとほっこりしてしまいそうなブサカワなクルマたち
クルマの販売を左右する要素のひとつに、デザインがあります。とくにクルマの顔というべきフロントフェイスは、全体の印象を決めてしまうほど重要です。
多くの人はフロントフェイスを見た時に、「カッコイイ」や「カワイイ」などと表現しますが、なかには「カッコ悪い」や「ブサイク」と評されるクルマも存在。
そこで、一見ブサイクながら、良く見るとカワイさもあるデザインのクルマを5車種ピックアップして紹介します。
●三菱「ミニカトッポ タウンビー」
1990年に登場した初代三菱「ミニカトッポ」は、5代目「ミニカ」のルーフを高くすることで、広い室内を実現した軽ワゴン/バンです。
1993年に発売された2代目のスタイルは初代からのキープコンセプトとで、フロントフェイスを中心に刷新されました。
そして、1997年にはレトロ調なフロントフェイスを採用した「ミニカトッポ タウンビー」が追加ラインナップされます。
なお、レトロ調デザインのモデルは、当時、軽自動車メーカー各社から販売されており、ちょっとした流行になっていました。
フロントフェンダーから飛び出した特徴的な丸型ヘッドライトは、まるで「出目金」のようで、大型のフロントグリルと相まって、口を開けて「ポカーン」とした表情に見えます。
キャビンとフロントフェイスのデザインが、まったくマッチしていないという、かなり斬新な印象でした。
●ホンダ「アメイズ」
ホンダが2018年にインドで発売したコンパクトセダン「アメイズ」は、同社のセダンラインナップのエントリーモデルです。
ボディサイズは全長3995mm×全幅1695mm×全高1501mmと、全長、全幅は新型「フィット」と同等のコンパクトさで、車重も905kgからと軽量。
フロントフェイスは「CR-V」のようにボンネット部分が高い独特なデザインで、押出し感のある印象となっていますが、全長が短いため横から見るとかなりユニークな造形です。
ホンダはアメイズのデザインを「空力にも配慮した洗練されたセダンスタイル」とアピールしていますが、「でこっぱち顔」のフロントフェイスと前後に圧縮されたようなサイドビューは、お世辞にもバランスが良いとはいえません。
なお、インドでの価格は日本円で約95万円からとリーズナブルな設定となっています。
●日産「クエスト」
1992年に発売された日産「クエスト」は、北米専用の7人乗り大型ミニバンとして開発されました。
生産はオハイオ州の工場でおこなわれ、1995年にはオーテックジャパンが輸入して左ハンドルのまま日本でも販売されましたが、リアのスライドドアが右側だけだったためか、ヒットには至っていません。
1998年にモデルチェンジされた2代目は、初代から大きく変わらないキープコンセプトとしていましたが、フロントフェイスは一新されました。
初代とくらべてアクの強い顔になったうえ、2001年のマイナーチェンジでさらにフロントフェイスのデザインが変更され、フロントグリル一体型バンパーのグリル部分に横一直線の上下スプリッターが付き、まるで「できそこないの悪役ロボット」のようなブサカワイイ顔になります。
2代目クエストは2002年に一旦販売を終了しますが2004年に3代目が登場し、デザインはすべて一新されて、もはやブサイクではなくなってしまいました。
■欧州車でもブサカワなモデルがあった!
●シトロエン「C3エアクロスSUV」
2017年10月に本国フランスで発売され、好調なセールスを記録したシトロエン「C3エアクロスSUV」が、2019年の夏に日本でも発売されました。先に発売された「C5エアクロスSUV」に続く、シトロエンの個性派SUV第2弾です。
ボディサイズは全長4160mm×全幅1765mm×全高1630mmとコンパクトで、日本の道路でもストレスなく走れるサイズとなっています。
ラインナップはベーシックな「フィール」と、装備が充実した「シャイン」の2グレードを展開し、価格(消費税込)はフィールが263万8000円、シャインが279万1000円と、輸入SUVとしてかなり戦略的な設定です。
スタイリングはコロっとした印象で、2色のルーフカラーや3色のカラーパック(ヘッドライトユニットベゼルやドアミラーなど)が用意されていることで、自分好みの組み合わせが可能です。
フロントフェイスは細長い目のようなデイタイムライトに、ヘッドライトがほっぺた、グリルが口に見え、まるで不機嫌な子どものようなシトロエンらしさにあふれるブサカワイイ顔となっています。
●ダイハツ「ミラココア プラスX」
2009年に発売されたダイハツ「ミラココア」は、「ミラ」をベースにファンシーな印象にデザインされ、女性をターゲットとしたワゴンタイプの軽自動車です。
搭載されたエンジンは58馬力の660cc直列3気筒自然吸気のみで、日常の利用には十分な性能を発揮。
全体に丸みを帯びた外観は6ライトウインドウが特徴で、ややクラシカルな雰囲気もあり、丸型ヘッドライトのフロントフェイスと相まって「かわいい」印象です。
そして、2014年のマイナーチェンジで内外装のカラーバリエーションを160通りに増やすと同時に、「ココアプラスX」グレードは大型メッキグリルとなります。
この変更でフロントフェイスは、口を「イーッ!」としているような印象になってしまいました。
ミラココアはとにかくカワイイを強調していましたが、さすがに盛りすぎたのを反省したのか、2018年に発売された「ミラ トコット」では、ナチュラルさが強調されています。
※ ※ ※
クルマのデザインには、その時代の流行が反映されるケースが多く見受けられます。
近年では、精悍なフロントフェイスを実現するために、つり上がった目のようなヘッドライトの採用や、ピラーをブラックアウトしたフローティングルーフ、クーペスタイルのセダンやSUVがトレンドです。
しかし、これまで販売されたクルマを見ると、時が経って陳腐化してしまったデザインも散見されます。
デザインに正解は無いといいますが、長い年月を経ても色褪せない魅力を保ったクルマこそ、優れたデザインなのではないでしょうか。
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みんなのコメント
ブサイク ≫ カワイイ という市場評価になってしまい、
中身の良さは理解されないまま、販売不振が続いている。