ますます値上がり傾向にある高級2ドアクーペ、買うなら今!?
先進的な技術を数多く投入し、高級感を全面に押し出したトヨタの2ドアクーペと言えばソアラ。1981年にデビューし、2005年に日本国内でレクサスディーラーの開業に伴いSC430の名で専売モデルに生まれ変わるまで、24年で4代のモデルが生産された。
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初代・10系は国産車初のエレクトロニック・ディスプレイメーター(デジタルメーター)、世界初の小型ブラウン管を採用した車両情報表示システムのエレクトロ・マルチビジョンなど、当時としては画期的だったメカニカルなシステムが数多く導入され、ソアラ及びトヨタのブランドイメージを大きく向上させた。ゆえに今でもファンが多い1台だが、発売から40年近くが経つクルマだけあって、現在は状態が良い個体が少ない、ヤンチャな改造のベースとしても一世を風靡しただけにフルノーマルを探すのも難しく、150~300万円が相場となっている。
その初代のイメージを継承しつつ、洗練さに磨きをかけた2代目・20系も当時のハイソカーブームをけん引し、華やかなバブル期を彩った大ヒットモデルである。今もネオクラシカルなクルマが好きな人たちにとっては憧れの存在であり、80年代のクルマが集まるミーティングでは必ず見かける人気の車種だ。タマ数は年々減少傾向にあるが、初代と比べると選択の余地がある。ただ80年代に生産されたクルマ全体の希少価値が上がり、ソアラも今後ますます高値になるだろう。今回は20系ソアラの特徴や中古車市場の動向、乗る上で注意するべきポイントなどを紹介する。
初代の魅力を受け継ぎながら、先進性が格段にアップ
多くのクルマ好きを虜にした初代ソアラの登場から約5年、1986年1月にフルモデルチェンジして2代目がデビュー。スタイリングは初代が築き上げた高級車らしさを継承し、100m離れた場所からでもひと目でソアラと分かるようにデザインしたという。フロントとリアのコーナー部に丸みを持たせ、ウインドウは緩やかにカーブを付けた3次曲面ガラスを採用するなど、球体をイメージした滑らかなフォルムが美しい。
フロントグリルのエンブレムは伝統工芸の七宝で作るなど、当時のイメージリーダーカーに相応しい高級感の追求にも余念がなかった。ボディカラーは世界で初めて採用した真珠のような輝きを放つクリスタルパールマイカをはじめ、美しさを追求したバリエーションを用意していた。1988年1月にマイナーチェンジを行ったが、外装はフロントグリルやテールランプ、トランクスポイラーの意匠変更などわずかな変更に留めている。しかしオプションで角型のフォグランプを内蔵したフロントバンパーやサイドステップなどエアロパーツを設定し、人気を博した。
内装は高級感とスポーティさを融合させ、包み込まれるような落ち着きのある空間を作り上げている。スエード調生地の採用や手に触れる場所のほとんどにクッション性を持たせるなど素材にもこだわり、快適なドライブへと誘う。
メカニカルな機能も充実させ、初代に続きデジタルメーターを設定。しかし20系は視認性を向上させ、半透過式鏡による反射方式で鮮明な表示を実現した世界初のスペースビジョンメーターへと進化。バーグラフで表示されるタコメーターもドライバーの心を昂ぶらせた。さらに最上位グレードには、6インチカラーディスプレイのトヨタ・エレクトロ・マルチビジョンを用意。テレビの視聴や車両情報の表示など、充実した機能でプレミアムな雰囲気を味わうことができた。
エンジンは3リッターツインカム24バルブターボ、7M-GTEUを新開発。力強いトルクを発生する6気筒とレスポンスを高めるツインカム4バルブを組み合わせ、さらに空冷インタークーラー付きターボチャージャーの導入により当時の最高出力である230馬力を発生。2リッターはシングルカムの1G-EUとツインカムの1G-GEU、そして全回転域でパワフルな185馬力ツインカムターボの1G-GTEUの3種類を設定。
ミッションは4速オートマチックと5速マニュアル(2リッターのみ)を用意し、オートマは1G-EU搭載車を除き3つの走行パターンに切り替えできる電子制御式のECTを導入した。なお数回の改良により、ターボ車の出力を向上。3リッターは230→240馬力、2リッターは185→200→210馬力へと進化し、ハイオクガソリン仕様となっている。なお1G-EUは1989年の改良でツインカムの1G-FEに変更され、非力さを解消した。
足まわりは高い直進安定性とコーナリング性能を求め、4輪ダブルウィッシュボーン式を採用。高い剛性を持つロアアームやスタビライザーを装備することでしっかりとした足に仕上げている。また3リッターの最上級グレード「3.0GTリミテッド」には、世界に先駆けて電子制御エアサスペンションを導入。これは路面状況をセンサーが感知して、瞬時に減衰力や車高などを自動制御してくれるという画期的なシステム。後に8代目の13系クラウンや初代セルシオなど、多くの名車に採用された。
20系ソアラと言えば、マニアの間では知られた存在である限定車もチェックしておきたい。1989年4月に販売した「エアロキャビン」は、ルーフとリアウインドウを電動で格納式としたメタルトップを採用。オープンカーに乗っているかのような開放感がウリだったが、格納しても後部のクォーターガラスやCピラーはそのまま残るという不思議な見た目も周囲の興味を引きつけた。ルーフなどの収納スペースに充てるためリアシートはなく、2人乗りのみの設定。500台限定で販売されたが、中古車市場に出回ることは少ない。
長く付き合うなら、高くても上質な中古車を選ぶべし
20系ソアラは今でもファンが多い名車。それだけに走行距離が20万キロ近くでも、外装が劣化していたり内装がボロボロでも、市場では一定の値が付けられている。中古車相場はピンキリで、80~350万円と幅広い(筆者調べ)。
まだ2ケタ台で出回っているタマがあるのは意外だが、写真ではキレイに見えても実際は各部の劣化が激しかったりする。そうなると「美車」のクオリティに持っていくには相当手を入れないとならず、かえってお金がかかることも。安いのはそれなりの理由があるのだ。
中古車のセオリー通り低走行で各部の劣化が少ない個体は高値が付いているが、さらにエアロパーツやサンルーフなど高価な純正オプションが付いていると価値が上乗せされる。走りを楽しめるのはもちろん、オートマと比べて修理にかかる費用が少ない5速マニュアルミッションも高値で推移している。
流通しているのは1988年1月以降の後期型が圧倒的に多い。排気量で見ると2リッターの方が多く出回っており、その中でもツインターボが断トツで人気。カラーリングは当時もバカ売れした単色のホワイトやパールツートンが流通している個体の大半を占めているが、ネオクラシックカーに強い某中古車店に聞くと、「密かに黒ツートンも人気です。ツヤがない白いボディの個体を買ってわざわざ塗り直した方もいます」とのこと。
30年以上前に販売されたクルマだけあり、個体の程度は1台1台異なる。高値の車両はヤレなどをキッチリ仕上げて販売されているケースが多いが、そうでない場合はちょっとくたびれた感がある。例えば外装は塗装のヤレ。特に目にするのがドアミラーの付け根など樹脂部品の塗装剥がれ。塗装がパリパリに割れて地が出ている個体をよく目にする。
内装に関してはダッシュボードが直射日光で変形して浮き、グローブボックスやセンターパネルのすき間が広がっていることが多い。ダッシュボードの上部が割れて表面がめくれ上がり、内部のウレタンが露出しているひどいケースもある。またサイドブレーキのブーツやアームレストの擦れも多く見られる。外装に関しては再塗装などの補修でまだリカバリーできる余地があるが、内装に関してはほとんどの部品が販売を終了しているため、「新品に交換すればいいや」という安易な考えは通用しない。予算に余裕があるなら、各部の劣化が少ない個体を選びたい。
機関に関しては、ショップまたは前オーナーの手でしっかりメンテナンスされているかをチェックしたい。年式を考えると油脂類のトラブルが多く、シール類の劣化によるオイル漏れやターボ車にありがちなオイル下がりによる白煙などのトラブルが見られる。またホース類や足まわりのブッシュなどゴム類の劣化も避けられないので、長く乗りたいならそれらを交換してリフレッシュしておこう。足まわりで言えば3リッターの一部グレードに採用された電子制御エアサスペンションはエアバッグが劣化して空気が抜けて見た目がノーサス状態になっていたり、センサーなどの不具合で動作が不安定な個体は避けたい。ハイテクな装備を数多く装備したクルマほど、故障する可能性が高いことを頭に入れておこう。
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