カーライフ・ドライブを楽しむ [2023.02.10 UP]
イマドキの週末旅はこう楽しむ! クルマと温泉。
寄り道を楽しむ!「プラスα」得られるイマドキ車旅の新常識を伝授!
快適な移動と最高の湯に癒やされる休日──
「withコロナ時代」を更新した2023年。年末年始の人の出入りを見てみると、旅行へ出かける人が増えたことがわかる。つまり、人々の生活に“当たり前の日常”が戻ってきつつあるということだ。感染予防対策を取り入れたうえで、以前は気軽に楽しんでいた自由な旅を、また存分に味わおう。愛車を持っているなら、旅へ、温泉へ出かけようではないか。
構成・文/フォッケウルフ 撮影/木村博道 モデル/比嘉将太
(掲載されている内容はグー本誌 2023年2月発売号掲載の内容です)
[撮影協力]箱根吟遊 神奈川県足柄下郡箱根町宮ノ下100-1 ☎0460-82-3355 hakoneginyu.co.jp
なぜ、人は温泉へ行くのか?
日本にはあちこちに温泉地がある。観光地の半分くらいは温泉地なんじゃないかと思えてしまうほどだ。だから、もしアナタがクルマを持っているなら、温泉へ行くのはたやすいことである。となれば、周囲に数多く存在し、サルだって大好きな温泉まで、ドライブしない手はないではないか。
日本人と温泉との相性のよさを考える
日本人は温泉が好きだ。温泉地がこれだけ身近にある国土に生まれて、温泉嫌いに育つはずはない……というのは偏見だが(笑)、ある程度、歳をとると多くの人が温泉をありがたがるのは当然のことである。なにせ温泉には薬理効果があり、身体を癒やしてくれるのだから。
しかし、温泉地というのは山間部に多くあり、市街地から訪れるにはちょっとした旅をすることになる。そのとき、クルマであれば時間も航路も自由になり、休憩も寄り道も思いのままだ。そう考えると、クルマと温泉とは、非常に相性がいい組み合わせではないだろうか。
そもそも、くつろぐために温泉へ行こうというのに、行き帰りの道中で疲れるのはごめんである。愛車なら気心知れた人とのみ乗り合わせて行けるし、(ドライバー以外は)疲労することもそれほどないだろう。
また心理的な問題として、温泉に入ってから自宅へ帰る際、なるべくなら身体をさらしたくないという気持ちが発生する。公共交通機関を使う旅もまたいいものだが、どうしてもクルマの旅と比べて外の世界と接することが多くなってしまう。そう考えると、温泉へ行くのであればクルマで、という気持ちが湧くのも当然なのかもしれない。
人はなぜ温泉を目指すのか。この日本人としての大命題を解決するためにも、これからの季節にぴったりな温泉へ向けてドライブしたい。
答える人:温泉ソムリエ家元 遠間和広さん
温泉の魅力や歴史などに精通する、「温泉ソムリエ協会」の家元。温泉旅館の経営などに携わりながら温泉に関する研究を続け、2002年に温泉ソムリエの制度を発足した。
Q.温泉はどんなところにあるの?
ズバリ言うと、どこにでもあります。火山において、地下水が温められるとともに硫黄などの成分が溶け込んで温泉となります。そして、温度が低くても指定された成分が一定以上あれば温泉なので、火山がなくても温泉になります。日本は海に囲まれているため、岩盤に閉じ込められた太古の海水が温泉になったものもあり、内陸部の山間地であっても、地中を深く掘削すると温泉が出るのです。
Q.温泉の定義とはなんなのか?
「地中から湧出するもの」、つまり地下水が対象になります。自然湧出でなくても、掘削動力揚湯で人工的に地下水を手に入れても、以下の条件に当てはまっていれば温泉です。具体的な条件は、「源泉温度が25℃以上」または「19の成分の条件のうち1つでも規定値以上」なら温泉です。「または」なので、どちらか一方だけの条件を満たせばよく、冷たくても法律上は温泉になりますし、成分が入っていなくても温泉になり得るのです。
Q.なぜサルと日本人は温泉が好きなのか?
動物だって人間と同じように寒さをしのごうと温泉に入りたくなりますが、全世界的に見れば、温泉はそれほど身近にあるものではありません。ですから、そこに温泉があればサルをはじめとした動物だって入ります。日本には温泉地が約3000か所ありますが、これはケタ違いといっていいくらいの数字で、世界的にも圧倒的です。この狭い国土に世界一温泉地が多いから、日本人は必然的に温泉好きになったのでしょう。海外では水着を着て温かいプール感覚で入る方が多いので、やはり日本の温泉文化は独特ですね。
Q.温泉はどうして体にいいのか?
温泉には「温熱効果」「水圧効果」「浮力効果」などがあり、いろいろな要素で効果を発揮します。しかし、ここまでは自宅のお風呂も同じ効果があります。温泉ならではの効果というのは、成分による「薬理効果」です。たとえば、塩の成分が入っていると「切り傷」などに効果がありますし、酸性の温泉だと皮膚病に効果的です。
一人旅でも仲間との旅行でも(ないより)あったらうれしい装備
現代の自動車には、ストレスなく目的地へ着くための先進装備が数多く搭載されている。温泉までの道中、コネクト系装備をはじめとしたドライブの快適性を高める機能をうまく活用することで、ドライブの新しいカタチを見つけられるに違いない。
温泉で裸になる前までは便利な機能に囲まれたい
温泉旅行とは何か? それは日本人にとって「日常からの解放」ではないだろうか。温泉に入っているときは、完全にリラックスできる。ただ湯につかっているだけで、身体は芯から温まり、リフレッシュできるのだ。温泉のなかでワークアウトする必要はないし、もちろんパソコンやスマホともおさらばだ。文字通り「まっぱだか」になっていい瞬間というわけだ。
しかしだからこそ、温泉に向かう車内には、日常の便利さを持ち込みたい。車内は日常そのままのほうが、ストレスがないからだ。空調などの快適性のキープは言うまでもないが、目的地に迷いなく到着したいし、エンタメも存分に楽しみ、連絡にはできるだけサクサク対応したい。
ストレスのない日常に必要なものの筆頭は、スマホを筆頭とする通信機器だ。車内でそれらを、どれだけ使いこなせるかで、道中の快適性が決まる。もちろん、運転中のスマホの注視や操作は道交法で禁止されている。出発前や休憩中に素早く対応しつつ、車内では、音声のみで何ができるかもカギになる。
最新のクルマはこういった面の進化が著しい。スマホにかぎらず、いまや「コネクト」は、クルマにとって必須の機能なのだ。
【その1】コネクト機能
◦エアコンもリモート操作!
クルマとスマホをつなげれば、車外からクルマの機能操作が行える。たとえば、事前にエアコンを起動しておけば、乗車時に車内はすでに暖まっていて快適だ。
◦地図は自動で更新される!
ホンダのコネクト機能「Honda CONNECT」には、自動地図更新サービスがある。同様の機能があれば、新規開通した道路が登録されたりしてドライブがさらに楽になる。
◦車内Wi-Fiでネットも快適!
スマホの通信速度制限などでドライブ中や出かけ先でネットのつながりが悪いと不快だが、愛車にWi-Fiさえ搭載されていれば、クルマ経由で快適な動作環境を味わえる。
◦トラブルがあればヘルプ!
緊急時にサポートセンサーにつながるボタンは、多くの新型車に採用されている。事故、あおり運転といったトラブル時にすぐ連絡できるので、安心してドライブできる。
【その2】ワイヤレス充電
日々の生活のお供として欠かせないスマホ。運転中は使わないため、その間は充電しておきたい。ワイヤレス充電システムが搭載されているクルマなら、スマホをそこに置くだけで充電されるので、ケーブルをつなぐ手間から解放される。
【その3】シートヒーター
寒い日ほど暖かい温泉につかりたいと思うものだが、寒い日はエアコンが始動して温風が出てくるまでの時間が苦痛である。その点、シートヒーターは、すぐに効果を発揮して1分もしないうちに身体を温められる、ありがたい装備だ。
【その4】音声認識システム
旅行へ行けば、たいていの場合、知らない街を走るわけだが、慣れない道を走っているときはインパネに手を伸ばすだけで危険な目にあうことも。しかし、音声認識システムが付いていれば、声をかけるだけで機能が使えるので安心だ。
ストレスなく走ること = 快適性と安全性の追求につながる!
先進の運転支援装置が……
「○ある! だからストレスなし」
「×ない! だからちょっとストレス……」
温泉宿まで向かう道中には、一般道はもちろんのこと、高速道路や山道だってあるかもしれない。では、そのようなシーンを走る温泉までの移動において、愛車に必要なテクノロジーとはなんだろうか。それはズバリ、運転のストレスを減らすものでなくてはならない。最新の運転支援装置がストレス減少に役立つ装備である理由は、運転時の安全性と快適性を高めてくれるから。一度使ったらもうこれなしではドライブはできない?
一度でも使ってみれば目からウロコが落ちるはず
日本人にとって温泉は、快適さの象徴だ。そこはストレスフリーの空間だが、じつは運転中でも、同種のストレスフリーを味わうことが可能になっている。
自動ブレーキ系の先進安全装備も、大きな安心材料ではあるが、実際に作動させた経験のある人は少ないし、あくまで転ばぬ先の杖だ。温泉へ向かう車内で常に威力を発揮するのは、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントール)に代表される、先進運転支援装置のほうである。
近年のクルマには、軽自動車にもACCが装備されているが、実際に使ったことのある人は、まだそれほど多くはない。快適な高速道路では、そこまでは必要ないと感じても不思議はないが、せっかく装備されているならば、一度使ってみてほしい。「こんなに快適だったのか!」と、目からウロコが落ちるはずだ。
最新のクルマは、ACCをオンにすると、自動的に設定速度を維持しつつ、前走車に追いつけば車間距離をキープして追従してくれる。同時にレーンキープアシストも作動して、ハンドル操作を補助してくれる。どちらも補助ではあるけれど、この快適さは温泉気分! 運転中からもう、お湯につかっているようだ。
あんなとき助かる、こんなとき楽になる!
渋滞中の高速道路でも気楽に過ごせる
高速道路を一定速度で走れて、前方車がいれば車間をキープし、自動でブレーキまでかけてくれるのがACC。取材用の比較車両もACC搭載車ではあったが、渋滞時に停車すると機能が解除されてしまった。ヴェゼルのような最新の全車速対応(渋滞追従機能付き)ACCが理想的だ。
重要な速度規制を見逃さないために
最近のクルマによく搭載されているのが標識認識機能だ。道路上のスピード表示(車種によっては一時停止なども)をカメラで捉えると、メーター内に表示し続けてくれる。おかげで、「ここ制限速度何km/hだっけ?」とドキドキしながら走ることはしなくて済むようになる。
ステアリング操作を自動で補助してくれる
レーンキープ機能は車線維持支援システムなどとも呼ばれるが、カメラやセンサーで道路上の白線を読み取り、車線内を維持するようステアリング操作をアシストしてくれる。現行型ヴェゼルは標準装備だが、少し古い車種では、警告のみで操作支援のないものもあるので注意したい。
先行車の発進を音と表示で知らせてくれる
信号待ちなどで停車した後、前方のクルマが発車してもそれに気づかず発車が遅れたという経験は多くの人が思いあたるはず。めぐり合わせが悪ければ、後続車からのあおり運転にも発展しかねないが、最新車種に搭載される先行車発進お知らせ機能があれば安心だ。
Column
ドライブモードスイッチは運転を楽しくし快適にもする魔法のスイッチ!?
ドライブする距離が長いと、運転に自信のない人や慣れていない人は疲れてしまいがち。特に温泉は山中にあることも多いため、連続したカーブがつらいという人もいるだろう。しかし最近は多くのクルマにドライブモードを選択できるスイッチが付いている。力強い走りのスポーツモードやなめらかな走りのエコモードなどを選べるため、自分にぴったりの加速感を選んで走ることができる。また、パドルシフトや減速セレクターなどの装備があれば、減速感を自在にコントロールできるので、操作性も楽しめるようになる。
[検証]巷でささやかれている〝使い勝手のいいクルマ〟ってどんなところが優れているのか?
装備というのは車種が新しいか古いかで決まってくる部分が大きいが、クルマ本来の便利さについてはどうだろうか。旅には欠かせない荷室の使い勝手について、今回温泉宿までの旅のお供として取材陣が乗ってきたホンダの現行型ヴェゼルとスバルの先代型フォレスターとで比較しながら見ていきたい。
ストレスフリーなクルマで温泉という小さな天国へ
温泉はストレスのない「小さな天国」だ。そこへ行くときには、すべてにおいて、ストレスフリーでありたいものだ。
温泉に大荷物を持っていく人は少ないだろうから、特大の荷物スペースが必要というわけではないが、その使い勝手がいいに越したことはない。開口部は低くて段差がないほうがいいし、後席をたたんで広々空間が作れれば、さらに可能性が広がる。
到着してクルマを降り、宿に向かうときは、テールゲートがハンズフリーで開いてくれたら、これから向かう「小さな天国」へのステキなプレリュードになるだろう。帰路には必ずお土産を買いたくなるから、荷室へのアクセス回数は意外と多い。食品を買って帰る場合、夏場なら荷室にもエアコンが効くタイプのクルマのほうが、安心だったりする。
そういった使い勝手のよさを満たしてくれるクルマを手に入れれば、温泉ドライブにかぎらず、日々「購入してよかったなぁ」と、小さなシアワセに満たされるに違いない。
検証 01
ヴェゼル(現行型)
フォレスター(先代型)
開口部は低くて段差がないほうがいい?
温泉までの小旅行となれば荷物や土産などを収納するためにも荷室が活躍する。最も重要となってくるのは、なんといっても収納しやすさ。開口部は広いほうが入れやすいし、重いものを入れるのであれば、下部が低くなっているほうがありがたい。そして、開口部の下部についても、フラットになっていたほうが荷物を積みやすい。今回の現行型ヴェゼルでは段差があり、先代型フォレスターのほうが段差が小さく荷物を積みやすかった。新しさばかりが問題ではないということだ。
検証 02
ダイブダウンで床面はどれだけフラットになる?
ダイブダウンとはリアシートを床下(あるいは床と同等)に沈み込むように倒せる機能のことで、これにより拡大された荷室スペースの床面をフラットにできる。現行型ヴェゼルではこのダイブダウン機能が採用されており、倒したときの荷室がしっかりフラットなスペースに(写真)。先代型フォレスターのリアシートはシートバックのみ倒れるタイプで、ワンタッチで倒せるものの、やはり少しだけ床面の前方が浮き上がるような形になってしまった。
検証 03
ハンズフリーテールゲートって使える機能?
SUVはもちろんミニバンなどでも、近年のクルマに多く採用されているのがハンズフリーテールゲート機能だ。両手に荷物を抱えたままでもキーさえ携帯していれば、足をリアバンパー下にサッと差し入れるだけで、ゲートを自動で開くことができる。現行型ヴェゼルでは上級グレードに採用されており、先代型フォレスターはグレードによってパワーリアゲートが搭載されているが、残念ながらハンズフリー機能はない。雨の日などにも助かる便利な機能だ。
検証 04
荷室内側には凸凹がないに越したことはない?
荷室スペースの広さというのはたいてい車両の大きさに準拠するが、車体構造によって違いも出てくる。サスペンションやタイヤの配置によって荷室内の壁面が凸凹した形状になってしまうことがあるのだ。先代型フォレスター(写真左)は、現行型ヴェゼル(写真右)と比べて凸凹している。ただしこれ、凹んでいる部分は荷室幅が広いことだってある。また、使い方によってはこの凹みがあるほうがいいことも……。ユーザーの使い方次第で、便利にも不便にもなる部分なのだ。
次はどの温泉へ行こうか?
どんなクルマでも味わえる温泉旅の魅力
そもそもクルマというのは移動のための道具であり、所有しているだけで行動欲求をかき立てられるものだ。だからこれからの旅をするのにふさわしい快適な時期に、もし時間に余裕があるようなら、その欲求に素直に答える形で温泉へドライブへ出かけてみてはどうか。宿泊旅行でも日帰りでも、きっとそこには想像しえなかった出会いや発見があるに違いない。いつの時代だって、新しい車種でも古い車種でも、クルマで行く旅の価値はプライスレスなのだ。
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