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バブル期に流行ったヒロ・ヤマガタ氏のアートカーが日本で販売! 「メルセデス・ベンツ」に描かれたモチーフとは

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バブル期に流行ったヒロ・ヤマガタ氏のアートカーが日本で販売! 「メルセデス・ベンツ」に描かれたモチーフとは

アートカーの二台に2000万円のプライスを設定

 現代アートの世界的大家、ヒロ・ヤマガタ画伯が1950年代のメルセデス・ベンツをキャンバスとして仕立てた連作「アースリー・パラダイス(Earthly Paradise:地上の楽園)」は、このAMWでもRMサザビーズ「Monterey」オークション(2022年8月19~21日)のレビュー記事で紹介したので、記憶している方も多いことだろう。

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 その記事内で、この連作のうち半数近くが日本国内に生息していると述べたのだが、実は筆者がキュレーションを務めている私設自動車博物館「ワクイミュージアム」のクラシックカー販売部門において非定期開催されている商談イベントに、二台のアースリー・パラダイス作品が相次いで出品。つぶさに観察する機会があったので、今回は詳しくお話しさせていただきたい。

「世界的現代アートの大家が制作した、アートカーの代表格」

 埼玉県加須市にあるワクイミュージアムでは、かねてから名車を所有するということを「自動車文化財の一時預かり」と定義づけており、もともとの母体であるクラシックカー販売部門「ヘリテージ」でも、顧客たちともそのフィロソフィを共有。さらに2022年春からは創業者、涌井清春館長の信条をより明確なかたちで体現した販売イベント「名車継承販売会」をスタートさせた。

 博物館企画展としての側面も持つこのイベントは、日本の愛好家たちが長らく愛してきた文字どおりの愛車を、次なる文化財預かり人に継承する橋渡しとなることが目的という。そしてこの6月に開催された第二回の名車継承販売会、8月の同イベントにおいても「アートカー」と呼ばれるジャンルの概念を代表する歴史的名作。ヒロ・ヤマガタ氏が1950年代のメルセデス・ベンツに彩色を施した「アースリー・パラダイス」のうち二台が、相次いで展示・販売されることになったのだ。

 ヤマガタ氏の代表作のひとつと称される「アースリー・パラダイス」シリーズは、1980~90年代にかけて制作。彼自身がロサンゼルスの自宅アトリエ周辺で愛用したのと同じメルセデス・ベンツ220カブリオレAに、南太平洋の自然や動物をモチーフとした絵画をアクリル絵の具で手描きしたものである。

 この作品を創るために、ヤマガタ氏は自ら世界を飛び回り、実にのべ20年をかけて30台のメルセデスを探し出して修復。そのうちの24台が同氏自身、および仲間のアーティストの手を借りながら完成に至ったという。

 そして、その年のロサンゼルス市立博物館の企画展を皮切りに世界巡回展をスタート。翌年以降も箱根彫刻の森美術館や、イタリア・ヴェネツィアの「文化とコミュニケーション展」。モナコ王立博物館アンティークカーコレクション展、そしてスウェーデン国王の招待によるストックホルムロイヤルミュージアムなど、そうそうたるステージで展示されてきた。

 また、これらの作品群を題材としたシルクスクリーン作品やアートブックもヤマガタ氏自身、およびビート派の詩人アレン・ギンズバーグ氏との共著によって制作され、そちらも大きな話題となった。

「二台のアースリー・パラダイス作品」

 このほど「ワクイミュージアム名車継承販売会」にて展示・販売されたのは、ヒロ・ヤマガタ「アースリー・パラダイス」シリーズに属する「ウェディング(WEDDING)」と「シェル(Shell)」の二台。紫に近い濃紺をベースにたくさんの鳥が描かれている作品がウェディングで、純白をベースに巨大な貝殻が描き込まれている方がシェルである。

 ウェディングについては、リアフェンダーにはヤマガタ氏のサインとともに「1996」の文字も描き込まれていることから、この年に完成したものと推測される。

 本革レザーと天然ウッドで構成されるインテリアは、二台ともにメルセデス・ベンツ220カブリオレAの正しいスペックで30年前にレストアされたまま、現在でもほぼ完ぺきなコンディションを見せていた。

 いっぽうアクリル絵の具で描かれたボディのペイントは、順当に「枯れ」、つまり艶落ちやひび割れなどを帯びてきているものの、この経年変化もまたヤマガタ氏が意図したものという見方もあるようだ。

 実は、この二台のオーナーは同一人物。ヤマガタ氏の描いたアートワークを守るために直射日光を浴びさせない、あるいは水には濡らさないなどの「ルール」を自らに課し、これまで大切に保有してはきたものの、入手から長年の月日を経て、そろそろ次代の「文化財預かり人」に継承する時期を迎えたと考え、この作品を真に理解でき得る愛好家のみを対象として、売りに出すことを決意したという。

 テクノロジーと自然の調和を、継続する価値の象徴たるクラシックカーを媒体として表現するという現在のSDGsにも通じる考え方を40年も前に着想し、それを見事なアート作品として体現したアースリー・パラダイス「ウェディング」と「シェル」。この稀代のアートカー二台に、ワクイミュージアムでは双方とも2000万円のプライスを設定した。

 近年の国際クラシックカー市場において、メルセデス・ベンツ220カブリオレAの相場価格が1500~2000万円前後で推移していること。そしてこの作品の知名度とカリスマ性を考慮すれば、この販売価格はむしろリーズナブルと感じてしまったのだが、その想いが的中するように、先行販売された「ウェディング」はイベント期間中に次なる文化財預かり人が決まり、「シェル」も現在商談が進行中とのことである。

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みんなのコメント

2件
  • この人の版画を高い値段で買っても
    売るときには数万円。
    購入者が金銭的にえらい目に合うのは
    ラッセンと双璧と思いますけど。
    売れば二束三文にしかならない品を
    高額で買って、満足するのは
    なかなか、私には難しい
  • ああいたね。そんな人
    消えたなあ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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