常に最新が定番となるコンプリートカスタム・GT-Mの好例
カワサキZの前後17インチホイール化と現代化を軸にしたコンプリートカスタム車のGT-M(Genuine Tuning Machine)を送り出すブルドック。開店から20年で培ってきたのは、機械としての空冷Zを正確に捉え、知り尽くすこと。
その車両構築のすべてのベース=基準点となっているのは、クランクシャフト。真っ直ぐで曲がりのないクランクシャフトを基準に、クランクケースやシリンダー、ピストンの位置関係(必要な面とクランクの平行、シリンダー/ピストンでは直交)を正しく作る。すると加工後のエンジンはスムーズに、4気筒均質に動くことになる。この関係は数値化される、つまり正しい設計図から正しく動くものが質を維持して作れるという量産車の手法に入り込んでいる。
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しかも量産車にある、機械加工の公差による仕上げのズレや数値ブレは極力抑えられる。これは意図的に当たりの個体を作ってしまえると理解してもいい。
必要な数字=ノックピンのピッチや基準点のデータがあって、加工用の治具があり、加工の基準点も明確。すると作業は一貫して行えるし、途中で何か起こっても、すぐに対応出来る。ここにブルドックが自社で内燃機加工を行うメリットがプラスされることになる。こうした加工と組み立てがブルドックの社内で並行して行われるから、どちらかに異常があったらすぐ対策出来る。これも内製のメリットだ。
フレームについても同様にクランクシャフトを基準にしてステアリングヘッドやスイングアームピボット位置を決める。クランクシャフトはエンジンのみでなく、Zという車両全体の基準となるわけだ。
このZ1はそうして構築されたGT-Mの近作。駆け足で説明したが、きちんとした基準点をひとつ決め、そこからすべてを丁寧に積み上げていく手法は、吟味されたパーツやセッティングとともに、空冷Zに集約されていく。
こうして空冷Zを改めて知り、再構築することで確たるベースができるから、GT-Mには常に最新の技術、例えばクロスミッションや、最新デザイン/機能を持つピスタルレーシング製鍛造ピストンなどが効果的に採り入れられ、定番化していくわけだ。
単に今風に作ったでなく、進化した車両という印象には、こんな裏付けがあった。その上で“超カスタムなのに自然なたたずまい”とブルドック・和久井さんが常々言うGT-Mのもうひとつのテーマを実現した作り込みにも、注目しておきたい。
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Detailed Description 詳細説明
ハンドルはこのところのGT-Mで多いという、セパレートタイプをトップブリッジ下でクランプ。左右マスターシリンダーはブレンボRCS。メーターはZ1ノーマルでヨシムラ・プログレスメーターを追加。ステムは17インチに適合するマッコイで、タンクもマッコイ製アルミを装着。
ライダー部とタンデム部で表皮を変えて、シングルシートライクな印象も盛り込んだシートはマッコイ・スプリーム。これもGT-M定番アイテムだ。
この車両ではオーナーの希望で超小型の車検対応LEDウインカーを使う。フロント側はヘッドライトステーに装着されている。
エンジンはクランクシャフトを基準に再構築され、内燃機加工もブルドックによる。排気量はピスタルレーシング製φ72mm鍛造ピストンで1135ccに。ヘッドのオイルバイパスラインを追加、クラッチ油圧化やアウトボード&オフセットスプロケットも装備。
電装の現代化も行い、6速とともに人気というオリジナル5速クロスミッションを装備する。なお、GT-Mの自社内製率は今や90%を超えるほどという。
キャブレターはFCRφ35mmを選択。キャブ種類やメインボア径、ファンネルの仕様やセッティングもオーナーそれぞれに合わせている。
排気系は内部4-2-1構造のWin Mccoyチタンフルエキゾーストに、同じくWin Mccoyチタンサイレンサー(グラデーション)をセットした。
フロントフォークはオーリンズRWUで、フロントブレーキまわりにはブレンボGP4 RSキャリパー+サンスターディスク(ピンはMccoy)を装備する。
リヤブレーキはブレンボP2 34キャリパー+サンスターディスクで、前後ホイールはオリジナルのラヴォランテ3.50-17/6.00-17サイズ。
リヤショックもオーリンズ。スイングアームはアルミ7N01目の字5角断面材製のMccoy。ステップキットもMccoyブランドを装着している。
取材協力:ブルドック
レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部
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みんなのコメント
いざ手放す時に二束三文なのがカスタム車
身に染みて悲しい現実。
旧車は結局フレームとタイヤの問題にブチ当たってくるんだよ。
ダブルクレードルフレームに大径インチタイヤだと限界はあるよ。