1995年にバッテリーメーカーとして創業した中国のBYDは、2003年から自動車産業に参入した新しい自動車メーカーです。2023年9月20日から販売を開始するコンパクトEVの「DOLPHIN(ドルフィン)」は、2023年1月31日に日本での販売を開始したSUVの「ATTO3(アットスリー)」に次ぐ日本市場における第2弾モデル。発売に先駆けて実施されたメディア試乗会より、その魅力をお届けします。
日本独自のサイズや仕様に変更されたコンパクトEV「ドルフィン」
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BYD「DOLPHIN(ドルフィン)」は、都市部での住宅環境やセカンドカーなど、日常の足として最適なコンパクトEVです。
エクステリアは、海を自由に泳ぐイルカをモチーフとしています。イルカのつぶらな瞳を表現したヘッドライト、角が取れ丸みを帯びているボディ、躍動感あるサイドのキャラクターラインなどが特徴です。
インテリアは、シンプルでありながら海を彷彿とさせるカーブで描かれた室内となっています。また、波を表現したパーツやイルカのフィンをモチーフにしたドアノブを採用しているのもドルフィンらしいポイントです。
日本に導入される「DOLPHIN(ドルフィン)」は、全長4290mm、全幅1770mm、全高1550mm、重量1520~1580kgと一般的な機械式駐車場(全長5000mm、全幅1800mm、全高1550mm、重量2000kg)に入庫できるサイズ。ドルフィンに近いサイズのモデルは、トヨタ カローラスポーツ、マツダ MAZDA3、フォルクスワーゲン ゴルフなどとなります。
また、ドルフィンは日本向けにサイズや装備などがカスタマイズされています。日本向けドルフィンの主な変更点は以下の5つです。
・全高1550mm(その他の市場では1570mm)
・ウインカーレバーの位置(国産車から乗り換えても違和感のない右ウインカー仕様)
・急速充電CHAdeMOへの対応
・日本語の音声認識への対応
・誤発進抑制システムなどの運転支援システム
このような変更点からも日本での使い勝手を意識していることがわかります。
日本に導入されるグレードは、スタンダードモデル「BYD DOLPHIN」と容量が大きめのバッテリーに高出力モーターを組み合わせた「BYD DOLPHIN Long Range」の2種類。
スタンダードモデルの「BYD DOLPHIN」は、モーター出力70kW/バッテリー容量44.9kWh/航続距離400km(WLTCモード)です。「BYD DOLPHIN Long Range」は、モーター出力150kW/バッテリー容量58.56kWh/航続距離476km(WLTCモード)となります。
BYD DOLPHIN(日本仕様)の主要スペック
【BYD DOLPHINE】
サイズ:全長4290mm/全幅1770mm/全高1550mm
ホイールベース:2700mm
車両重量:1520kg
駆動方式:FWD(前輪駆動)
乗車定員:5名
最小回転半径:5.2m
バッテリー容量:44.9kWh
1充電あたりの航続距離:400km
普通充電:6kW
急速充電(CHAdeMO):65kW
モーターの最高出力(ネット値):70kW(95ps)/3714~1万4000rpm
モーターの最大トルク(ネット値):180Nm(18.4kgm)/0~3714rpm
タイヤサイズ:205/55R16
フロントサスペンション:マクファーソンストラット
リアサスペンション:トーションビーム
フロントブレーキ:ベンチレーテッドディスク
リアブレーキ:ソリッドディスク
【BYD DOLPHIN Long Range】
サイズ:全長4290mm/全幅1770mm/全高1550mm
ホイールベース:2700mm
車両重量:1680kg
駆動方式:FWD(前輪駆動)
乗車定員:5名
最小回転半径:5.2m
バッテリー容量:58.56kWh
1充電あたりの航続距離:476km
普通充電:6kW
急速充電(CHAdeMO):85kW
モーターの最高出力(ネット値):150kW(204ps)/5000~9000rpm
モーターの最大トルク(ネット値):310Nm(31.6kgm)/0~4433rpm
タイヤサイズ:205/55R16
フロントサスペンション:マクファーソンストラット
リアサスペンション:マルチリンク
フロントブレーキ:ベンチレーテッドディスク
リアブレーキ:ソリッドディスク
主な装備やボディカラーなど
【主な装備や運転支援システム・安全装置】
・ナビゲーションパイロット
・アダプティブクルーズコントロール(ACC)
・レーンサポートシステム(LSS)
・レーンキープアシスト(LKA)
・緊急レーンキープアシスト(ELKA)
・車線逸脱警報(LDW)
・車線逸脱防止(LDP)
・車線変更アシスト(LCA)
・車線変更衝突予測警報(LCW)
・標識認識システム(TRS)
・BYD E-CELL(事故自動緊急通報装置)
・リアクロストラフィックアラート(RCTA)
・リアクロストラフィックブレーキ(RCTB)
・パノラミックガラスルーフ(DOLPHIN Long Rangeにのみ標準装備)
※ドライバー注意喚起機能(DAW)
※幼児置き去り検知(CPD)
※誤発進抑制(ペダル踏み間違い時加速抑制装置)
※フロントクロストラフィックアラート(FCTA)
※フロントクロストラフィックブレーキ(FCTB)
(※はDOLPHINから追加された機能)
【ボディカラー】
・DOLPHIN(単色):サンドホワイト(インテリア:ブラック+ブラウン)、アーバングレー(インテリア:ブラック+グレー)、コーラルピンク(インテリア:グレー+ピンク)
・DOLPHIN Long Range(ツートーン):コーラルピンク+アーバングレー(インテリア:グレー+ピンク)、サーフブルー+アーバングレー(インテリア:ブルー+グレー)、アトランティスグレー+ブラック(インテリア:ブラック+グレー)、スキーホワイト+アーバングレー(インテリア:ブラック+グレー)
ドルフィンは2023年9月20日に価格が発表され同日に発売予定
2023年8月末に開催されたメディア試乗会で価格が発表されることはありませんでした。価格は、2023年9月20日に発表されます。また、同日から販売を開始する予定となっています。
街中で運転がしやすく安定感に優れるドルフィン
今回試乗したドルフィンは、スタンダードモデルの「BYD DOLPHIN」でした。
実際にドルフィンを運転してみると、内燃機関(ガソリン車やディーゼル車)よりスムーズに加速し、静かで快適です。また、内燃機関の車から乗り換えても違和感を覚えることもありません。
加えて、全長に対してホイールベースが長めになっていることから、走行している時の安定感に優れています。取り回しのしやすさはコンパクトカーであるものの、直進安定性やコーナリングはひとクラス上の車のような感覚です。
試乗会当日の天候が良く、気温も高かったため、エアコンは常時オンにしていました。消費電力が多い状況でのドライブだったものの、航続距離が極端に短くなることはありませんでした。そのため、買い物・送迎・通勤など、日常使いのシーンでもバッテリー残量や航続距離を心配することなく乗ることができるといえるでしょう。
乗り心地は、落ち着きがあり、安定志向のセッティングです。路面から伝わるショックはサスペンションが上手く吸収してくれます。また、重量が重いバッテリーが床下に敷き詰められ、重心が低く、前後の重量バランスに偏りが少ないため、コーナーを走行する時のロール(旋回中の横への傾き)もさほど大きくありません。
後席はフロアトンネルがないフラットな床面です。そのため、5名乗車でも後席の真ん中の乗員が窮屈な思いをすることがありません。
また、荷室はフロアが高めであるものの、アンダートレイがあったり、後席の背もたれを倒すとフラットなスペースを作り出せるため、使い勝手に不満はないでしょう。
さらに、ドルフィンは安全装備や運転支援システムが充実しています。よって、老若男女問わず幅広い世代の方に適しているコンパクトEVといえるでしょう。
あらゆる世代の方に適している理由には、座りやすいシートの高さも影響していると考えられます。シートに座る時は、無理に腰をかがめる必要がなく、デスクのイスに座るように自然に着座することができます。このような自然な座り方で乗ることができるため、幅広い世代の方に適しているといえるでしょう。
安心して乗ってもらうために体制を整えているBYD
試乗会では、BYDの担当者の方へ質疑応答の時間がありました。興味深い内容でしたので、質疑応答の一部をご紹介します。
Q.「BYDは、ATTO3を皮切りに日本の自動車市場に参入しましたが、中国製という理由で批判的な意見をSNSなどで見かけることがあります。全国展開しているディーラー(販売店)でも、批判的な意見を聞くことはありますか?」
A.「販売店では、中国製という理由で批判的な意見を聞くことはほとんどありません。まず、BYDがどんなブランドなのかを見に来るお客様が多いです」
Q.「販売店で力を入れているポイントはありますか?」
A.「サービス体制を整えることを重点的に行っております。現在、日本国内にBYDのパーツのストックを複数用意しています。オーナー様から部品のオーダーが入った翌日にディーラーに届くよう体制を整えているため、何かあった際にも素早く対応することが可能です(一部地域を除く)。安心してお乗りいただくためにも、サービス体制はしっかり整えています」
Q.「安心して車に乗るためには、中国製の車であるということに対するバイアスを取り払うことも重要になってくるかと思いますが、その点は今後どのように取り払っていこうと考えていますか?」
A.「まずはBYDというブランドを知っていただき、実際に販売店で乗っていただくことが大切だと考えています。また、アフターサービスが充実しているという点についても多くの方に知っていただき、何かあっても安心だと知っていただくことも大切だと思います」
ドルフィンは十分な航続距離があり手が届きやすい価格なる可能性が高いEV
脱炭素社会の実現に向けて注目されている電気自動車。日本では充電設備をはじめとしたインフラが整っていないことが、今後の課題として挙げられます。また、何かあったら駆け込めるディーラーが近隣にあるという安心感も、日本で車を所有する時のポイントといえるでしょう。
さらに、EVは価格が高いモデルが多かったり、手が届きやすい軽EVの場合には航続距離が心配になったりするなど、価格と航続距離と性能のバランスが偏りがちです。
その点、BYDは日本で車を所有する安心感を満たし、EVならではの悩みを解消しながら、日本市場でのバリエーションを増やしています。今回試乗したドルフィンは、日本における価格が現時点(2023年8月末)ではわからないものの、先に販売を開始したATTO3(税込440万円)より手が届きやすい価格になる可能性は高いと考えられます。
手が届きやすい価格で航続距離が十分なEVを探している方、セカンドカーとしてEVを所有したい方、毎日の通勤や買い物などで走行距離を心配したくない方などは、BYD ドルフィンに注目してみてはいかがでしょうか。
取材・文/齊藤優太
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みんなのコメント
同じ性能で同じ価格帯で日本車のEVなんて発売されないんじゃない?