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やっぱソリオは羨ましかった!? ルーミー登場までの厳しすぎた販売現場

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やっぱソリオは羨ましかった!? ルーミー登場までの厳しすぎた販売現場

 毎月発表される乗用車ブランド通称名別順位、そのトップ5の中に必ずいるのがプチバンのトヨタ ルーミーである。2021年には、単独車名のクルマとして、最も販売実績の良かったクルマであり、今もっとも売れているクルマと言っても良い。

 プチバン市場の開拓者といえばスズキ ソリオだが、そのガチライバルはルーミー兄弟だ。ソリオの登場からしばらくして登場したが、その間トヨタの営業マンはどのように顧客をつないでいたのか!? そしてルーミー登場で何が変わった!? ホントのところ教えますっ!

やっぱソリオは羨ましかった!? ルーミー登場までの厳しすぎた販売現場

文/佐々木 亘、写真/TOYOTA、DAIHATSU、SUZUKI

■5人乗りのワゴンRから大変身!! スライドドア採用でメガヒット

ワゴンRの派生モデルとして登場し、2005年に単独モデルとなったスズキ ソリオ(写真は現行型)

 ソリオの歴史は1990年代まで遡る。前身となったモデル、ワゴンRワイドが登場したのが1997年の事だ。その後ワゴンR+、ワゴンRソリオと2000年の12月までに名前を変えている。ソリオという単独名になったのは2005年のこと。

 ワゴンR時代は、軽自動車のボディをそのまま大きくし、4枚のヒンジドアを装着したコンパクトカーであった。しかし、2010年12月にソリオとして初めてのフルモデルチェンジを行い、クルマの質が大きく高まっている。

 室内長、室内高を大きく拡大し、コンパクトハイトワゴンとして最大級の室内空間を実現した。加えて、ミニバンで好評なウォークスルーをコンパクトカーで実現し、さらに後席はスライドドアを採用するという変貌ぶり。この頃からソリオは、「小さなミニバン」、すなわち「プチバン」と言われるようになる。

■ソリオに対抗できる車種がない!! トヨタディーラーから悲痛な声多発

 この頃、トヨタにはコンパクトハイトワゴンと言われるクルマは存在していない。両側スライドドアを持つクルマは初代シエンタだが、ソリオのようなコンパクトさ、取り回しの良さは無かった。

 ボディサイズとしてはポルテがドンピシャだが、ユニバーサルデザインを採用した初代ポルテには、大開口の助手席側スライドドアしか用意されていない。運転席側から後席にアクセスすることはできず、ソリオと機能性を比較すれば、2周遅れくらいの感覚があった。

 当時はまだチャネルごとに取り扱い車種が異なっていた時代。筆者のいたトヨタ店ではコンパクトカーを求めるユーザーが少なく、ソリオの脅威を感じることは少なかったが、近隣のネッツ・カローラ店からは、ソリオに対抗できない商品ラインナップに対して、悲痛な声が多く聞こえてきたものだ。

■ルーミーヒットは営業力がデカい!? 完成度はソリオに軍配も販売力で勝負

ソリオの人気を受けて登場したダイハツ トール。トヨタ ルーミーはダイハツから供給されるトールのOEMモデルとなる

 スズキのライバルであるダイハツが、しっかりとしたソリオ対策へ乗り出し、生み出されたのがトールである。結果、トヨタがトールをOEM供給してもらい、爆発的ヒットとなるルーミーが生まれた。

 それでもルーミーは登場当時から、大ヒットを飛ばしていたわけではない。ソリオと比較すると、機能や質感で大きく劣る部分もあったのだ。

 例えばエンジン。ソリオは4気筒のマイルドハイブリッドなのに対し、ルーミーは3気筒でハイブリッドの設定は無い。気筒数が多い分、エンジンの振動の少なさや静粛性ではソリオが一段上に位置しており、プチバンとしての使いやすさや質感では明らかにソリオが頭一つ抜けている。

 しかし、商品力が足りなくても、そこを営業力でカバーするのがトヨタのやり方。

 これまでのシエンタやポルテユーザーはもちろん、ヤリスやアクアなどのコンパクトカーユーザー、ノア・ヴォクシーといったミニバンユーザー、さらにはアリオン・プレミオといった5ナンバーセダンユーザーに至るまで、ルーミーの販売ターゲットは非常に幅広くとられている。

■ルーミーは紹介すれば売れる!? ディーラーマンの意識も大変革

トヨタ ルーミー。ディーラー営業マンいわく「買いに来るクルマではないが、紹介すれば売れるクルマ」。現場の実感がこもった言葉だ

 これまでになかったコンパクトで背の高いクルマ、さらには両側スライドドアという喉から手が出るほど欲しかった機能を備えたクルマは、若年層からシニア層まで、多くのユーザーのニーズに応えるものだっただろう。

 ルーミーの登場から現在までを知る営業マンは、「買いに来るクルマではないが、紹介すれば売れるクルマ」とルーミーの事を表現する。爆発的なヒットの裏側には、トヨタ販売店の地道な販売努力があったことを忘れてはならない。

 ライズでも感じる所だが、今のトヨタ販売店にとって、クルマの良し悪しはあまり関係ないように思える。売れそうなカテゴリーや、これまでニーズはあっても、トヨタに無かったクルマが登場すれば、商品力を無視して販売力で売れていくのがトヨタ車だ。

 ルーミーという存在で自信を付けた営業マンや販売店も多いことだろう。トヨタの営業現場が、ルーミーの登場で活気づいたのは、紛れもない事実だ。登場までは厳しい戦いを強いられたが、ルーミーによって販売の地力が大きく高まった印象を受ける。

 商品力が高いソリオのようなクルマは羨ましいが、現場でクルマを販売する側からすると、ルーミーのように少し足りないクルマの方が、愛して販売できる対象であるかもしれない。

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みんなのコメント

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  • ルーミー代車で乗ったけど、ビックリするくらい遅くてワロタ。
  • トヨタ販売店にとってクルマの良し悪しは関係ないのは昔から。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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