自動車取得税が撤廃され新たに環境性能割が導入される
2019年10月1日に、消費税率が現在の8%から10%に切り上げられると、自動車に関連した税金も改訂を受ける。2019年10月1日以降の登録では、毎年納める自動車税が、年額1000円から4500円の範囲で引き下げられる(軽自動車税は変更されない)。
また自動車取得税が廃止され、似通った内容の環境性能割という新しい税金も導入される。課税の基準は今のエコカー減税と同じく、2020年度燃費基準の達成度合いだ。
この環境性能割では、2019年10月1日から2020年9月30日の間に登録(軽自動車は届け出)された場合、軽減措置を適用する。軽減の度合いは、取得価格の3%を課税する車種は2%に、2%を課税する車種は1%に、1%課税の車種は非課税になる。
従って環境性能割の軽減と自動車税の引き下げ額が、消費増税の2%を上まわれば、消費増税前に登録するよりも2019年10月1日から2020年9月30日に登録したほうが出費を抑えられる。そこで、消費増税後に購入したほうがトクをするクルマについて考えたい。
まず新車として売られるクルマの40%近くを占める軽自動車はどうか。現時点ではエコカー減税車が多い。たとえばホンダN-BOX G・Lホンダセンシングの場合、購入時に納める自動車取得税と同重量税は、各25%軽減されて、合計額は2万4300円だ。
一方、消費増税後は、消費税が2万7760円上乗せされ、その代わり自動車取得税の1万8700円は、環境性能割の軽減措置で非課税になる。自動車重量税の5600円に変更はない。そうなると消費増税額の2万7760円から非課税に変わる1万8700円を差し引いた9060円が、純粋な増税額だ。
小型/普通乗用車では、今はハイブリッドの販売比率が40%に達している。ハイブリッドには自動車取得税と同重量税が免税になる車種が多く、購入時の税額は安くならない。従って消費増税がそのまま上乗せされるが、先に挙げたとおり自動車税の減額が行なわれる。この増減バランスが重要だ。
排気量が小さいクルマでは増税後のほうが得するケースも
たとえばトヨタ・プリウス Sの場合、消費増税によって税込み価格が4万7500円高まる。一方、自動車税はエンジン排気量が1.8リッターだから、消費増税後は今よりも年額3500円安くなる。13~14年にわたって使えば、消費増税額を自動車税の引き下げで取り戻せる。ただし期間があまりにも長いので、消費増税前に買う方がトクだ。(写真はA プレミアム)
損得勘定に大きな影響を与えるのは、自動車税の引き下げ額が排気量の小さな車種ほど増えることだ。1000cc以下の排気量は、年額4500円が軽減されて2万5000円になり、1001~1500ccは4000円減って3万500円、プリウスの属する1501~2000ccは、3500円減って3万6000円という具合だ。排気量と税額の少ない車種ほど引き下げ幅が大きいため、1000cc以下の排気量は自動車税が15%も安くなる。
たとえば直列3気筒1リッターエンジンを搭載するトヨタ・パッソX・Sの価格は、消費税率が8%の今は124万2000円で、10%に増えると126万5000円だ。つまり2万3000円値上げされる。その一方で、2019年10月1日から1年間は環境性能割が非課税だから、現在納めている自動車取得税の2万3200円は納める必要がない。この金額は消費増税額の2万3000円とほぼ同額だから、相殺されると考えて良い。そうなると自動車税が年額4500円安くなるぶんだけ、消費増税後に購入した方がトクになる。 (写真はX“L Package”S)
損得勘定の分岐点は、フィット13G・Lホンダセンシング、ヴィッツ1.3Fなど、車両価格が150~160万円で、1.5リッター以下のエンジンを搭載する車種だ。これらのコンパクトカーなら、仮に消費増税後に購入しても、3~5年ほど所有すれば自動車税の引き下げなどによって出費が消費増税前の購入と吊り合う。その後も長く乗れば、自動車税の軽減分だけトクをする。
正確にいうと、クルマの価格だけでなく、販売会社が受け取る法定外諸費用などの消費税率も10%に増える。それでも排気量が1.5リッター以下で価格が160万円程度なら、消費増税後に買ってもさほど損にはならない。この分岐点を超えるクルマは、消費増税前に買うのが得策だ。
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