ミーティングやイベントが盛んにおこなわれている印象があるハーレーダビッドソン。そのイメージは決して間違いではなく、オーナーどうし何かと集まってはお祭り騒ぎをしている。一体それはなぜなのかを突きとめたくて、その本陣とも言えるアメリカ・ウィスコンシン州ミルウォーキーに行ってきた。1903年の創業から本社を構え続け、ついに115年。この夏の終わりには、盛大なセレブレーションイベントが行われていたのだった。REPORT●青木タカオ(AOKI Takao)
ハーレー乗りたちの間では有名な周年祝賀イベントはリユニオンとも呼ばれ、本社のある街ミルウォーキーでおこなわれる。5年刻みで、前回は110周年の2014年の夏だった。今年は8月29日(水)~9月2日(日)に開催され、5日間で15万人ものファンが集結。全米からはもちろん、国境を接するカナダやメキシコからも押しかけ、バイクに国旗を掲げていたり、背中に地名の入ったワッペンを背負っていたりするから、どこから来たのかすぐにわかる。
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ワッペンを貼ったベストを来ている人は一部だが、ワッペンが共通デザインであることに気付く。そこにはハーレーダビッドソン・オーナーズ・グループを意味する「H.O.G」のマークが刺繍され、1983年に発足した公式会員であることを示している。もっと注目すると、ブラジルやヨーロッパ各国、日本や台湾、インドネシアなどの地名も。まさに世界中からハーレー好きが集結しているのだ。
もちろん、みんなが同じ格好で徒党を組んでいるわけではない。ファッショナブルで若いライダーも目立つ。女性も活き活きしていて、カメラを向ければみんなスマイルで返してくれる。老若男女、バイク乗りであるかないかを問わず、そこにいる者みんなが底抜けに明るい。これがアメリカのカーニバルなのか。
ストリートはハーレーで埋め尽くされ、日本では到底考えられない光景がそこにはあった。昼夜を問わず、街にVツインサウンドが轟き、それに苦情を言う人はいないようだ。さすがはハーレーダビッドソンの街、ミルウォーキー。レストランやバー、ショッピングモールなど街のいたるところに「WELCOME RIDES」のバナーが掲げられていて、ハーレーではないメーカーのバイク乗りもよく見かける。
しかし、いったい彼らはこの街に集まって、5日もの間なにをしているのだろう……!? それはこの街に滞在してよくわかった。ハーレーダビッドソンが用意した公式プログラムを見て回るだけでも、じつにエキサイティングで、決して退屈はしないのだ。
公式プログラムの大半を占めたのが、今回はレースプログラム。アリーナでのフラットトラックをはじめ、ビーチレースやヒルクライム、そしてドラッグレース。近郊に設けられたレース会場では白熱のバトルが繰り広げられ、それを見て回るだけで毎日が楽しい。
さらに工場見学ツアーがあったり、ミュージアムで貴重なハーレーたちを眺めたり、思い思いに過ごすことができるようになっていて5日間では足りないほど。ハーレー乗りにとって、セレブレーションイベント期間中のミルウォーキーは、訪れて損はないライダー天国となっていたのだ。
日曜日には街のメインストリートをクローズしてのパレードが行われ、イベントのフィナーレとなる。参加バイクは6000台を超え、沿道は見物人であふれかえり、その光景は圧巻。メディアによく使われる写真はまさにこれで、ワンサカとバイクが集まって何しているんだろうって思いがち……。しかし今回、実際にハーレー乗りたちの聖地に乗り込んで、その楽しさをタップリと堪能してしまった今はもうそんなふうには思わない。最後のハーレーが走り去るのを見届けるには1時間を要したが、祭りの終わりを告げられたようでなんだか寂しい気持ちに。なるほど、ハーレーのこうしたミーティングは、もはやカルチャーとなっている。それがわかった気がした。
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