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なぜトヨタは挑む? 100年に一度の大変革時代における「変革」とは

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なぜトヨタは挑む? 100年に一度の大変革時代における「変革」とは

■国内自動車メーカーを巻き込んだトヨタの「変革」

 最近の自動車業界は、各国でさまざまな変革が行われています。欧州や中国を始めとするいくつかの国では、2025年から2030年までに国内販売のクルマをEVまたはHVのみとする、実質「ガソリン車を廃止する」方針で進んでいます。

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 ほかにも「電動化」「自動化」「コネクティッド」などの技術が進化し、異業種も巻き込んだ新たなフェーズに入り、クルマは単なる移動手段から「モビリティ社会」全体を担う存在に変わろうとしているのです。そんななか、世界最大級の自動車メーカーであるトヨタはどのような変革を遂げようとしているのでしょうか。

 トヨタの豊田章男社長は、2017年11月に次のように述べています。

「自動車業界は100年に一度の大変革の時代に入りました。次の100年も自動車メーカーがモビリティ社会の主役を張れる保障はどこにもありません。

 勝つか負けるかではなく、『生きるか死ぬか』という瀬戸際の戦いが始まっているのです。次の100年も『愛』をつけて呼んでもらえるモビリティをつくり、すべての人に移動の自由と楽しさを提供するために、トヨタに関わる全員が、心をあわせて、チャレンジを続けていく」

 こうした背景をもとに、主力商品のクルマでは、2018年6月に初代コネクテッドカーとして「クラウン」と「カローラ スポーツ」という同社の2大ブランドをモデルチェンジしました。

 また、豊田章男社長は「他社ならびに他業界とのアライアンスも進めていく」と説明しており、2019年にはBMWとの共同開発車となる「GR スープラ」(BMWはZ4)を発表。さらに、マツダやスバル、スズキ、ダイハツ、日野といった国内自動車メーカーと電動モデルを開発していくとして、アメリカに新会社「EV C.A. Spirit」を設立する動きも見せています。

 また、これまで独自路線を貫いてきたホンダも、トヨタとソフトバンクが2018年9月に設立した共同出資会社「MONET」に出資し参加することになりました。

「MONET」とは、次世代の移動サービスを開拓するMaaS事業を展開して、将来的なモビリティサービスの推進や移動における社会問題の解決などを目的とした会社です。

 新会社「MONET」の参加を表明したホンダの八郷隆弘社長は、次のように述べています。

「ホンダは、MONETとの連携を通じて、モビリティサービスの社会受容性・顧客受容性獲得のための普及活動、モビリティサービスの実証実験、関連法令整備に向けた渉外活動などをよりスピーディに推進し、日本のモビリティサービス産業の振興と日本における交通関連の社会課題の解決を目指してまいります」

 従来の自動車業界において、ライバル関係にあった各社がこれ程までに連携の動きを見せたのはあまり例がありません。それほどまでに国内自動車メーカーは『変革の時』を迎えているのです。

■トヨタ自身も「改革」を!

 トヨタは、国内の自動車業界のみならず自社のさまざまな体制にも「改革」を起こしています。2011年には、「地域主体経営」、2013年に「ビジネスユニット制」、2016年4月にはカンパニーを設置し、従来の『機能』軸から『製品』軸で仕事を進める体制に大きく舵を切っています。

 販売面においては、これまで「トヨタ店」「トヨペット店」「カローラ店」「ネッツ店」という4チャネルあった販売ブランドを、2020年代前半から2025年にかけて1本化する方針を発表。

 また、従来「ヴォクシー」はネッツ店、「ノア」はカローラ店の専売車種として販売していましたが、全販売店での併売する体制に見直し、国内向け車種は、約60車種から30車種ほどに絞りこんで効率化を図るとしています。

 効率化に伴い新たなビジネスチャンスとして期待されるのが、「モビリティサービス」です。その一環としてサービス化されたのが、個人向け愛車サブスクリプションサービス「KINTO」です。

「KINTO」とは、税金や保険の支払い、車両のメンテナンスなどの手続きをパッケージ化した月額定額サービスで、気軽に申し込め、好きなクルマ・乗りたいクルマを自由に選び、好きなだけ楽しめるというものです。

 近年、クルマが所有から利活用にシフトしていくなかで、シェアリングやカーリース、レンタカーなど、保有の形態や乗り方の選択肢が増えるため、クルマはますます便利で快適な移動手段となっていくことが予想されています。

 今回の「KINTO」は、2019年3月現在に東京都内のトヨタ販売店およびレクサス販売店でトライアルを実施。同年夏以降に全国展開し、秋口にはサービスの対象車種を拡大していくと説明しています。

「KINTO」について、豊田章男社長は次のように話します。

「クルマが欲しくなったら簡単にクルマライフをスタートし、違うクルマに乗りたくなったら乗り換え、不要になったら返却する。必要な時にすぐに現れ、思いのままに移動できる、まさに『筋斗雲』のように使っていただきたいと考え、『KINTO』と名付けました」

※ ※ ※

 トヨタ自社の改革、そして国内自動車メーカーを巻き込んだ大規模な改革と『新たな自動車メーカーのあり方』を模索するトヨタ。また、豊田章男社長自身は日本自動車工業会の会長職を兼任しています。

 2019年10月24日から11月4日に開催される東京モーターショー2019のテーマは、「モビリティの領域にとどまらず、生活者にとって本当に価値があり、ワクワクする『くらしの未来』にまでショーの領域を拡張し、『未来のモビリティ社会への夢』を感じていただけるショー」としています。おそらく、この場でもトヨタや関連するメーカーの『未来の形』が発表されるかもしれません。 【了】

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