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ハイブリッドでクラシックな「アメリカン」 ジープ・グランドチェロキー 4xeへ試乗 悪路性能は圧巻

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ハイブリッドでクラシックな「アメリカン」 ジープ・グランドチェロキー 4xeへ試乗 悪路性能は圧巻

自己主張強めの大胆なスタイリング

世界最大のオフローダー・メーカーが、ジープ。しかし、英国のSUV市場でのシェアは大きくない。それを改めるべく、小さなクロスオーバー、アベンジャーに続いて投入されたのが、フルサイズ・プレミアムのグランドチェロキーだ。

【画像】悪路性能は圧巻 ジープ・グランドチェロキー 競合クラスのオフローダー ラングラーも 全127枚

全長は4914mm、全幅が1968mm、全高は1799mmで、大きさはランドローバーのディスカバリーと同等。サイドミラーを含めた全幅は2149mmあり、英国や日本の一般道では少し手に余るサイズなことも事実だ。

北米にはロングボディの7シーター仕様もあるが、英国へ届けられるのは、今回の5シーターのみ。導入されるパワートレインは、プラグイン・ハイブリッド1択となる。

基礎骨格は、アルファ・ロメオ・ジュリアやマセラティ・グレカーレも利用する、ジョルジオ・プラットフォームの派生版。スポーティなサルーンから、約2.5tのオフローダーまでカバーするのだから、汎用性の高さに驚いてしまう。

スタイリングは、適度にクラシックなアメリカン。平滑なボンネットは大きく、クロームメッキで飾られた7本のグリルが与えられ、細身のヘッドライトが印象を引き締める。

大胆なデザインで、自己主張は強め。魅力的に感じるのは、筆者だけではないだろう。往年のワゴニアのように、ウッドパネルをサイドに貼りたくなる。歴史的バックグラウンドが香ることも、オフローダーの訴求力を強めている。

駆動用バッテリーの充電ポートは、フロントフェンダー側にあり、充電時は停める向きに悩む場面もありそうだ。ボディ側面に設けるなら、リアの方が勝手は良い。

機能的でプレミアムなインテリア

インテリアは、しっかりプレミアム。ランドローバー・ディフェンダーのような、わかりやすいオフローダー感は抑えられ、トヨタ・ランドクルーザーより高級感がある。

試乗車は英国では選べない、キャラメル・レザーと明るいウッドパネルで仕立てられていた。指紋の残りやすいグロスブラックのパネルが多く、ソリッド感が足りない部分も見られるが、全体の印象は良い。

大きなタッチモニターは、Uコネクト5というソフトウエアで稼働。マセラティなどと同じシステムで、他社の最新システムと比べると若干シンプルな構成だが、そのぶん扱いやすい。スマートフォンとのミラーリングにも、無線で対応する。

実際に押せるハードボタンもふんだん。タッチモニターの上には車載機能用、下にはエアコン用で別れ、整然と並んでいる。センターコンソールには、ドライブモードとテレインレスポンスのセレクターも用意される。

ステアリングホイール上のボタンも好ましい。欧州の上級SUVと比べれば、洗練度では劣っても、機能的で操作性は勝る。オプションで、助手席側のダッシュボードにもタッチモニターを実装可能だ。

車内空間にはゆとりがあり、前席側は16ウェイのパワーシートで、快適な運転姿勢を決めやすい。肘掛けはゆったりしていて、小物入れも多い。シフトパドルは小さすぎるようだが。

後席側も広々。荷室の容量は533Lで、床面の位置が高く、想像より高さ方向が限られている。フロア下に、スペアタイヤが収納されているためだ。

総合380ps 満充電ならかなりパワフル

公道へ出てみると、15.0kWhの駆動用バッテリーが満充電なら、グランドチェロキーはかなりパワフル。2.0L 4気筒ターボガソリンに2基の電気モーターで構成され、システム総合で380psと64.8kg-mを発揮する。0-100km/h加速は6.3秒だ。

2基のモーターの内、1基は135psを発揮する駆動用。8速ATに内蔵され、EVモードで走行していても変速される。悪路性能を高める、ローレンジも選べる。

もう1基は、エンジン側に組まれる電圧48Vのスターター・ジェネレーター(ISG)。39psとなかなか力強く、低回転域でのトルクの補完に加えて、駆動用バッテリーの充電も受け持つ。

ただし、駆動用モーターとガソリンエンジンの動きが、稀に噛み合わない場面も見られた。全力での加速を求めると、ザラついたエンジンノイズを響かせる。

駆動用バッテリーの充電量が25%程度へ落ちると、動力性能は目に見えて低下。4気筒エンジンが、頑張っている様子も伝わってくる。この状態では、8速ATの滑らかさにも陰りが生まれ、燃費は10.0km/Lを割ってくるようだ。

駆動用バッテリーの電気だけで走れる距離は、カタログ値で48-49km。燃費は38.5km/Lが主張される。2024年のプラグイン・ハイブリッドとしては、優れる数字とはいえないだろう。CO2の排出量は60g/kmだ。

欧州ブランドに届かない操縦性 圧巻の悪路性能

操縦性は、欧州ブランドのSUVほど洗練されていない。しかし、アメリカンな雰囲気が、それを気にさせなくしてくれる。

乗り心地はしなやかで、路面からの影響を受けにくい。ラングラーの4xeと比べて、車内は静かでもある。ステアリングは、悪路や低速域では滑らか。速度域が上昇すると、バネで戻されるような少し不自然な手応えが増していく。

姿勢制御も、ディスカバリーのような上質さはないものの、ランドクルーザーには並ぶ。連続するカーブを楽しめるタイプではないが、走行フィールと相まって、不思議な充足感がある。急ぎ過ぎず、悠々と前進していくのが良い。

オフロード性能は圧巻。エントリーグレード以外には、車高調整可能なエアサスペンションが標準装備される。ボディが路面と接する角度は、フロント側で28.2度、ホイールベース間が20.9度、リア側が30.0度と、ディスカバリーと変わらない。

ジープ基準の走破性では、ショートボディのラングラーを10点満点とした場合、グランドチェロキーは6点か7点とのこと。ブレーキ付きのトレーラーなら、最大2.2tまで牽引もできる。

特にEVモード時の走りっぷりには、唸ってしまった。駆動用モーターは、信じられないほど滑らかに発進させ、瞬間的に最大トルクが発揮されるから扱いやすい。

渡河水深は610mmあり、30度以上の斜面を、横向きにも走れる。難関な路面でスタックするより、ドライバーのチャレンジ精神が燃え尽きる方が早いかも。

アメリカ好きなら好きになれる

英国で提供されるグレードは、リミテッド、トレイルホーク、オーバーランド、サミットリザーブの4段階。いずれも装備は充実しているが、1番後者はオフロード志向。前者の内装は合皮でコイルサスになるため、筆者としてはオーバーランドを選びたい。

これには、サンルーフとヘッドアップ・ディスプレイ、高音質オーディオ、ツートーン塗装、助手席側のタッチモニター、21インチ・アルミホイールなどが装備される。ウッドトリムの内装も好ましい。

大きくたくましい、アメリカンなオフローダー、グランドチェロキー。確かに燃費は伸びにくく、サイズの割に5シーターではある。オンロードでの操縦性も、ライバルには届かないといえる。

それでも少しレトロな雰囲気や、星条旗が嫌いでなければ、きっとこのクルマも好きになれるはず。明確な個性が与えられた、クールでプレミアムなSUVだと思う。主観的な欲しいという気持ちが、最大の購入動機になるだろう。

◯:クラシックなスタイリング 秀でたオフロード性能 ゆとりの車内空間と快適性
△:お高めの英国価格 電気で走れる距離が短い このサイズなら3列目シートが欲しい

ジープ・グランドチェロキー 4xe サミットリザーブ(英国仕様)のスペック

英国価格:8万5615ポンド(約1644万円)
全長:4914mm
全幅:1968mm
全高:1799mm
最高速度:212km/h
0-100km/h加速:6.0秒
燃費:38.5km/L
CO2排出量:60g/km
車両重量:2415kg
パワートレイン:直列4気筒1995cc ターボチャージャー+電気モーター+ISG
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:15.0kWh
最高出力:380ps/5250rpm(システム総合)
最大トルク:64.8kg-m/3000rpm(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)

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