ファミリーカーとして人気を博しているミニバンに待ったをかけるのが多人数乗車のSUVだ。ここでは、上陸したてのXT6を筆頭に、3列シートを備えるSUVを集めて、それぞれの実用性を確認してみた。
この4台はそれぞれ異なる個性の持ち主
【国内試乗】「キャデラック XT6」ゆとりの3列シート・クロスオーバーSUV
コンパクトSUVブームのいまなお、強い存在感と高級感、高いステイタス性などが魅力の輸入プレミアムSUVは根強い人気を誇っている。余裕あるサイズを生かして、サードシートを用意するモデルは少なくないが、その位置づけはまちまち。今回比較試乗した4台も、その走りを含めて、それぞれ異なる個性の持ち主だった。
輸入プレミアムSUVとして、真っ先に思い浮かぶのがBMWX5。2000年に登場した初代は、BMW独自のSAV(スポーツアクティビティビークル)というコンセプトのもと、SUVでありながらオンロード性能を重視したクルマづくりで一躍人気のモデルになった。その後、ポルシェ・カイエンやフォルクスワーゲン・トゥアレグなどが登場し、プレミアムSUVブームが巻き起こることになる。それだけに、X5抜きに、このクラスは語れないのだ。
現行のX5は2019年2月に登場した4代目で、一体型フレームのキドニーグリルやデジタル化されたBMWライブ・コックピットなど、最新のBMWデザインやインターフェイスを採用したのが特徴だ。
主力となるのは3L直列6気筒ディーゼルターボエンジンを積むxDrive35dで、よりスポーティなMスポーツでは、標準の2列シート仕様に加えて、オプションで3列シート仕様を選ぶことができる。ただし、その場合には、他のパッケージオプションを組み合わせる必要があり、今回はXモデルとして初採用となる4輪アダプティブ・エア・サスペンションを含むドライビング・ダイナミクス・パッケージが同時装着された試乗車を借り出している。
X5では、2列目に3人掛けの分割式ベンチシートを、3列目に2人分の分割シートをそれぞれ採用する。2列目はスライド、リクライニングとも可能だが、2列目を一番前の位置に動かしても、3列目に大人が座るとニールームはほぼゼロで、膝が立つ窮屈な姿勢を強いられる。サードシートへは2列目を前に倒してアクセスする。操作は電動で楽だが、手動のように瞬時に操作できないのが不便。そういったところから察することができるように、サードシートは補助席としての位置づけで、ふだんはサードシートを収納して広い荷室として使い、いざというときにおもに子供が座ることになる。
一方の走りは、力強い3Lディーゼルエンジンは吹け上がりも軽く、実にスポーティ。4輪エアサスペンションは快適な乗り心地を示すが、コンフォートモードではSUV特有の揺れが気になることがあり、ほどよく引き締まったスポーツモードが好ましく思えた。
X5のライバルとしてよく名前が挙がるのがメルセデス・ベンツGLE。こちらも、現行型は2019年6月に日本導入がスタートしたばかり。Sensual Purity(官能的純粋)というデザイン思想で形づくられた丸みの多いフォルムや、タブレットを2つ横に並べたようなワイドスクリーンが特徴のインテリアなど、こちらも最新のメルセデス・デザインを採用。そして、この最新型から3列シート仕様が用意され、日本では全車標準でその仕様になるのも見逃せないポイントだ。
気になるシート構成は、X5同様、2列目にスライド、リクライニング可能な3人掛けの分割式ベンチシート、3列目には2人分の分割シートが搭載される。X5より若干ホイールベースが長いこともあって、2列目のニールームはX5よりも余裕があるものの、やはりサードシートはプラス2の域を出ず、2列目を前に出しても、大人が座ると膝が前の席に当たり、膝を立てるような姿勢になってしまう。サードシートの乗り降りは2列目を前に倒して行なう。こちらもスイッチを操作するだけでセカンドシートを倒すことができるが、やや煩わしさを感じるのはX5と同様で、ふだんは2列シートと広いラゲッジスペースを活用し、いざというときに7人乗りとして使うというのが適当だろう。
400dの3L直列6気筒ディーゼルターボは、最高出力330ps、最大トルク700Nmの数値が示すとおり、X5に輪をかけて太いトルクを発揮し、さらに力強い加速を見せてくれる。このグレードに標準のAIRマチックサスペンションにより乗り心地は概ね快適だが、X5に比べるとピッチングやロールの動きが気になり、オンロードではX5のほうが落ち着いた印象である。
サードシート目線ならXT6が一番使える
4台の中でもっともSUVらしくないデザインの持ち主が、電気自動車のテスラ・モデルXだ。全長5036mm、全高1684mmという数字だけ見ると立派なSUVが思い浮かぶが、モノスペースのような洗練されたフォルムのおかげで、土の匂いは一切しない。
このモデルXでは、2列シートの5人乗りと、3列シートの6人乗り、7人乗りの3通りのレイアウトが選べる。今回連れ出したのは6人乗り仕様で、左右独立のセカンドシートを採用している。
その一番のメリットは、サードシートへのアクセスが簡単なこと。セカンドシートを動かさなくても、その間を通ることで、容易にサードシートの乗り降りができるのだ。肝心のサードシートは、ニールームこそ必要最小限のスペースだが、座面の高さが確保されるおかげで大人でも窮屈な姿勢を強いられることがない。ヘッドルームも、頭上をうまく切り抜くようなガラスルーフを採用するため十分なスペースが確保される。ただ、この6人乗りではセカンドシートを収納することができないので、他のクルマのように2列目、3列目を全部倒して、広大な荷室にすることはできないのが弱点。
一方、モデルXの走りは、その気になれば暴力的なまでの鋭い加速が得られるスポーティさに度肝を抜かれる。エアサスペンションは快適な乗り心地をもたらすが、やや落ち着きに欠くのと、ライバルに比べるとスタビリティがやや劣るのが気になる。
最後の一台は、1月から販売が始まったばかりのキャデラックXT6。ラグジャリーさが際立つエクステリアデザインと、上質でスタイリッシュなインテリアに目を奪われる最新のキャデラックだ。
その特徴のひとつが、3列シートのキャビン。本国には6人乗りと7人乗りが用意されるが、日本ではセカンドシートが独立した6人乗りのみが導入される。おかげでサードシートへのアクセスが容易だが、セカンドシートはもちろんのこと、サードシートでも大人が窮屈な思いをしないだけのスペースが確保されているのがうれしいところ。しかも、厚めのクッションを用いるシートの座り心地は良好で、後方ほど着座位置が高くなるシアターレイアウトのおかげで視界も良好である。2列目、3列目ともに電動で収納が可能で、荷物が多いときでも簡単にスペースを広げることができる。
気になる走りは、見た目から想像する以上に落ち着いた動きとマイルドな乗り心地を示し、走り始めればSUVであることを意識せずにすむ。3.6L V6エンジンは、低回転から余裕あるトルクを発揮するうえに、自然吸気らしい気持ちのいい吹け上がりを見せる。
ということで、サードシートを常時使うというライフスタイルならXT6が一番のおすすめ。ふだんは2列目までという使い方でも、その走りや870万円という価格を考えるとXT6は実に魅力的なクルマといえる。
【Specification】MERCEDES-BENZ GLE400d 4MATIC SPORTS
■全長×全幅×全高=4930×2018×1795mm
■ホイールベース=2995mm
■エンジン種類/排気量=直6DOHC24V+ターボ/2925cc
■最高出力=330ps(243kW)/3600-4000rpm
■最大トルク=700Nm(71.4kg-m)/1200-3000rpm
■トランスミッション=9速AT
■サスペンション(F:R)=Wウイッシュボーン:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=275/50R20:275/50R20
■車両本体価格(税込)=11,090,000円
お問い合わせ
メルセデス・ベンツ日本 0120-190-610
【Specification】BMW X5 xDrive 35d M SPORT
■全長×全幅×全高=4935×2005×1770mm
■ホイールベース=2975mm
■車両重量=2190kg
■エンジン種類/排気量=直6DOHC24V+ターボ/2992cc
■最高出力=265ps(195kW)/4000rpm
■最大トルク=620Nm(63.2kg-m)/2000-2500rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション(F:R)=Wウイッシュボーン:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=275/45R20:305/40R20
■車両本体価格(税込)=10,310,000円
お問い合わせ
BMWジャパン 0120-269-437
【Specification】TESLA MODEL X LONG RANGE
■全長×全幅×全高=5036×1999×1684mm
■ホイールベース=2965mm
■車両重量=2533kg
■バッテリー種類=リチウムイオン
■最高出力=562ps(413kW)
■最大トルク=775Nm(79.0kg-m)
■航続距離=507km
■サスペンション(F:R)=Wウイッシュボーン:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ(F:R)=265/45R20:275/45R20
■車両本体価格(税込)=11,100,000円
お問い合わせ
テスラ・モーターズジャパン 0120-982-428
【Specification】/CADILLAC XT6 PLATINUM
■全長×全幅×全高=5060×1960×1775mm
■ホイールベース=2860mm
■車両重量=2110kg
■エンジン種類/排気量=V6DOHC24V/3649cc
■最高出力=314ps(231kW)/6700rpm
■最大トルク=368Nm(37.5kg-m)/5000rpm
■トランスミッション=9速AT
■サスペンション(F:R)=ストラット:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=235/55R20:235/55R20
■車両本体価格(税込)=8,700,000円
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