近年モダン・クラシックとして人気が急上昇中
今から100年ほど前には鉄道車両の修理に使われていたという施設を改装したばかりのMotorworld Munchen。RMサザビーズはここで、2023年11月25日、同社としては2回目となるミュンヘン・オークションを開催した。用意されたロットは71だが、やはり注目を集めたのは地元ミュンヘンのBMW。その中のじつに14ロットは趣味性の高いBMW車で占められていた。ここではまず、5万2900ユーロ(邦貨換算約860万円)で落札された2003年式の「M3」を、それに至るまでの歴史を改めて振り返りながら紹介することにしよう。
「M3」最後の自然吸気ストレート6! 1220万円と新車当時と変わらない落札はバリューがあるのか?
E36型M3の後継車となったE46 M3
BMWから「3シリーズ」をベースとしたスポーツモデル、「M3」が最初にリリースされたのは1985年のこと。当時のE30型3シリーズセダン(2ドアセダン)をベースに、BMWのモータースポーツに関する研究や車両の開発を担っていたBMW M社の主導で開発された。
BMWがE30型M3を販売した背景には、当時のグループA規定があり、その公認を得たM3は、DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)などで大活躍を見せたのである。よりワイドなタイヤを収めるためのブリスターフェンダーをはじめ、ベースのM3からはボンネットやルーフパネルなど、わずかなパートを共有するのみのフォルムへと変化したE30型M3は、2.3Lの直列4気筒エンジンを搭載。これにレーシングパターンのゲトラグ製5速MTが組み合わされた。
また1987年には改良型のエンジンやエアロダイナミクスの見直しを図った「M3エボリューション」(翌年にはさらに高性能化されたM3エボリューション2もリリースされる)が、そして1989年にはDTMのレギュレーション変更に伴い、エンジン排気量を2.5Lに拡大した「M3スポーツエボリューション」が誕生するに至っている。
それに続くセカンド・ジェネレーションのM3、すなわちE36型M3は、1992年に発表された。最大のトピックは搭載エンジンが3Lの直列6気筒へと拡大されたこと。当初は2ドアセダンのみでセールスを開始したE36型M3だったが、1994年には4ドアセダンと、E30時代にもラインナップされていた2ドアカブリオレを追加設定。1995年には2ドアと4ドアの両セダンで新たに3.2Lの直列6気筒エンジンが採用され、その運動性能はさらに高まった。
そしてE36型M3の後継車となったのが、今回ミュンヘン・オークションに出品されたE46型のM3。RMサザビーズによれば、近年モダン・クラシックとしてとくに人気が急上昇中のモデルであるという。
出品車は6速MTを持つドイツ仕様車
搭載されたエンジンは、3.2Lの直列6気筒と基本的なスペックはE36世代の最終モデルと変わらないが、最高出力は343psへと向上。トランスミッションにはゲトラグ製の6速MTと、セミATのSMGIIが用意されたが、E36型時代に評価の低かったSMGには徹底的な改良が施され、スポーツモデルとして十分に魅力的なシフトワークが可能になった。
出品車は6速MTを持つドイツ仕様車。エストリルブルー・メタリックのボディカラーに、アンスラサイト・インパルス・クロスとパート・レザーのインテリアのマッチングも素晴らしい。電動メモリーシート、Mスポーツ・ステアリングホイール、Mリア・スポイラー、ガラス・サンルーフ、CDチェンジャー、キセノン・ライトなどを装備し、2003年5月12日に、BMWディーラーのBMWクンツ・シュパイヤー経由でファーストオーナーの手に渡った記録が残っている。
その後、複数のオーナーのもとで、このE46型M3はトータル5万1350kmを走行。定期的なメンテナンスをきちんと受けていたこともあり、そのコンディションはもちろん現在でも良好だ。
時間が経つごとにこのような良質なモデルは少なくなりつつあるE46型M3。さらにその中でも希少なエストリルブルー・メタリック仕様は、その価値をこれからもさらに高めていきそうだ。
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