最もオリジナルに近いオートクラフト社
英国のACカーズ社と、北米のシェルビー・アメリカン社による共同で誕生した、ACコブラ。キャロル・シェルビー氏は、自らのデモ車両を塗装し直すことで、実際以上に大きなプロジェクトであるように見せていたという。
【画像】ACコブラの末裔 4世代4種 最新の378スーパーブロワー Mk IVも 全52枚
1962年に始まったオリジナルのコブラの製造は、1969年のAC 289スポーツで終了してしまう。しかしそれ以降も、強く感化された人たちによって、レプリカやオリジナルを装った偽物が作られてきた。その数は、混乱するほどに多い。
ACカーズ社とシェルビー社が、コブラのために再び協力することはなかった。しかし末裔としては、オートクラフト社によるMk IV ACコブラが、最もオリジナルに近く正しい血統を持つといえるだろう。
オートクラフト社を創業したのは、ブライアン・アングリス氏。過去にコブラ・パーツ社という社名でコブラのレストアや部品販売を手掛けていたが、1982年にACカーズ社からテムズ・ディットンの工場や従業員、設計図などを取得し、事業を改めた。
ACという名称は、当時のACカーズ社のオーナー、ハーロック家により、1986年から使用が許されている。その結果、ACコブラという名前を復活させた、フォード社とのジョイントベンチャーへ発展した。
一方でシェルビーも、独自のコブラを制作。こちらも極めて高い評価を得ているものの、当時はオートクラフト社との対立を隠せないでいた。
Mk IIIからの派生となるMk IV ACコブラ
多くのレプリカが作られるほどの地位を築いたACコブラだが、今回はオリジナルからの直系4台を揃えてみた。先出のMk IV ACコブラのほか、ACコブラ・ライトウエイトは、オートクラフト社製。ACスーパーブロワーとAC CRSは、ACカー・グループ社製だ。
すべてのクルマは、オートクラフト社と関わりの深い、レッドライン・エンジニアリングUK社からお借りした。ここでお礼を申し上げたい。
レッドライン社を創業し、代表を務めるニール・フィッシャー氏は1990年にオートクラフト社へ入社。当初はレーシングバイクの事業に関わっていたが、2001年に独立している。アングリスとも良好な関係にあるという。
「オートクラフトは素晴らしい会社で、アングリスも理想的な上司でした。入社時は70名くらいの従業員でしたが、ブルックランズ・エースというクルマを開発した頃は110名へ増えていました。わたしがコブラに関わるようになったのは、21歳からです」
この4台では、レッドのコブラがMk IV。オートクラフト社として初めてのコブラだ。シャシー番号AK01の第1号車だが、作られたのは量産が始まる前の1978年。1996年までに450台が作られた。GMの副会長、ボブ・ラッツ氏もオーナーの1人だという。
設計としては、コブラMk IIIからの派生となる。サスペンションは横置きリーフスプリングではなく、前後ともコイルスプリングの独立懸架式。Mk IIより1インチ(約25mm)太い、4インチ(約102mm)のパイプを用いたラダーフレームが組まれている。
エンジンはマスタング用のV型8気筒
オリジナルと同じく、ボディはアルミニウム製。職人が手打ちで成形した40枚のパネルが、前後セクションにガス溶接されている。現代の量産車とは、比較にならないほど手間の掛かる工程を経ていた。
新車時のコブラMk IVの価格は、4万5000ポンド。現在では、12万ポンド(約1860万円)前後の価格で取り引きされている。
北米の型式承認をクリアするため、ダッシュボードには突起物になるトグルスイッチが備わらない。バンパーには、軽い接触時に伸縮するオーバーライダーが付いている。
V型8気筒エンジンは、フォード・マスタング用の302cu.in(4942cc)。大排気量だが最高出力は228psで、7.0Lのコブラ427が発揮する431psと比べると半分程度。車重は1190kgに仕上がっており、同等の馬力のフォード・シエラ・コスワースよりは軽い。
それでも、性格が獰猛だと聞いてきたコブラを初めて運転する筆者にとって、穏やかなMk IV ACコブラからのスタートは理にかなっている。オリジナル度も高い。
小ぶりなドアを避けて、低い位置のバケットシートへ腰を下ろす。シンプルな構造のオープンスポーツカーとしては、車内は意外なほど豪華に仕立ててある。ロールス・ロイスの内装職人が手掛けた、ケータハムのようだ。
毛足の長いパイルカーペットが、大きなトランスミッション・トンネルを覆う。シルバーのスポークで支えられたウッドリムのステアリングホイールが、陽光で輝く。ドアパネルやシート、ダッシュボードは上質なキャラメル・レーザーで覆われている。
驚くほどエネルギッシュで鋭い回頭性
黒いメーター類は、トライアンフ・スタッグから流用したような雰囲気。ハンドビルドの内装とマッチしている。反面、ウインカーやヒーターなどのスイッチ類はフォード社製で、調和していない。
左ハンドルだが、右ハンドルのコブラより足もとが窮屈に感じられる。ペダルも少し踏みにくく、積極的な運転をしようという気持ちを削ぐ。
キーをひねると、V8エンジンらしい荒々しい燃焼音で目覚る。実際の馬力以上に、サウンドは勇ましい。
コブラには、重たいクラッチペダルやステアリングホイールを想像するだろう。しかし発進してしまえば、ステアリングホイールは自由に回せ、クラッチペダルも扱いやすい。
初めに驚いたのは、Mk IV ACコブラが非常にエネルギッシュだということ。V8エンジンは6000rpmまで意欲的に吹け上がり、高めの速度を保って旋回できる。アクセルペダルを操れば、シャシーに適度な負荷を加えていける。
フロントノーズに軽くないエンジンを搭載していることを考えれば、回頭の鋭さは期待以上。エンジンがバルクヘッドのギリギリ、車両中心寄りの低い位置に搭載されている効果だろう。
サスペンションはソフト。ステアリングを素早く切り返すと、重心が移動し、大きくボディロールする。手に負えない蛇行を避けるためにも、荷重移動を予想した操作が求められる。
この続きは中編にて。
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