現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > トヨタ86 マイナーチェンジモデル試乗レポートとアルミテープマジック

ここから本文です

トヨタ86 マイナーチェンジモデル試乗レポートとアルミテープマジック

掲載 更新
トヨタ86 マイナーチェンジモデル試乗レポートとアルミテープマジック

トヨタ86がビッグイナーチェンジを2016年7月に行ない、このほど一般道で試乗テストをする機会があった。
<レポート:高橋 明/Akira Takahashi>

86のマイナーチェンジのポイントは、エンジン吸排気系改良などによる、低回転からのリニアなトルクの立ち上がり、ショックアブソーバーのバルブ構造見直しによる、操安性の向上というが大きなポイントなるだろう。他にもエクステリアやインテリアにも意匠変更があり、多くの改良点があるが、ビッグマイナーの詳細はこちらで詳しく説明している。

■エンジンとサスペンションのチューニング
今回の試乗テストではショックアブソーバーを含むサスペンション、乗り心地などについてについてレポートしたい。

エンジンの改良では、マニュアルミッション車は7psの出力アップがあり、トルクの立ち上がり方もチューニングし改良されているが、試乗したフィーリングでは、その明確な違いまではわからなかった。

このフィーリングの違いとわずかな出力の違いは、マイナーチェンジ前との比較試乗でもしない限り判断が難しい。オーナーであればその違いが分かるかもしれないが、正確なレポートはできない。

一方サスペンションでは、試乗したモデルはGTリミテッドの6速MTで、ショーワ製のダンパーとオプション設定されているザックス社製ダンパー装着車の2台を試乗した。

じつはこの2台もその明確な違いのレポートがしにくかったのだ。と言うのは、このマイナーチェンジ前の段階でもオプションにザックス製ダンパーの設定があり、標準はショーワ製が装着されていた。エンジニアの話を総合してみると、そのショーワ製がこのMCに合わせて、いろいろチューニングをしてきており、フィーリングがかなり良くなってきているため、「ザックスとの差がそれほど感じられなくなった!」ということなのだ。

トヨタ側のダンパーに対する要望は、減衰の立ち上がりに速さを求めている傾向があり、そうするとピストンスピードの微低速域ではフリクションが出やすくなる。そのためショーワ製もザックス製も車速の遅い低速時の乗り心地はどちらも似たような性能の印象になり、かつてのチューニングカーのようなひょこひょこした動きをする。

瞬間的に大きな入力や車速の高い領域になると、その違いが少し現れる。その違いは入力にカドがあるか?あるいは丸い入力になるか?という違いで、マニアな領域の違いになるだろう。ザックス製は丸みがあるのだが、それも相当気にして試乗した場合の違いだ。

また、このオプション設定されているザックス製のダンパーは、86用とBRZ用でも異なっているということだ。それは、開発エンジニアの拘りによる違いだと説明があり、86は前述のように、減衰の立ち上がりが速いのを好み、BRZはリニアな方向から、やや減衰の立ち上がりがゆっくり目を好むという違いがあるという。

さて、この2メーカーのダンパー違い、サスペンションのチューニングではもう少しワインディングを走ってみないとよくわからないというのが正直なところだ。今回の試乗ではエンジンもサスペンションも、その違いを明確に報告できない煮え切らないレポートとなってしまった。

ただ、ステアリングの操舵フィーリングの向上、ボディのしっかり感の向上など、マイナーチェンジを受けて後期型となった86は、進化していることは感じることができた。それは、ボディ補強などによる全体の剛性アップや取付け部位の剛性アップでサスペンションの性能全体が本来の性能を発揮する方向へと進化しているということだ。

■86後期モデルから採用されたアルミテープによるハンドリング、安定性向上
もうひとつのトピックが後期型には加わった。それは、クルマにアルミテープを貼ることで直進安定性、ダウンフォース、空気抵抗を向上させるという性能アップの技術で、今回、特許をトヨタが取得することができたということで初公開された。もちろんこの86後期モデルにも採用されている技術だ。

多田チーフエンジニアいわく「宗教ではありません」。

開発を担当した車両技術開発部・動力性能技術開発室・山田浩史氏が技術解説を行なった。

まず、その原理は次のようになる。クルマが走行すると空気流と、樹脂部品のバンパーやタイヤ、ガラス類など、それぞれに摩擦力による電荷(静電気)が蓄積される。そしてプラスの静電気を帯びた空気流と樹脂部品の表面に帯電したプラスの静電気が反発し合って、ボディ表面を流れる気流、つまり層流の剥離が大きくなり、気流の乱れが拡大する。

アルミテープを要所に貼ることで、プラスの電荷を放電させて気流の剥離を少なくする、つまりアルミテープを貼ることで境界層制御の手段になるということだ。境界層をコントロールするためには、通常は微小な渦を発生させるヴォルテックスジェネレーターが使用されるが、それを使用するより、電荷特性を利用することは層流の境界層をより薄くできるのがミソだ。

この技術はプロボックス、ヴォクシー/ノアから採用され、今回の86/BRZ後期型に採用されている。86の場合は、ステアリングコラムカバーの裏側、両サイドウインドウ・ガラスの下端部に各2ヶ所の合計3ヵ所に貼られている。

ステアリングコラムカバーに貼る意味は、タイヤに帯電する電荷を、ドライブシャフトとステアリングコラムを通してコラムカバー部から放電させることで、タイヤの周囲を流れる乱流を抑制することができるためだ。

今回は、それ以外に、フロントガラス下端の左右、前後バンパーのコーナー部付近に4ヵ所アルミテープを貼って効果を体感する試乗も行なわれた。


この記事を画像付きで読む(外部サイト)

こんな記事も読まれています

フェルスタッペン、王座確定のため、マネジメントモードで5位フィニッシュ「自分のレースを心掛けた。最高の気分」
フェルスタッペン、王座確定のため、マネジメントモードで5位フィニッシュ「自分のレースを心掛けた。最高の気分」
AUTOSPORT web
HRC/ホンダ渡辺社長がフェルスタッペンを祝福「4連覇をサポートし続けられたことは誇り。さらなる高みを目指し支援する」
HRC/ホンダ渡辺社長がフェルスタッペンを祝福「4連覇をサポートし続けられたことは誇り。さらなる高みを目指し支援する」
AUTOSPORT web
角田裕毅9位、選手権6位争いにおいて価値ある2点を獲得「強力なレースペースを示せた。シーズン最後まで全力で戦う」
角田裕毅9位、選手権6位争いにおいて価値ある2点を獲得「強力なレースペースを示せた。シーズン最後まで全力で戦う」
AUTOSPORT web
サイズも価格も近い禁断の兄弟対決!! [ランドクルーザー250]と[ランドクルーザー300]の違いって??
サイズも価格も近い禁断の兄弟対決!! [ランドクルーザー250]と[ランドクルーザー300]の違いって??
ベストカーWeb
【ポイントランキング】2024年WRC最終戦ラリージャパン後
【ポイントランキング】2024年WRC最終戦ラリージャパン後
AUTOSPORT web
無冠の帝王が汚名返上。苦節13年で初王者のヌービル「本当に長かった。大変な努力へのご褒美だ」
無冠の帝王が汚名返上。苦節13年で初王者のヌービル「本当に長かった。大変な努力へのご褒美だ」
AUTOSPORT web
フェルスタッペンがドライバーズ選手権4連覇【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP 決勝
フェルスタッペンがドライバーズ選手権4連覇【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP 決勝
AUTOSPORT web
古さと新しさが同居した天才的デザインに仰天!! ディフェンダーの「貫禄」にシビれた!!!【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】
古さと新しさが同居した天才的デザインに仰天!! ディフェンダーの「貫禄」にシビれた!!!【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】
ベストカーWeb
ドリキンが自腹購入したホンダ「シビックタイプR」でチューニング指南! 無限×ヤマハコラボの「パフォーマンスダンパー」は買いです
ドリキンが自腹購入したホンダ「シビックタイプR」でチューニング指南! 無限×ヤマハコラボの「パフォーマンスダンパー」は買いです
Auto Messe Web
【F1第22戦決勝の要点】 岩佐歩夢が分析するメルセデスの速さの秘密「マシン特性の不利を覆すほどのいい仕事」
【F1第22戦決勝の要点】 岩佐歩夢が分析するメルセデスの速さの秘密「マシン特性の不利を覆すほどのいい仕事」
AUTOSPORT web
1.2L 3気筒+モーター3基で300ps ルノー・ラファール E-テックへ試乗 アルピーヌに相応しい走り
1.2L 3気筒+モーター3基で300ps ルノー・ラファール E-テックへ試乗 アルピーヌに相応しい走り
AUTOCAR JAPAN
ヒョンデ「アイオニック5」がマイチェンで航続可能距離703キロに! 気になる車両価格は523万6000円から…30台限定の「コナ マウナ ロア」にも注目
ヒョンデ「アイオニック5」がマイチェンで航続可能距離703キロに! 気になる車両価格は523万6000円から…30台限定の「コナ マウナ ロア」にも注目
Auto Messe Web
『絶対完走』の重圧に耐えた勝田。来季シートがかかっていたことを示唆【ラリージャパン後コメント】
『絶対完走』の重圧に耐えた勝田。来季シートがかかっていたことを示唆【ラリージャパン後コメント】
AUTOSPORT web
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 後編 ジャンクヤード探訪記
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 後編 ジャンクヤード探訪記
AUTOCAR JAPAN
中型からステップアップ 人気の“ミドルクラスネイキッド”スズキ「SV650」とカワサキ「Z650RS」どっちを選ぶ?【スペックでライバル比較】
中型からステップアップ 人気の“ミドルクラスネイキッド”スズキ「SV650」とカワサキ「Z650RS」どっちを選ぶ?【スペックでライバル比較】
VAGUE
ラリージャパンで一般車の侵入という衝撃トラブルが発生! SSのキャンセルもあるなかトヨタ勢は2・3・5位に着ける
ラリージャパンで一般車の侵入という衝撃トラブルが発生! SSのキャンセルもあるなかトヨタ勢は2・3・5位に着ける
WEB CARTOP
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 前編 ジャンクヤード探訪記
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 前編 ジャンクヤード探訪記
AUTOCAR JAPAN
サーキット派に朗報! ウェッズスポーツ「TC105X」に16インチの新サイズ登場…マツダ「ロードスター」や走りのFF車にオススメです
サーキット派に朗報! ウェッズスポーツ「TC105X」に16インチの新サイズ登場…マツダ「ロードスター」や走りのFF車にオススメです
Auto Messe Web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

267.2358.6万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

75.0847.9万円

中古車を検索
86の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

267.2358.6万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

75.0847.9万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村