■まさにビッグマイナーチェンジがおこなわれたクルマを振り返る
新型車が発売されるとそれだけでも大きな話題となり、多くの注目を集めますが、それから時間の経過とともに話題性は沈静化し、ライバルの存在などもあって人気の下落が始まるケースが一般的です。
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そのため、各メーカーとも改良=テコ入れすることで、商品としての魅力を再び上げることに努めています。
このテコ入れのスパンや規模は車種によって異なりますが、毎年のように一部分のみの改良をおこなう「年次改良」と、概ね2年から3年ごとにおこなう「マイナーチェンジ」、そして発売から6年から8年ほど経つと全面的に刷新される「フルモデルチェンジ」か、生産を終えるかの二択となります。
なかでもマイナーチェンジには改良の規模に大きな違いがあり、通常は外観のデザインが一部変更され、内装では装備の充実が図られ、エンジンの換装や諸性能の向上などですが、もっと大胆に変更が実施されるケースもあります。
そこで、ビッグマイナーチェンジによって変わりすぎなクルマを、3車種ピックアップして紹介します。
●日産2代目「プレーリー」
日本の自動車市場では1990年代の中頃から、ミニバンの普及が一気に拡大し、セダンからミニバンへとファミリーカーの主役が交代しました。
このミニバンが登場する以前は3列シートで多人数乗車が可能なクルマというと、FR駆動でキャブオーバー型ボディのワンボックスバンをベースにしたワゴンでした。
しかし日産は1982年に、ステーションワゴンタイプのボディの3列シート車、初代「プレーリー」を発売し、新たなファミリーカーを提案。FFのセダン系シャシによって低床化を図り、両側スライドドアにセンターピラーレスを採用するなど、今のミニバンの先駆け的存在となっていました。
しかし、初代プレーリーはボディ剛性の低下やパワー不足もありヒット作にはならず、1988年には2代目プレーリーへとフルモデルチェンジされました。
2代目も背の高いステーションワゴンタイプのボディで、両側スライドドアを継承し、センターピラーレスは廃止されボディ剛性の向上を図り、5人、6人、7人、8人乗りのグレードがラインナップされました。
外観デザインは、低いボンネット先端からフロントガラス、ルーフへとつながるラインとしたシルエットで、後のミニバン先駆けたボディ形状をいち早く採用していました。
また、エンジンも当初から2リッターとし、さらに1990年には2.4リッター仕様が加わるなど、パワー不足の面も解決。
しかし、2代目プレーリーのデザインは斬新すぎたためかユーザーから好評とはいえず、1995年のマイナーチェンジで、ボンネットが水平に近いフロントセクションに変更されフロントフェイスを一新しました。
さらにリアの荷室部分もオーバーハングを後方に延長しつつボディ形状が大きく変わり、リアサスペンションの形式を変えて3列目シートの居住性を改善させ、車名も「プレーリージョイ」に改名するなど、フルモデルチェンジといっても差し支えないほどの内容でした。
その後、プレーリージョイは「プレーリーリバティ」「ラフェスタ」へと系譜が引き継がれ、現在の「セレナ」へとつながっています。
●ホンダ5代目「オデッセイ」
前述にあるとおり、1990年代にミニバンブームが起こり、その火付け役となったのが1994年に発売されたホンダ初代「オデッセイ」です。
初代オデッセイは5代目「アコード」のプラットフォームをベースに開発され、乗用車と変わらないドライブフィーリングに、FFの恩恵である広い室内空間から大ヒットを記録。
ホンダはミニバンの発売は後発でしたが、オデッセイのヒットによってミニバン市場はさらに活性化し、やがてブームに発展しました。
その後、ホンダは初代「ステップワゴン」のヒットもあり、5ナンバーのスクエアなボディのミニバンはステップワゴンが担当してオデッセイは独自路線を歩みます。2003年発売の3代目と2008年発売の4代目はミニバンとしては常識はずれの低全高を実現するなど、初代の斬新なコンセプトが復活。
内装は低床設計をキープして広い室内を確保するとともに、フレキシブルなシートアレンジや大容量の荷室など、ユーティリティを向上しました。
パワーユニットは2.4リッターの直列4気筒DOHC i-VTECエンジンと、スポーティな「アブソルート」では新開発の2.4リッター直噴エンジンを搭載。さらに2016年にハイブリッドが加わりました。
5代目オデッセイは改良が重ねられ、安全運転支援システム「Honda SENSING」を搭載するなど進化し、2020年11月にはビッグマイナーチェンジを敢行。
フロントセクションは完全な別ものとなり、リアのテールランプまわりも一新。ハイブリッドシステムは「e:HEV」の呼称でHonda SENSINGも大きくアップデートされ、「ジェスチャーコントロール・パワースライドドア」や「ハンズフリーアクセスパワーテールゲート」など、使い勝手の向上が図られました。
しかし、オデッセイはかつてほどの存在感は薄れ、生産工場である狭山製作所の閉鎖にともない、5代目をもって国内向けモデルの生産終了が決定。ビッグマイナーチェンジを受けてから1年ほどで国内から消えることになったのです。
●トヨタ「プロボックス」
トヨタの商用車というと1BOXバンの「ハイエース」とライトバンの「プロボックス」が代表的な存在で、両車とも国内で高いシェアを誇っています。
一般的に商用車はフルモデルチェンジのサイクルが非常に長く、20年以上もフルモデルチェンジしないことも珍しくありませんが、一部改良やマイナーチェンジは定期的におこなわれています。
そして、2002年に誕生した初代プロボックス/サクシードも、発売から12年が経った2014年に、マイナーチェンジとは思えないほどの変更を受けることになりました。
誕生以来プロボックスとサクシードは、フロントフェイスとリアゲートまわりのデザインと、内装ではシートの仕様と装備、積載量、全長が異なっていましたが、マイナーチェンジでエンブレム以外を完全に統一。
フロントフェイスのデザインはそれまでと大きく変わり、複雑な造形の組み合わせとなって、一気にモダンな印象となりました。
また内装では、より使う人に寄り添うアイデアが盛り込まれたことで使い勝手がさらに向上。ほかにも衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全装備も搭載しました。
その後、2018年8月にはシリーズ初となるハイブリッドモデルもラインナップに加わり、2020年にはサクシードが廃止となり、プロボックスに一本化されました。
ちなみに2014年のマイナーチェンジでボディパネルの多くは継承されましたが、プラットフォームが変更されており、実質的なフルモデルチェンジに該当するのではという声も聞かれましたが、トヨタはあくまでもマイナーチェンジとアナウンスしていました。
※ ※ ※
マイナーチェンジチェンジでデザインがガラッと変わった例はほかにもたくさんありますが、一方でフルモデルチェンジでも大きく変わらないケースもあります。
その代表的なモデルがBMW製となった「ミニ」シリーズで、代を重ねてもデザインコンセプトは不変です。
これは、ミニの外観そのものがクラシック・ミニから続いて「アイコン化」しているためで、むしろミニはカタチやデザインが大きく変わってはならないということでしょう。
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みんなのコメント
おまけにFMCでも、ヴェゼルやフィットも大失敗。
ステップワゴンも怪しいですね。
そしてN-ONEなんか存在感全くなし。