2020年シーズン限りでMotoGPを引退し、2021年はヤマハのテストライダーを務めているカル・クラッチローだが、負傷したフランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)の代役として、第10戦スティリアGPから3レースに臨むことになった。
スティリアGP初日、FP1を23番手、FP2を20番手で終えたクラッチローは、大きな違和感を感じていたという。
■クラッチロー、代役の決め手は次回テストまでの期間にあり「レースに戻ってくるなんて妙な気持ち」
「5ヵ月も(MotoGPバイクから)離れていたので、全てが異質に感じる」
そうクラッチローは語った。
「バイクに乗ることはもちろん、ツナギを着て椅子に座っていることにも、違和感を感じる。ハンドルバーやブレーキの位置など、すべてを理解するには時間がかかる」
「もちろん、ホンダのバイクには6年かそれくらい乗っていたので、僕の思考回路はその時の感覚のままなんだ」
「その後、ヤマハでテストを始めてからは、バイクのことをよく理解し、カタールでは何日もかけてかなりの改善をしたと思う。なぜなら、何日も乗っていたからね」
クラッチローは、今回のスティリアGPでマシンをフルスピードで走らせたときの最初の感触は「あまり良くなかった」と認めており、実際よりも速く走れていると錯覚していたという。
「今日はまずバイクに乗ってガレージを出たんだけど、うまくターンできなかったし、クラッチに触った時に指が車高アジャスターに触れてしまったんだ」
「指が抜けなくなってしまって、バイクがエンストしそうになり、危うく転倒するところだったんだ。だから、1周目は決して楽なものではなかったと想像できるだろう」
「速く走れていると思っていた時に、実際にはオレンジのビブスを着けていた方がいいほど遅かったこともあった。というのも、ジャック(ミラー/ドゥカティ)の後ろについて、最初の2周は『彼についていくことができる。これは素晴らしい、最高だ』と思ったんだ」
「2、3周走った後、僕は少しワイドに膨らんでしまって、彼は先に行ってしまった。自分は早く走れていたと思ったのに、ラップタイムは良くなかったんだ」
「ブレーキングの時間はとても短く感じられたし、バイクは左右に振られていた。コーナー立ち上がりではウイリーもしていた。『これは絶対にうまくいっている』と思っていたが、実際にはラップレコードから5秒ほど遅れていたんだ」
一方、昨年11月以来のレースにも関わらず、クラッチローは意外にもすぐにレーサーのメンタリティを取り戻すことができているという。
「テストでは、自分自身のことを試し、自分のデータを見ることになる。レース週末にカムバックしてみると、他のライダーのデータを見たくなるんだ」
「それが僕にとって驚きだった。1ヵ月前、あるいは5~6週間前にレースをすると言った時は、それは気にしていなかったんだ」
「で、ガレージに座っていると、競争したいというメンタリティが出てくるんだ。僕は競争するつもりはない。それは今言えることだ。僕は面倒くさいとさえ感じるかもしれないと思っていたのに、とても楽しめているから不思議だね」
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