EX30のインテリアをチェックした小川フミオ氏は、いよいよバルセロナの街に繰り出す。ツインモーター車は、ボルボ史上最速の加速力を持つことがひとつのトピックだが、それ以外の特徴も見えてきたようだ。
軽快感のある動きが好印象
ボルボがBEV(バッテリー駆動のEV)専用モデルとして開発した「EX30」。スペインのバルセロナで、シングルモーター「ロングレンジ」と、ツインモーター「パフォーマンス」の2モデルに試乗するチャンスがあった。
バルセロナは、街を彩る建築がおもしろい。最も有名なのは、読者の方もご承知のとおり、聖家族教会(サグラダ・ファミリア)に代表されるアントニ・ガウディによるものだ。
ほかにも、カタラン地方特有のモデルニスモ建築や、もっともっと時をさかのぼったカトリックのゴシック建築など、街角を曲がるたびに、まるでワンダーランド並みの楽しさだなと走りながら思った次第。
ツインモーター車は、トータル出力315kW、トータルトルク543Nmと、しっかりパワフルだ。バッテリー容量は69kWhと、数値的にはやや控えめ。
満充電の走行可能距離は480kmだし(実際は7掛けぐらいかな)、バッテリーが大型化する弊害も考え合わせると、いまのツインモーター用で妥当なのかもしれない。
日本でも昨今は、積雪量の多い地方の市場では、選べるなら4WDを、という傾向が強いようだ。昔は北海道でも”後輪駆動でも慣れてれば十分さー”なんてかんじだったのだけれど。時代は変わった。
ツインモーターの特長はもちろん雪上だけのものでない。走りは、十分、加速のよさを感じさせる。
リアモーターでリア駆動の「ロングレンジ」(200kW、343Nm)もスムーズな加速で、気持ちのよい走りを味わわせてくれるが、ツインモーターは上をいく。
アクセルペダルを踏み込んだときのガンッと強い加速感が印象的だ。バルセロナ近郊の自動車専用道路をドライブしたとき、ぐんぐんと速度を上げていく。操縦安定性は高く、ハンドルへのインフォメーションもあって、安心感が高い。
高速を流しているときなどアクセルペダルを踏み込まないと、前輪の駆動力が停止して、さらに電力消費を抑える。このあたりは、エンジン車の燃費対策と同じ考えかただ。
ワインディングロードが少なかったのと、けっこう混んでいたので、ハンドリングのよさなど、”おいしい”ところはあまり堪能できなかったが、車体の重さを意識させない軽快感のある動きはよかった。
いい意味での二面性
ツインモーターは、静止から時速100km/hまで3.6秒を謳うだけあって、ドライブモードでスポーツを選ぶと、頭が後ろにのけぞるようなダッシュ力を見せる。
だけど私は、ノーマルやエコといったドライブモードの、意外なほどリラックスして走れる感覚が好きなのだ。
トルクがたっぷりあって、かつ、べつに急ぐでなければ、スムーズな加速と、気持ちよい操舵感を楽しめる。このいい意味での二面性は、シングルモーターの上を行くもので、価格は別として、2台のどちらかを選ぼうというときは迷いそう。
「ツインモーター・パフォーマンス」の日本での価格は、現時点で未定。まず「シングルモーター・エクテンデッドレンジ」(559万円)のデリバリーが2024年に始まり、ツインモーターはその後になる。
2023年モデルのXC40 Rechargeを例にとると、ツインモーターはシングルモーターより100万円高だ。これは参考になるだろうか。
ボルボ EX30 Twin Motor Performance 全長:4,235mm 全幅:1,835mm 全高:1,550mm ホイールベース:2,650mm 車重:1,960kg(※) 乗車定員:5名 一充電走行距離:460km(WLTP) 最高出力:315kW(428ps)/5,375-9,536rpm 最大トルク:543Nm(55.4kgm)/112-5,475rpm バッテリー総電力量:69kWh モーター数:前1基、後1基 トランスミッション:1速固定 駆動方式:AWD(全輪駆動) フロントサスペンション:マクファーソンストラット リアサスペンション:マルチリンク フロントブレーキ:ディスクブレーキ リアブレーキ:ディスクブレーキ タイヤサイズ:前後245/40R20 荷室容量:318L ※日本仕様の諸元はまだ決定していないので本国資料より
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