雨の日が多く湿気がたまりやすかったり、気温もその日によって差が大きかったりと、これからの季節は車内を快適に保つのが難しくなる季節。できるだけ賢くエアコンを使って、快適にしたいところですよね。湿気が多くなりガラスが曇ってしまうと、視界を遮られ安全な走行に支障が出てしまうほか、車内の空気の状況は、ドライバーの集中力低下に影響してしまうことも。知っているとちょっと得をするかもしれない、カーエアコンの上手な使い方をご紹介しましょう。
文:エムスリープロダクション/アイキャッチ画像:Adobe Stock_Anucha S./写真:Adobe Stock、写真AC
車外の空気を取り入れたくない時は内気循環で!!
クルマのエアコンには、外部の空気を取り入れないで空調する「内気循環」と、外の空気を取り込んで空調してくれる「外気導入」の2つのモードがあります。どちらにもメリットとデメリットがあり、上手に使い分けることが必要です。
「内気循環」とは、読んで字のごとく、クルマの外の空気が入らない状態で、車内の空気を循環させるモードのこと。外気を取り入れないので、たとえば、車外に気になるにおいが立ち込めていたとしても、車内にそのにおいははいってきづらいですし、渋滞中であっても、周囲のクルマの排気ガスを気にする必要はありません。また、夏場など外気温が高いときにも、外気をエアコンシステムに取り入れないため、冷暖房効率も高まります。
また、梅雨の時期のように、湿気が多くて蒸し暑い季節は、クルマに乗り込んだあと、ガラスが曇ることがありますが、このときも内気循環を使うと曇りを解消することができます。窓を開けることでも曇りを解消することもできますが、雨が降っていて窓が開けられず、エアコンを使用して曇りを解消したいときは、湿気の多い外気を取り入れるよりも除湿した空気を車内で循環させている内気循環のほうが効果的。それでもガラスが曇るようであれば、フロントガラスに空気をあてるデフロスターや、リアガラス用のデフォッガーも利用し、素早く解消します。
内気循環にしたいときは、このスイッチをONに(PHOTO:Adobe Stock_umaruchan4678)
雨が降っていて窓が開けられず、エアコンを使用して曇りを解消したいときは、除湿した空気を車内で循環させている内気循環のほうが効果的(PHOTO:Adobe Stock_pattanawit)
ただ、内気循環にしたままでは、眠気や集中力低下の原因に
一方の「外気導入」とは、こちらも読んで字のごとく、外気を取り入れるモードのこと。外気をとりいれることで、狭い車内の空気を、窓を開けることなく常にフレッシュに保つことができますが、外気を取り入れることで冷暖房効率が内気循環よりも劣り、(においなどが)外気の状態に左右されやすくなります。
こう聞くと内気循環のほうがいいような気がしますが、内気循環を続けると、車外の空気を取り入れないために、人間の呼吸によって、車内の二酸化炭素濃度が徐々に上がっていってしまい、ドライバーに眠気や集中力の低下を生じさせる原因となってしまう可能性が。JAFが実験したところでは、東京都内の市街地を内気循環のみで1時間走行したクルマの車内CO2濃度は最大で6779ppmにも達したそう。CO2濃度は、3000ppmを超えると疲労感の増加や注意力の低下、眠気や頭痛を訴える人が増えるという研究報告があるそうで、いかにCO2濃度が人間(ドライバー)に大きな影響を及ぼしてしまうかがわかります。
そのため、内気循環と外気導入は適宜切り替えすることが必要。「外気を取り入れると花粉やほこりが気になる」という人も少なくないと思いますが、JAFによると、近年はエアコンフィルターの性能が向上しているため、花粉はある程度除去できるそう。クルマによってはこの切り替えを自動で行ってくれるものもあるようですが、そうでない場合は、基本的には外気導入にしておき、必要な時には内気循環に切り替える、といった操作が必要です。
近年のクルマのエアコンのフィルターは性能が向上しているため、外気導入にしていても、ほこりや花粉はある程度除去できるそう(PHOTO:Adobe Stock_ Hideaki)
エアコンは取り込む空気の温度が低いほうが、より冷たい空気をつくりだすことができる
また、これからの季節に向けて意識しておきたいのは、エアコンは取り込む空気の温度が低いほうが、より冷たい空気をつくりだすことができるということ。そのため、真夏の炎天下に駐車した車内に乗り込んだ際は、窓を開けるなどで、まずは車内の熱気を逃がしたうえで、内気循環で快適な温度まで下げ、その後は外気導入と内気循環を適宜切り替えていく、という操作が効果的です。
JAFによると、車内の熱気をいち早く逃がすには、「窓を全開にしてエアコンはAUTOで外気導入、温度設定はLo(最低)で走行を開始し、2分後に窓を閉め内気循環に切り替える」がもっとも効果的だそう。実験では、車内温度が55度に達したクルマにおいて、窓は開けずにエアコン(オート)は外気導入でON(温度設定はLo)の場合は、29.5度まで低下させるのに10分、同じく窓は開けずにカーエアコン(オート)を内気循環でON(温度設定はLo)の場合も27.5度まで下がるのに10分かかったのに対し、前述のエアコン+走行では、5 分後には28.0まで低下させることができたそう。
この方法は、短時間で温度を大きく低下させることができるので、燃料の消費が抑えられ、お財布にも環境にも優しい方法。窓は全て開けなくても、対角線(運転席と助手席側後席、助手席と運転席側後席)の窓を開けると、より早く熱気を逃がすことができます。車内が快適な温度まで下がった後は、外気導入に切り替えていくこともお忘れなく。
エアコンは取り込む空気の温度が低いほうが、より冷たい空気をつくりだすことができる。そのため、熱気がこもったクルマでは、まずはその熱気を追い出すことが、いち早く快適な温度にする近道(PHOTO:Adobe Stock_ DimaBerlin)
◆ ◆ ◆
また、家庭用エアコンと同様に、フィルターのメンテンナンスも忘れないようにしたいところです。エアコンの効きが気になるようであれば、エアコンのコンプレッサーオイル添加剤を使用してみるのもいいでしょう。これらの方法を賢く駆使して、暑い夏も快適にカーライフを楽しみましょう。
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みんなのコメント
さすがはベストカークオリティですね。