強豪ひしめく欧州Bセグメント ベスト10は
背の高いクロスオーバーやSUVの人気はかつてないほどに高まっているが、Bセグメントの小型ハッチバックも、依然として根強い支持を集めている。その小柄なボディサイズから欧州では「スーパーミニ」と呼ばれており、非常にポピュラーな存在である。
【画像】鍛え上げられた欧州コンバクトハッチバック【セアト・イビサ、スコダ・ファビアなどを写真で見る】 全109枚
ここ数年、目立った新型車はほとんど登場していないが、既存モデルの改良が行われるたびにランキングが揺らぐ。今回は、そんな欧州で販売されているBセグメント・ハッチバック、通称スーパーミニの中から英国編集部がベスト10を選出した。ランキング形式で紹介したい。
新型のミニ・クーパーの発売が近く予定されていることから、今回は現行型ミニを取り上げなかった。本稿執筆時点では試乗できていないが、その暁には歴代モデル同様、かなり上位にランクインすることだろう。
さて、スーパーミニに求められるのは、単に大人2人と子供2人、そしてちょっとした荷物を積めるというだけでなく、それ以上の深い魅力だ。また、パッケージングがよく、運転しやすく、使い勝手のよいものでなければならない。
走行性能としては、透明性と基本的なアジリティ(敏捷性、軽快さ)が重要だ。スーパーミニは本来、軽快なクルマであり、どんな形であれ運転するのが適度に楽しいはずだ。ステアリングが鈍いのは、歓迎できることではない。中程度なパワーと5枚のドアは、決してドライビング・エクスペリエンスを妨げるものではないのだ。
また、近年は品質、性能、洗練度がCセグメント以上のハッチバックと比較しても遜色ないレベルに仕上がっているケースが多い。そして、そこにBセグメントならではのアジリティを融合させたものが、最高のスーパーミニと言える。
1. セアト・イビサ
スペインの自動車メーカーでフォルクスワーゲン・グループ傘下のセアトが手掛けたイビサ。現行の5代目は2018年に登場するやいなやクラストップに躍り出たが、2021年にはフェイスリフトを行い、再び大成功を収めている。
セアトは、優れた先代モデルをフルモデルチェンジするために、多大な努力を払った。出来上がった5代目は、フォルクスワーゲン・グループのMQBプラットフォームを使用する小型ハッチバックとしては最初のモデルであり、2021年のフェイスリフト以来、最高のモデルでもある。
1クラス上のレオンの流れを汲み、室内は広々として装備も充実しており、以前よりもはるかに優れた仕上がりとなっている。さらに、オンロードでのハンドリングや快適性、コストパフォーマンスの高さ、若々しいスタイリングなど、これらを統合すると完成度はクラストップレベルと言える。
運転の楽しさではライバルのフォード・フィエスタの右に出る者はいないが、イビサはそれに近い存在である。最近の改良によりインテリアは大きく改善され、ソフトタッチ素材、面白いダッシュボードデザイン、最新インフォテインメント・システム(一部モデルではバグも報告されているが)などを備えている。
今回、イビサをトップに選んだ理由は、フィエスタよりも丸みを帯びた高級な雰囲気を漂わせつつ、フォルクスワーゲン・ポロよりも運転が楽しく、そしてそのどちらよりもインテリアが優れているからだ。
2. スコダ・ファビア
チェコの自動車メーカーであるスコダは近年、明らかに進化している。価格が高すぎるものもあるが、最新のファビアでは、その高次元のバランスに目が釘付けになる。
かつてほど低価格ではなくなったが、それでも同クラスで最も手頃なモデルの1つである。欧州市場では室内の広さは最大級であり、ファビアより広い空間を提供するのはホンダのジャズ(日本名:フィット)だけだ。
インテリアは特に豪華というわけではないが、特にベースモデルでは操作系が大きくシンプルにまとめられており、直感的に操作することができる。人間工学的に優れたデザインだ。
エンジンも同様に、ハイブリッドやディーゼルはなく、シンプルなラインナップだ。その代わり、3気筒と4気筒のガソリンエンジンが用意されている。できることなら自然吸気モデルは避け、TSIターボの95 PSモデルを選びたい。これ以上パワフルなエンジンは、追加で購入する価値がない。
フォルクスワーゲン・グループの一員として、先述のセアト・イビサやフォルクスワーゲン・ポロと多くの部品を共有しているにもかかわらず、ドライビング・エクスペリエンスできちんと差別化されている。スポーティさやエキサイティングさを追求するのではなく、かと言ってコーナーでふわふわするような浮遊感を感じることもなく、非常にうまい走行性能を実現している。
ファビアは実用的で価値あるモデルだが、マトリックスLEDヘッドライト、運転支援システム、アクティブセーフティ機能などの技術や、大型タッチスクリーン、デジタルメータークラスターを求めるなら、それらはすべてオプションとして用意されている。
3. フォード・フィエスタ
現行世代のフィエスタは、過去25年間で最もハンドリングの良いスーパーミニであった先代を上回るという、難しい課題を抱えていた。しなやかな乗り心地、オンロードでのハンドリングのダイナミックさ、ドライバーへの訴求力など、いくつかの点ではクラス最高の性能を維持している。
しかし、フィエスタの新しいライバルたちは、フィエスタがカバーしきれないほど幅広く進化しているのだ。これらと比べれば、インテリアの質感はやや見劣りするし、装備の洗練度や実用性でもポロやイビサに水をあけられている。
しかし、フィエスタの3気筒ターボチャージャー付きガソリンエンジン「エコブースト」は、ドライバビリティと活力のブレンドという点では依然として傑出している。長い間、文句のつけようがないポジショニングを維持してきたが、走り好きなドライバーならほとんど何も考えずにデフォルトで購入すべきスーパーミニであることに変わりはない。まったく、必要以上に走りが良いのだ。
4. フォルクスワーゲン・ポロ
最近改良を受けたポロは、使いやすさ、洗練度、大らかさ、広々とした室内、快適性、スマートなルックスを持ち、非常に堅実に作られている。他のフォルクスワーゲンほど高くない価格でこのような資質が揃っているため、スーパーミニとして最も優れた選択肢の1つとなっている。
先代のポロとは大きく異なり、進化した車載システムと高いダイナミクス特性をミックスしている。
エンジン・ラインナップはほぼ例外なく強力で、ローリングとメカニカルな洗練性は非常に高く、後部座席には平均的な身長の大人から子供までが座れるスペースが確保されている。
今回、ポロがトップ10にランクインしたのは、理想的なスーパーミニに痛いほど近づいているからだ。
以前はトップを走っていたのだが、ライバルが想像力に富んだ外観を持ち、道路を元気に走り、遊び心と高級感を併せ持つインテリアを持つようになったのだ。また、価格も比較的高く、フィエスタやイビサなどの方がずっと運転が楽しい。
5. ルノー・クリオ
ルノー・クリオ(日本名:ルーテシア)の外観は依然として魅力的であり、最新モデルは、そのシックな美しさの裏に新たな本質と強みを獲得している。キャビンデザイン、人間工学に基づいたレイアウト、そして質感の高さは、いずれもクラストップレベルにまで大幅に向上した。
クリオは舗装路を、フランス車とは思えないほど硬い足取りで、時には少し木のような感触とともに走る。不快というほどではないが、かつてのようなしなやかさはない。
しかし、この乗り心地はハンドリングを損なうものではない。ステアリングの情報量はそれほど多くはないかもしれないが、非常に直感的で自然なフィーリングを持つ。ややロールが大きい印象はあるが、コーナリング時のバランスは抜群だ。
残念なことに、高性能のRSバージョンはない。その代わりに、最速のモデルは最高出力140psのクリオEテック・ハイブリッドである。スーパーミニとしてはかなり高価だが、トヨタ・ヤリスやホンダ・ジャズのようなハイブリッド専用(欧州仕様)のライバル車と比べれば、それ程でもない。
Eテックというルノーのハイブリッドパワートレインは、大型車では少しパワー不足に感じることもあるが、クリオにはぴったりで、日本製のハイブリッド車よりも速く、魅力的である。
6. ヒョンデi20
ヒョンデi20の存在感は薄い。それは、フォード・フィエスタSTやトヨタGRヤリスに対抗する最上級グレードのi20 Nの影に隠れてしまっているためだ。
しかし、広々としたキャビン、大きなトランク、ハイレベルの標準装備など、i20には良い点がたくさんある。
その一方で、キャビンの雰囲気はクリオやポロほど心地よくないし、この価格設定なら、もう少しマシなものを期待してもいいかもしれない。
乗り心地はかなり硬めだが、その分、ライバルにはない明晰さ、鋭さがある。フィエスタほど楽しくはないが、まったく退屈というわけでもない。
2023年5月、i20は改良を受け、内外装デザインが変更された。英国編集部は近々、この改良新型に試乗する予定だ。
7. ダチア・サンデロ
スーパーミニは本来、手頃な価格設定で、保険にもちゃんと加入できるシンプルな移動手段であり、走りの良さはおまけのようなものだ。
ここでは、ダチア・サンデロが運転しがいのあるドライバーズカーであるかのように装うつもりはない。しかし、このクルマは1万2000ポンド(約200万円)強という価格で、十分な広さと、驚くほど高い製造品質を誇り、他の部分でもかなりの強みを持っている。
快適なシート、適切に配置された操作系、高速道路での経済性、さわやかなエクステリアデザインを見れば、平凡ながらも高く評価している理由が理解できるだろう。
また、サンデロの操作性には愛着のわくシンプルさがあり、その根底にあるフランスらしさ(ダチアはルノー・グループ傘下)を感じることができるのも、決して悪いことではない。
8. トヨタ・ヤリス
4代目となるヤリスは、優れたパッケージングを持つ1999年の初代モデルのフォームへ回帰した、歴代で最も好ましいモデルである。
見た目はもちろん、ハンドリングもこのクラスの上位車種とほぼ同等で、ハイブリッド・パワートレインのおかげで、日常的な運転でも驚くほど経済的だ。
しかし、直進でのパンチにはやや欠けており、また大径ホイールを選択する際には注意が必要である。大径ホイールを装着すると足回りが硬くなり、乗り心地を損ねてしまうが、その分、外観がスマートになる。
室内空間はもう少し広くてもよさそうだが、それでもヤリスはすぐに好きになってしまうスーパーミニであり、トヨタが新たに見出したセンスの典型例である。
9. プジョー208
2019年のデビュー当時、スーパーミニのデザインとしては、新型208が最高だったかもしれない。今でもこのクラスで最も格好良いスーパーミニの1つである。
上質なエクステリア、趣深いインテリアデザイン、そして3Dデジタルメーターやワイドスクリーンといったリッチな装備を持ち、うまくまとめ上げている。
それゆえに、脚の位置がしっくりこないドライビングポジション、iコックピットの視界の狭さ、リアシートの狭さなど、キャビン構造にも同様の配慮がなされていないのは残念なことだ。
オンロードでの乗り心地は申し分なく、ダイナミクスにも磨きがかかっている。ハンドリングは確かで手に収まりやすく、シャシーから遊び心を引き出すことも可能である。軽快さや俊敏性では他車に譲るところもあるが、決して退屈ではない。
3気筒ガソリンエンジンは性能もさることながら、静粛性や振動特性が好印象だ。e-208と呼ばれるEVバージョンも歴代で初めて登場した。
10. アウディA1スポーツバック
2代目となるA1スポーツバックは、スーパーミニクラスの最上級に位置し、当然ながらそれに見合った価格設定となる。
エクステリアについては、特にスポーティなグレードが好感を持てる。可愛いが存在感に欠けるスーパーミニが散見される中で、A1スポーツバックは可愛らしさというより、アスリート的な存在感を放っている。
ハンドリングは良好で、運転するとシャシーが比較的アグレッシブなドライビングスタイルに偏っていることがわかる。ミニやフォード・フィエスタ、セアト・イビサほど軽快というわけではないが、威勢はいい。その一方で、乗り心地の繊細さに欠けることもあり、ステアリングは軽めだが情報量が少なく、賞賛に値するほどではない。
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みんなのコメント
そしてアウディA1やポロにも無い、電動パーキングやオートブレーキホールドがあります。