2019年2月14日、メルセデス・ベンツ日本は、公道を走るレーシングカーともいえる「AMG GT R PRO」を発表し、予約受注を開始した。この「AMG GT R PRO」は全国で20台の限定車だ。
「AMG GT R PRO」はAMG GT Rをベースにしたスペシャルモデルで、GTカテゴリーのレーシングカーである「AMG GT3」、「AMG GT4 」で培った技術が投入されたモデル。サスペンション、軽量ボディ構造、エアロダイナミクス、エクステリアなどをチューニングすることで、究極のドライビングダイナミクスを実現している。
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レースカー同様細かくセッティングできるサスペンション
サスペンションはサーキットに応じてセットアップすることができるようになっている。プロドライバーのレースと同様に、プリロードを設定することでスプリング長の調整に加え、ダンパーの縮み側、伸び側の減衰特性も設定できる。しかもこの調整は工具を用いずにすばやく行なえるように、ダンパー上に調整ダイヤルを設けたクリックシステムを採用している。
減衰力は低速側と高速側と別々に調整できるため、ボディのダイブやロールだけでなくトラクションに対しても、より細かく調整ができるようになっている。またスタビライザーはフロントは調整式のカーボン製、リヤは中空鋼管製だ。
AMG GT RはリヤのAアームのロアにピロボールジョイントを採用しているが、このAMG GT R PROはアッパーウィッシュボーンにもピロボールを採用。このため通常のウィッシュボーンベアリングより耐摩耗性がはるかに高く、設計上まったく遊びがないことから、大荷重を受けてもトーインやキャンバーが変化せず、ドライバーの意思に忠実なハンドリング特性が実現している。
スペシャルパーツ満載のAMG GT R PRO
リヤエンドのアンダーボディにはカーボンファイバー製ディフューザーパネルを備え、この軽量かつ高剛性の部材によりリヤエンドの剛性を高め、高次元のハンドリング特性を生み出している。
エンジン、トランスミッション用のマウントは磁性流体可変式を採用しているが、その特性をチューニングし、より俊敏なアジリティ、正確なレスポンス、明確なドライバーへのフィードバックを生み出している。
ボディには軽量化のために、多くのカーボンファイバー製コンポーネントが採用されている。ブレーキには専用ブラックペイント仕上げのAMG カーボンセラミックブレーキを備え、バケットシートもカーボンファイバー製を採用している。
ホイールは、軽量な鍛造AMGパフォーマンス5ツインスポークアルミホイールで、専用チタニウムグレーペイント仕上げのリムフランジがハイシーン仕上げとなっている。
空力面でもグレードアップされている。専用デザインのフロント・エプロンの側面には、クリアコートされたカーボンファイバー製フリックが2枚設けられおり、ダウンフォースを強化。フロントフェンダーに設けたルーバーは、タイヤハウスから空気を効果的に排出することで、フロントアクスルに働く揚力の低減に寄与する。
リヤは両側のホイールアーチに設けたクリアコート・カーボンファイバー製エアロパーツがほぼリヤコンビネーションランプの高さまで垂直に立ち上がっており、これの効果によりフロントアクスルに働く揚力が大きく低減される。
アンダーボディのアクティブ・エアロダイナミクス・システムやフロントエプロン内蔵のエアパネル、テールゲート下部の大型ウイングスポイラーはいずれもAMG GT R を踏襲して標準装備している。これに加え、ガーニーフラップ付アジャスタブル・リヤウイングがレーシングカーを彷彿とさせる。このリヤウイングは、圧延アルミニウム製のブラケットを使用して装備され、リヤアクスルに働くダウンフォースを増大させることができる。
AMG GT R PROは2018年11月初旬に、AMGのブランドアンバサダーでAMG GT3のレーシングドライバーのマロ・エンゲル選手が、ニュルブルクリンクのノルトシュライフェでタイムアタックを行ない、7分04秒632という驚異的なタイムを叩き出している。
これはAMG GT R の過去の記録を大きく破り、AMGの新しいフラッグシップモデルとしての圧倒的なパフォーマンスを証明している。
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