ファッション業界をはじめ音楽業界、果てはお菓子にまである「コラボ」。異なる個性が力を合わせることで、新たな魅力を生み出す手法だ。
そんな「コラボ」は、当然、自動車業界にも存在する。過去にあった個性派コラボを紹介しよう。
レガシィ、ハリアーなど 日本車らしからぬ個性を発揮したコラボ車5選
文/鈴木ケンイチ
写真/TOYOTA、MODELLISTA、スバル、三菱
■家電や化粧品、印象メーカーとの異色コラボ「Will Vi」
21世紀を目前とした1999年、トヨタは異業種合同プロジェクト「Will(ウィル)」に参加した。これはトヨタ、アサヒビール、花王、近畿日本ツーリスト、松下電器産業といった業種の異なる5社がコラボして、「遊びゴコロと本物感」を兼ね備えた新商品を生み出そうというもの。
最近は、電動化によって「クルマが家電化するのでは?」と心配する人がいるけれど、20年も前に、トヨタが率先して家電メーカーなどとコラボしていたのだ。
そこで生まれたトヨタのコラボ製品が「Will Vi(ウィル ヴィアイ)」だ。プロジェクト発表の翌2000年1月に発売された、1.3Lエンジンを搭載するFFの4ドアコンパクトカーだ。
『シンデレラ』のカボチャの馬車をモチーフ」としたというトヨタ Will Vi
このクルマの特徴は、斬新なデザインにある。ボンネットもルーフも見事に丸くなっており、まるでカボチャを切った断面のように見えた。当時も今も、そのデザインは、実用車というよりもオモチャそのものに思える。異業種とのコラボということで、振り切ったデザインが採用されたのだ。
しかし、そんな超個性派のクルマでも発売1カ月で目標の3倍となる約4500台を受注したというから、トヨタの販売力は恐るべきものがある。ただし、その後の販売は尻つぼみとなり、翌2001年12月に生産を終了。
しかし、ここでプロジェクトが終わらない。なんと、2001年に「Will VS」、2002年には「Will サイファ」とプロジェクトによる新型車が続々と登場したのだ。
とはいえ、最終的に「Will」は消え去る。正直、「Will」プロジェクトはビジネス的に成功とは言えなかったが、それでも新型車を3台も続けられたこと自体が、トヨタの懐の深さ、余裕の大きさを示しているだろう。
■スバル×ポルシェのコラボで大人気シリーズに! 「レガシィ・ブリッツェン」
スバルのイメージカラーといえば青。WRCで活躍したラリーカーを筆頭にスポーティなモデルは、ほぼすべてブルーがイメージカラーとなってきた。そんな中で、正反対の赤をまとったのが「レガシィ・ブリッツェン(BLITZEN)」。
人気車だった3代目と4代目モデルに設定されたブリッツェン。グリルはレガシィの標準車に比べるとシンプルなデザインで、ブリッツェン専用色となるレッドのインパクトも強かった
スバル(当時は富士重工業)とポルシェ・デザイン社のコラボで生まれた特別仕様車だ。最初のモデルの発売は2000年2月。機能美の追求をテーマに、オリジナルの前後バンパーとフロントグリル、リヤスポイラー、アルミホイール、フロントヘリカルLSD(MT車のみ)を装着。
また、専用色プレミアムレッドを設定して、従来のスバル車とは一線を画す存在となったのだ。
「ブリッツェン(BLITZEN)」はドイツ語で「稲妻が輝く」を意味し、「稲妻のように走る過ぎる」光景をイメージして名付けられたという。
スバル×ポルシェのコラボということもあってか、「ブリッツェン」は人気モデルとなり、2002年3月に「ブリッツェン2002モデル」、同年8月に「ブリッツェン6」、2003年1月に「ブリッツェン2003モデル」、2005年1月に「ブリッツェン2005モデル」、2005年12月に「ブリッツェン2006モデル」と毎年のように発売されることになる。
スバルのスポーティなイメージを高めた、大成功コラボと言えるだろう。
■優等生的なハリアーがイタリアン・デザインでアグレッシブに! 「ハリアー・ザガート」
約100年もの歴史を持つイタリアのカロッツェリア(車両デザイン/設計/製作を実施する企業)が「ザガート(ZAGATO)」だ。
アルファロメオやフェラーリ、ランチア、アストンマーティンなどの欧州の自動車メーカーとのコラボにより、多くの美しいマシンを世に送り出してきた。1990年代以降は日本メーカーと組むこともあり、個性的なイタリアン・デザインを日本車に施すようになる。
250台&期間限定で販売されたハリアーザガート。ボディカラーはブラック、レッドマイカメタリックに加えて、オプションでホワイトパールクリスタルシャインを選ぶことができた
そうした中で生まれたのがトヨタ ハリアーとのコラボレーションだ。その最初のモデルが登場したのは1998年5月。「イタリアンロケット」をコンセプトにデザインされ、全国限定200台で発売が開始された。価格は363万5000円。元となったハリアーよりも約100万円高であった。
高級SUVの走りであり、優等生的な端正なルックスであったハリアーがイタリアンのデザイナーの力で、よりアグレッシブな姿に変身したのだ。また、第2世代のハリアーにも2006年7月に「ハリアー・ザガート」が設定された。今度は全国限定250台。
ちなみにザガート&トヨタのコラボレーションはハリアーだけに限らず、2001年にはMR-Sをベースにした「VM180“ザガート”」が100台限定でトヨタモデリスタから発売されている。
■お堅いフラッグシップをチューニング「デボネア V AMG」
かつて三菱自動車にはシーラカンスと呼ばれるモデルがあった。それが「デボネア」だ。
1964年に三菱自動車のフラッグシップとして初代が誕生。自動車産業の黎明期である1960年代前半に生まれただけに、当時の人気のアメリカ車風の大きく角ばったデザインの大型セダンだ。
プラットフォームはヒュンダイ グレンジャーと共同開発したもので、V6エンジンはアメリカのクライスラー社に供給していたものと同じだった。AMGが手掛けたドレスアップモデルで、専用エアロパーツやホイールを組み合わせていた
しかし、どういうわけか「デボネア」のフルモデルチェンジは、なかなか実施されず、なんと第二世代が登場したのは、ようやく1986年のこと。つまり、初代モデルが延々と22年間も続いたことになる。
4年、もしくは6年ごとにフルモデルチェンジを実施していた昭和の時代としては異例であり、そのために「シーラカンス」との呼び名がついたのだ。
そして、その第2世代には、なんとAMGとのコラボ・モデルが用意されていた。「デボネアV 3000ロイヤル AMG」だ。
今ではAMGはメルセデス・ベンツ社の一部門になっているが、1999年までは独立した企業として、モータースポーツやチューニングを手掛けていた。ノーマルよりも大きなエンジンを積んだAMGのチューニングカーは異様な迫力があり、畏怖を込めて英語ではなくドイツ語風の「アー・マー・ゲー」と呼ばれていたのだ。
そんなAMGの名を課した「デボネア」だが、意外やエンジンはノーマルそのままで、主にエクステリアのカスタムが基本。直線基調で空力を考慮したようなエアロカスタムが施されていた。
フォーマル色が強く、「会社の偉い人の黒いクルマ」という雰囲気だった「デボネア」がAMGとコラボすることで、よりパーソナルでスポーティな存在になったのだ。お堅い三菱自動車のフラッグシップと、ドイツのチューナーという異色コラボと言えるだろう。
■時代に先駆けて生まれた日米合作クロスオーバー「トヨタ ヴォルツ」
トヨタとGMのコラボから2002年に誕生したのが「ヴォルツ」だ。企画とデザインは、トヨタとGMが共同で行い、設計・評価をトヨタ、生産はトヨタとGMの合弁会社であったアメリカのNUMMIにて行われた。海外で生産され日本車として輸入販売されたクルマだ。
2002年8月、日本ではネッツ店でスプリンターカリブの後継として販売されたトヨタ ヴォルツ。販売は思うように伸びなかった
ユニークだったのは、そのコンセプトだ。ミニバンのような広い室内空間を持つSUVテイストのスポーツユーティリティワゴンと名乗った。今であればクロスオーバーという呼び方をするだろうが、なにせ2002年当時は、今ほどSUVが増えていたわけではない。
また、日本だけでなくアメリでも販売されることから、サイズが微妙に大きかった。1.8Lエンジンを搭載しつつ、全長4365×全幅1775×全高1605mmというサイズは、当時の日本車としては幅が大きすぎ。同じアウトドアテイストのワゴンである「スプリンター カリブ」の全長4360×全幅1695×全高1505mmと比べると、8cmも幅広かったのだ。
案の定、「ヴォルツ」の売れ行きはいまひとつで、1世代でその生涯を終えることになる。ただし、SUV全盛の現代であれば、また違った結果になったはず。20年ほどデビューが早かったのではないだろうか。
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みんなのコメント
世代的にブリッツェンはすごく欲しかったな、あの赤色も鮮烈でとてもカッコ良かった。