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【試乗】プジョー3008はFFでもオフロードまでこなせるマルチSUV

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【試乗】プジョー3008はFFでもオフロードまでこなせるマルチSUV

先進的なインテリアは質感も高く好印象

プジョー3008といえば、その先代モデルをかつて真剣に購入を検討した1台だった。小型SUVといってもオフロードをあまり意識せず、広くて使い勝手の良いキャビンと荷室のパッケージングが気に入っていたが、何よりもハイブリッド4というプジョー独特なハイブリッドシステムを持っていたからだ。

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フロントに搭載された直4ディーゼルで前輪を駆動し、後輪はリヤアクスルに配置された電動モーターで駆動するインテリジェント4WDシステムをラインアップしていたのだ。今ではプリウス4WDやエスティマなど、トヨタの一部ハイブリッドモデルにも似たようなパワートレインはあるが、日本ではガソリンより低価格の軽油を使用するディーゼルエンジンとの組み合わせが魅力的だった。

だが日本のディーゼルエンジンに課される排ガス基準の厳しさに対応するためにコストがかかるなどの理由から、国内には導入されず、結果3008を購入することもなくなっていた。

今回新型が登場したと聞き、ハイブリッド4の存在を確かめたが残念ながら今回も存在せず。だがディーゼルターボエンジンを搭載したFFモデルが追加されているのは嬉しいニュースとなった。

試乗に出かけたのは山奥深いキャンプ場の周辺地域。すでに車体デザインは多く報道されていたが実車を見るのは初めてだっただけに、フランス車らしいセンスで仕上げられたニューデザインは大いに気に入った。とくにルーフエンドとDピラー周辺の処理は最近のトレンドの則っていてカッコいい。

プレゼンテーションを受けると今回用意された試乗モデルは1.6リッターターボのガソリン車のみと説明されてガッカリ。ディーゼルモデルは受注開始直後から好評で、すでにシリーズ全体の受注中8~9割がディーゼルモデルだという。ここではガソリンモデルをインプレッションさせ、受注割り合いのバランス改善を期待されているのかもしれない。

早速乗りこんでみる。コクピットは近年のプジョーシリーズと共通の設計ポリシーに添い、平たい楕円形の小径ステアリングホイールとステアリングの上越しに見るハイポイントのメーターレイアウトが特徴的だ。

このレイアウトは僕のようにヒップポイントを低く取るドライバーにはステアリングが邪魔で見にくいことこの上ないのだが、ビギナーなどシート位置を高くして遠くの視認性を求めるユーザーには好まれるようだ。

ダッシュボードやコンソール、ドアパネルの仕上がりは良く、質感も高い。スイッチパネルも凝った作り込みで、高級感とスポーティ感が混在し好印象だ。ルーフライナーがブラックになったことも室内空間を引き締めている。

エンジンを始動すると、優れたエンジンマウントがエンジンの振動を押さえ込み、室内は静か。トランスミッションは6速のトルコンATである。

足まわりは秀逸だがやはりディーゼルがほしい

走り始めて感じるのは、これまたプジョーらしいダンピングが穏やかで動きのスムースなショックアブソーバーの秀逸さだ。「ネコ足」と言われて久しいが、今回のモデルでもしっかり引継がれていて快適さとロードホールディングを両立している。

残念に感じたのはパワーユニットだ。直噴ガソリンターボエンジンはアクセルの踏み込みに対してリニアにレスポンスしない。ブーストのタイムラグ感が大きく、キビキビを走れないのだ。トルコンATなのに動きがギクシャクしスムースな過減速コントロールがし辛い。これはやはりで低速トルクの大きなディーゼルのほうが……と思わざるを得ないエンジン特性だった。

前輪2輪駆動だが、最低地上高を175ミリと大きめに設定し、悪路走破性を高めたというのもセールスポイントとして紹介された。試乗会場内に特設のオフロードコースが設定され、その走破性の一端を垣間みることができた。

コクピットのセンターコンソールにダイヤル状の走行モードスイッチが配され、5つの走行モードが選択できる。アドバンスドグリップコントロールと呼ばれ、通常4WDのオフロードモデルに設定されるような本格的な電子制御システムだ。

目新しいのはぬかるみ用の「マッドモード」や砂地脱出用の「サンドモード」などで、片側ブレーキやLSD効果などを使いわけて悪路走破性を高めようとしている。

ヒルディセントやトラクションコントロールと合わせ、登りも下りも高い走行性を発揮させる。もちろんタイヤが専用でなければ雪道や悪路を安心・安全に走ることはできないし、スイッチモードは車速が高まると解除されるので、あくまで緊急時用と考えるべき装備。

3008には今後PHVが追加されるという情報もあり、そのためかFFなのにリヤ荷室床は高く、容量もあまり大きくなかった。

一方、後席は足もとが広く快適。前後ドアはサイドシルを覆うように大きく開閉し、悪路を走ってもサイドシルが汚れないので乗り降りに足もとが汚れないなど気配りも見られる。

PHVがディーゼルと組み合わされ4WDシステムとなっていたら改めて購入意欲が高まるかもしれない。

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