6.0L V型12気筒ディーゼルターボの初代
悪ふざけだと勘違いされるかもしれない。筆者は、バッテリーEV(BEV)のポールスター2を普段の足にしている。だが同僚から、BEV以外のクルマと改めて過ごしてみる必要性がある、と説得を受けた。
【画像】V12ディーゼルターボを積んだSUV アウディQ7 現行のQ7とEVになった最新Q8も 全115枚
BEV以外が指すものとは、6.0L V型12気筒ターボディーゼルを搭載したアウディQ7だった。燃料タンクが巨大過ぎ、満タンを躊躇するほどのSUVだ。
登場から数年後、2012年にQ7 V12 TDIを試乗したAUTOCARは、当初とは時代が大きく変わったと結論付けていた。それから11年後、時代はさらに大きく変わった。車重2635kgのSUVは珍しいものではないかもしれないが。
既に場違いと感じられたモデルを、2023年にはどう感じるのだろうか。しばらくの時間を掛けて確かめることにした。
このアウディQ7は初代に当たり、発表は2005年に遡る。フォルクスワーゲン・グループが大型SUVをどこまで高級にできるのか、チャレンジしたようなモデルだった。
果たして、コンセプトカーとして発表されたパイクスピーク・クワトロは、Q7として量産化された。V型12気筒ディーゼルターボに採用された技術は、当時のル・マン・マシンと共有しているという噂だった。
販売的には大成功を収め、Q7とポルシェ・カイエンへの確かな支持が、ベントレー・ベンテイガを導いたといっても良いだろう。市場全体の拡大にも繋がった。
まるでロールス・ロイス・ファントム
筆者はQ7に魅力を感じる。アウディA8のような大型サルーンを運転していると、要人をお迎えに行く途中の雇われドライバーだと見られる可能性がある。だがSUVなら、自分ためだと受け止めてもらえる。子どもや犬を乗せていても自然だ。
Q7 V12 TDIの新車時の英国価格は10万9825ポンドで、ウォールナット・パネルとレザーで内装が仕立てられるエクスクルーシブ・コンセプトパッケージのオプションは4万4350ポンド。合計、15万4175ポンドだったクルマが、わたしの元へやってきた。
BEVの滑らかさを凌駕するような質感が、広い速度域で味わえる。まるでロールス・ロイス・ファントムに乗っているような気にさせる。あるいは、洋上を豪快に進むモーターボートか。
そんなわけで、写真撮影の場所には海岸を選んだ。グレートブリテン島の南部、ドーセットは英国有数の高級ボートが集まる場所。この街で製造され、係留され、航海に出る。
もはや、筆者は理想的な1艘を注文する必要はない。大きなディーゼルエンジンを搭載し、贅沢なウッドパネルで仕立てられたSUVが手元にある。海へは出られないが、海岸線に止めてリアハッチを開けば、リアデッキ部分で日光浴もできる。
Q7は良い年を重ねたようだ。2023年に見ても大きなクルマではあるが、全長5m、全幅や全高が2mというモデルは以前より数が増えた。当時より目立たないように思う。内装は風合いを増し、まだ美しい。
最高出力500ps、最大トルク101.7kg-m
大排気量のエンジンは、並外れたトルクを発揮する。ブガッティ・ヴェイロンが1000psと400km/hを達成する必要があったように、最高出力500ps、最大トルク101.7kg-mをドイツ・ヴォルフスブルクの技術者は実現させる必要があった。
Q7は今でも世界で唯一のV12ディーゼルターボを搭載したSUVとして名を刻んでいる。0-100km/h加速は5.5秒でこなし、最高速度は249km/hでリミッターが掛かる。その頃のフォルクスワーゲン・グループは、大きな数字に取り憑かれていた。
トランスミッションは6速オートマティック。クワトロで四輪駆動。パワーデリバリーはBEVほど滑らかではないものの、殆どの内燃エンジンでは叶えられない洗練度を備えている。
排出ガス規制に対応するため、アイドリングストップ機能が備わる。それでも、燃費は余り考えない方が良いだろう。メーターパネルには、8.5km/L前後の数字が表示されている。100Lの軽油が安価に購入できた時代なら、受け入れられるものだった。
運転は期待ほどリラックスしたものではない。油圧アシストされるステアリングホイールは重めで、乗り心地はしなやかとはいえない。
英国の舗装の管理状態は酷いが、ドイツのアウトバーンなら平滑。そんな環境なら、ハイスピードでも信じられないほど安定していると感じるはず。
少なくともドライビングポジションは完璧。大排気量ディーゼルが載っていることを考えると、車内で聞こえるノイズも小さい。
羽目を外したような独特の魅力
そして凄まじく速い。V12エンジンの回転が波に乗れば、ひたすらパワーが湧き出てくる。アクセルペダルを傾けている間、249km/hまで勢いよく回転数が高まり、シフトアップが繰り返される。恐らく、まだまだ加速は続くはず。
アウディがカーボンセラミック・ブレーキディスクを標準装備させた理由がわかる。当初、自主規制される前のQ7 V12 TDIの最高速度は283km/hだと主張されていた。この猛烈な勢いを知ると、現実的な数字のようだ。
アウディQ7の理想的な利用環境は、ミュンヘンからフランクフルトまで、週末にアウトバーンを疾走するようなスタイルだろう。トレーラーを牽引し、家族と愛犬を乗せて。
最新のアウディRSやBMW M、メルセデスAMGのSUVが提供すべき能力を、今でも持ち合わせている。2012年の試乗レポートは、次のような文章で締めくくられていた。
「激動する時代の中で、羽目を外したような独特の魅力を醸し出しています。ほかのモデルとはまったく異なります」。その頃以上に、2023年では真実味を帯びている。
最近、アルピナの新モデルを運転する機会があった。家族経営でブランドは維持されてきたが、BMWの傘下に収まるという。変化を感じずにはいられない。初代Q7のようなクルマも今のうちに体験しなければ、確かにチャンスは2度と来ないかもしれない。
アウディQ7 V12 TDIクワトロ(初代/2005~2015年/英国仕様)のスペック
英国価格:15万4175ポンド(新車時)
全長:5085mm
全幅:1985mm
全高:1735mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:5.5秒
燃費:8.9km/L
CO2排出量:−
車両重量:2635kg
パワートレイン:V型12気筒5934ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:500ps/3750rpm
最大トルク:101.7kg-m/1750rpm
ギアボックス:6速オートマティック
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みんなのコメント
夢のある車ですね。