先進安全装備が付いたことで交換や修理は難しくなった
クルマをぶつけたり、傷つけたら、鈑金塗装の工場に持ち込んで直してもらうというのが一般的だ。ディーラーに出しても、結局は出入りの業者に出すので同じだったりする。つまり街で見かける鈑金塗装工場が直すというのは変わらないわけだが、最近、対応できないという声がよく聞かれるようになってきた。
「塗装屋泣かせ」で「保険屋とはもめる」! ぶつけるのが厳禁なイマドキのクルマの美し過ぎる塗装事情
叩いたり、ボディパネルを交換して、パテで修正したら塗装で仕上げるのは今も昔も変わらない気がするのだが、現場ではなにが起こっているのだろうか。色々と聞き込んでみると、一般ユーザーが想像できないほどの変化が起きていた。
1)バンパーやグリル交換が大変
ご存じのように、フロントまわりには安全装備のセンサー類やカメラが大量に付いている。今までは交換となると外して付け替えるだけだったのが、最悪の場合、センサー類やカメラも交換しなくてはならないし、作動するようにセッティングや初期化も必要になり、もはや鈑金塗装も範囲を超えたノウハウが必要になる。
また最近増えているのが、衝突の衝撃で浮き上がるボンネットを戻すのが手間も費用もかかるということ。細かくは紹介しないが、かなり大変だ。
2)直し方にもメーカーからの指示
センサーだけでなく、ボディ骨格自体も衝突安全を考えて作られている。直す場合も、この基準を維持できるように、メーカーから直し方マニュアルが出ていて、それに沿って直す必要がある。もちろん、従わない業者もあるにはあるだろうが、ディーラー、保険会社からの仕事を受けるとなると、従うしかない。もちろん手間はかかるが、それをすべて請求できないのが実際だ。
3)水性塗料
今までは溶剤系の塗料を使っていたが、体によくないということで、すでに自動車メーカーのラインは水性塗料に切り替えているし、補修の現場も義務化に向けて準備がされている。水性でも塗るのは同じだろうと思うかもしれないが、乾きが悪いので特別なブースを使う必要があるので、設備投資が大変。もちろん塗料をすべて買いなおさないといけない。
軽量化や深みのあるボディカラーは補修にも苦労する
4)高張力鋼板&樹脂パネル
張りが強くて剛性が高められ、薄くできるので軽量化にもつながるということで、採用が進むが、鈑金がとても難しい。叩くのはよほどの熟練でないとダメで、溶接機も対応のものでないとダメ。またパテも専用品を使う。
樹脂パネルは成形技術の向上や軽量化のために、フェンダーやバックドアなど、剛性に関係ないところは樹脂化が進むが、もちろん鈑金できないので、総取り替えするしかない。
どちらも基本はパネル交換で対応することが多いが、費用がかさむのでトラブルの原因になることもあるとのこと。
5)個性的なボディカラー
補修で塗る場合はメーカーからの基本データをベースに、色あせなどを考慮して現物合わせをして調色する。最近は個性的な色味が多く、調色は苦労しつつもできるのだが、マツダのソウルレッドのように塗り方で深みを出している色が増えている。町の工場ではさまざまなクルマに対応するので、塗り方まで特殊だと対応するのが大変となる。
6)価格高騰
ボディパネルの価格はどんどんと高くなるし、そうなると中古に目が行くのでこちらも高騰。ものがあればいいが、入手もしにくくなっているという声も多い。さらに塗料も同様に高くなっているし、人件費もかさむ。というよりもかさむ以前に新人があまり入ってこなくなったので、万年人手不足だ。高くても保険使うからいいのではと思うが、払うほうの保険会社も商売だけに「ハイどうぞ」とならず、交渉を重ねることも多い。ディーラーの仕事も当然、マージン分差し引かれるので利益を確保するのは大変とのこと。
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