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イタリア本場のクラシックカーレース1000 MIGLIA(ミッレミリア)の秘密~歴史解説編~

掲載 更新 1
イタリア本場のクラシックカーレース1000 MIGLIA(ミッレミリア)の秘密~歴史解説編~

運営元:旧車王
著者 :Maya Y.

日本ならではの自動車文化の一端を垣間見た「オートモビルカウンシル2024」

日本でクラシックカー好きの方なら、一度は耳にしたことがあるであろう「La Festa Mille Miglia(ラ・フェスタ・ミッレミリア)」。

クラシックカー愛好家のためのカーレースイベントです。

この大会、実は起源はイタリアにあるってご存知でしたか?

今回の記事では、そんな本場のミッレミリアの歴史や背景、そして2023年の大会のレポート、ウィキペディアではわからない深堀情報や、現地の愛好家から聞いた話などをお届けします。

■クラシックカーの通過を待っている間に古参のミッレミリアファンと仲良くなる北イタリアでは毎年恒例のこのイベント。

2023年の開催は6月13日~17日でした。

私が住むモデナ地区には、15日に参加者と参加車が通るということで、各街の通過予定時間をインターネットでチェックし、さっそく見に行くことに。

毎年恒例のイベントで、とりわけクラシックカーが大好きというわけではない一般人も、地元のお祭りのような感覚で見物に行くほどの知名度です。

家の近くの大通りでクルマの群れの通過を待っていたのですが…なかなか来ない…。

時刻は18:00を過ぎていましたが、夏の日照時間の長いイタリアではまだまだ日中のような強い日差しが照りつけており、気温は27度。

直射日光の下、私と同じようにクルマを持っている地元のみなさんと「暑いですね~」「今年は結構遅れていますね~」と立ち話をしているうちに、隣で待っていた方と仲良くなりました。

お名前はジャンカルロさん。

聞けば、彼は何十年も毎年ミッレミリアを楽しんでいる古参ファンだそうです。

今年もちょっと良いカメラを片手にクラシックカーの通過を待っており、良いショットを撮るのを楽しみにしているとのこと。

私が「日本語でミッレミリアの記事を書きたいんです」と言うと、「ミッレミリアのことなら俺に何でも聞きな~。もう長年見てきているからね」と言ってくださいました。

ということで、遠慮なく色々聞くことに。

▲ジャンカルロさんによると、ここ数年なぜか開催日に毎年雨が降るというジンクスがあり、「オープンカーに乗っている人たちはずぶ濡れになってかわいそうだった。今年はせめて晴れて良かった」とのことでした

■現地の古参ファンによるミッレミリア歴史解説「もともとのミッレミリアは、スピードを競う本気のカーレースだったんだよ。」と語るジャンカルロさん。

元祖のミッレミリアは1927年から1957年までおこなわれていたのだそうですが、1957年レース中に9人の死者が数名出る惨事が起きてしまいました。

事故原因となったクルマはメンテナンスに問題があり、走行中に突然タイヤがバーストしてしまったのですが、当時は道路と歩道の境界が曖昧で、観客とクルマの距離が非常に近かったため、このような惨事につながってしまったそうです。

この事故以来、民衆の意見を尊重する形で大会は無期限停止に。

しかし20年の時を経て、1977年に「またあのころのミッレミリアを復活させよう」という動きがあり、大会が復活。

ただしそこからは、カーレースという形だけを残し、実際は愛好家たちの楽しみのためのカーラーリーイベントの趣向を強くして、再スタートしたのでした。

最近では、特にイタリアの観光業ともタイアップしたイベントとして進化を遂げています。

2023年の大会では前年までよりコースも日程も長くなっていますが、これも「もっと色々な街と景色を楽しめるように」という観点からの工夫です。

当然ミッレミリアのコース上に該当する街では、大会中ホテルやレストランの景気も良くなるため、クラシックカーの力で観光業界を盛り上げるという意味も入っています。

■ウィキペディアではわからなかった小話1957年、大会凍結の原因となる事故を起こしたのはフェラーリ。

以前クラシックカーのバイヤーをしていたジャンカルロさんによると、その年以降数年は、事故を起こしたフェラーリのモデル・335Sが一気にイメージダウンし、イタリア国内で値段が大幅に下落したそうです。

事故当時、フェラーリの創業者であるエンツォ・フェラーリは、その責任を問われて訴訟されるほどだったとのこと。

ただしかなり時間を置いてからは、イギリスなど他の国である種のプレミア価値がついたのだとか。

さて、ここまでのミッレミリアの歴史話を興味深く伺っているうちに、モデナの街は夕焼け色に染まってきました。

そして待機開始から1時間以上経ったころ、ようやくミッレミリアの出場者が通り始めました!

よく見ると…とある時点からフェラーリの群れが!

モデルや色にバリエーションはあるものの、全部フェラーリです。

これはクラシックカーなのか…?という感じの比較的新しいモデルのフェラーリも数多く通りました。

大会の趣旨としては、参加するクルマは大会が求める基準をクリアしている必要があり、ヴィンテージカーや歴史的に価値のある車輌が重視されているはずなのですが…実際はどうなのでしょう。

フェラーリの創業時の、元々のメインカラーであった黄色のフェラーリも通りましたよ!

フェラーリの原産地、モデナの住人はだいたいフェラーリに誇りを持っているので、私も次々にやってくるフェラーリには自然と親近感が湧き、見ていて嬉しくなりました。

ここからどんどん他のタイプのクラシックカーもやってくるわけですが、お話の続きは次回の記事にて!

[撮影 / Fabio・ライター / Maya.Y]

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みんなのコメント

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  • 最初にイタリアの元祖ミッレミリアを取り上げたテレビのドキュメンタリーでは、ラスト近くランに興じる人々に、窓の隙間から冷たい一瞥を向ける庶民の姿も捉えていた。あくまでも、選ばれた一握りのエリートや貴族のお遊びなのだ。その視点を忘れなかったのは偉いと思う。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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