いささか旧聞となるが、2020年1月31日にマツダは「CX-8が2019年の日本車の3列シートSUV市場において2年連続販売台数1位になった」というリリースを発表。
CX-8はラージSUVというボディサイズも生かし、2列目シートも充分に使える広さを備え「SUVに軸足を置いたミニバン」というキャラクターを確立している。2019年の販売は2万3288台(=月約2000台)と2017年の登場以来順調に売れ続けている。
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しかし、2000年代までは「3列目シートが狭いミニバンたち」が少なくなかった。この種のミニバンは現在では激減している。そこで、そうしたミニバンたちを振り返りながら「狭いサードシート」が激減した理由を考察したい。
文:永田恵一
写真:TOYOTA、MAZDA、HONDA、NISSAN、SUZUKI、DAIHATSU
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トヨタ カローラスパシオ
2代目カローラスパシオ(2001年発売)/全長×全幅×全高:4260×1695×1610mm
初代モデルが1997年、2代目モデルが2001年に登場したカローラスパシオは、それぞれ8代目と9代目のカローラをベースとした今でいうコンパクトミニバンで、特に初代モデルは前年に登場した初代イプサムの弟分的な存在だった。
シート配列は初代モデルが2+3の2列シート5人乗り、2+2の2列シートで2列目はロングスライドする4人乗り、2+2+2の6人乗りの3種類。
2代目モデルが2+3+2の7人乗りだった。また、初代モデルはタコメーターのないシンプルなデジタルメーターの採用や、6人3列シート車は2列目の脱着機能やテーブルとして使える機能を持つなどの提案を行ったコンパクトミニバンでもあった。
トヨタ自身も「イザという時のために」と訴求したカローラスパシオの3列目。正式名称も「フレキシブルベンチ」とされていた(カローラスパシオ カタログより)
気になる3列目シートは、初代・2代目ともに全長が4200mm台と小さかったこともあり、公園のベンチのような作りのエマージェンシー用といったイメージで狭かった。
カローラスパシオは3列目シートの狭さもあり、2003年に登場したシエンタを後継車に2007年に絶版となった。
マツダ 初代プレマシー
初代プレマシー(1999年発売)/4295×1695×1570mm
1999年に初代モデルが登場したプレマシーは、当時のファミリアをベースとしたコンパクトミニバンである点や2+3の2列5人乗りと2+3+2の3列7人乗りを設定し、3列目シートは脱着可能な点など、カローラスパシオに似たところが多いクルマだった。
マツダの経営が芳しくない時期に登場したモデルだったが、マツダらしくというかミニバンながらシャープなハンドリングなど、ドライバーズミニバンではあった。
脱着式の3列目シートを採用したプレマシー。こちらもあくまで緊急用という位置づけだった
しかし、肝心な3列目シートは全長が約4300mmと小さかったこともあり、エマージェンシー用で3列目シートの使用頻度の多い人には勧められるものではなかった。
なお、プレマシーは2代目と3代目モデルは、ベースがアクセラとなったこともあり、サードシートは「まあ使えるレベル」になった。
まだまだあった!! 激狭3列シート車たち
■ホンダ モビリオ
モビリオ(2001年発売)/全長×全幅×全高:4070×1685×1740mm
2001年登場のモビリオは、初代フィットベースのスライドドアを持つコンパクトミニバンで、その意味では現在大人気となっているシエンタやフリードのようなコンパクトミニバン市場を開拓したモデルである。
モビリオは欧州のユーロトラム(路面電車)をイメージしたスタイルによりガラス面積が広く、車内は開放的で居心地はなかなかだった。
広さ自体もフィット譲りのセンタータンクレイアウトもあり約4000mmという全長を考えれば頑張ったと言えるのも事実ながら、3列目シートはやはり「エマージェンシー的にやむを得ず使うなら一応使える」というレベルなのは否めなかった。
■日産 キューブキュービック
キューブキュービック(2004年発売)/全長×全幅×全高:3900×1670×1645mm
キューブキュービックは、車名の通りスペース重視のコンパクトカーであるキューブの2代目モデルの登場から約1年遅れの2004年9月に追加された、2代目キューブのホイールベースを170mm延長する形で7人乗り3列シートとしたコンパクトミニバンだ。
キューブキュービックも全長が3900mmと短かったため、3列目シートは「着いているだけ」というレベルだったが、この全長で3列シートを成立させた技術力は褒めたいところでもある。
しかし、キューブキュービックは、3列目シートがあまりに狭かったこともあり販売は低調で、残念ながらキューブが3代目モデルにフルモデルチェンジされたタイミングで直接的な後継車は出ずに絶版となった。
■スズキ エブリイプラス/ダイハツ アトレー7
エブリイプラス(1999年発売)/全長×全幅×全高:3675×1505×1915mm
「軽1BOXカーのラゲッジスペースは広いので、そこに3列目シートが付けられる」 というコンセプトで登場したのが、エブリイとアトレーのボディサイズを若干拡大し、エンジンも1.3L級の4気筒に換えたスズキ エブリイプラス(1999年登場)とダイハツアトレー7(2000年登場)である。
この2台はベースが軽1BOXカーだけに、全幅が約1500mmなので2列目の3人掛けや3列目シートを使った際に詰める荷物の量は絶望的ながら、3列目の広さもまずまずで実用性は高かった。
しかし、乗り味が当時の軽1BOXカーを強引に大きくしているため安っぽかったのと、上級グレードになると価格が170万円程度となるため「ならばコンパクトミニバンの方がいいか」というユーザー心理もあり、両車一世代限りで姿を消した。
なぜ3列目の狭いミニバンは絶滅したのか?
ウィッシュ/全長×全幅×全高:4560×1695×1590mm
2000年代初めまでは、ミニバンでも3列目を使う頻度が少ない人であれば、「基本的にワゴンのような広いラゲッジスペースとして使い、イザと言うときに3列目があれば7人乗りもできて便利」という考えで選ばれることもよくあった。
しかし、「5ナンバー幅なので取り回しに困ることもなく、全長が長いぶん3列目も使える広さがあって、クルマ全体の印象も1クラス上」なホンダ ストリームやトヨタ ウィッシュのようなミドルミニバンが安価で登場。
さらに近い時期にコンパクトながら入念なパッケージングを行い、充分使える3列目に加えて、使い勝手のいいスライドドアを持つトヨタ シエンタやホンダ フリードのようなモデルも出てきた。
こうなるとユーザーが「登場が新しくて使い出のあるコンパクトorミドルミニバンの方がいい」と考えるのは当然の選択だろう。
こうしたことを考えると、現代のミニバンとしては珍しいくらい3列目が狭く、挙げ句3列シートだと価格も約280万円からと、内容に対し非常に高いホンダ ジェイドがまったく売れないこともよくわかる。
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