日本で販売されている輸入トラックといえば、スウェーデンのボルボ、スカニアが代表的だが、メルセデス・ベンツも忘れちゃいけない。
多目的作業用自動車のウニモグが、ワイ・エンジニアリング(神奈川県横浜市)を通じて販売されているからだ。同社は2005年にヤナセの機械事業部を継承。現在は国内唯一の正規代理店としてウニモグ等の輸入販売を行なっている。
日本のダブル連結トラックよりもっと長い!? さらに長大化を加速させる欧州のトレーラ最新事情に迫る!
そんな同社が2018年、ウニモグに次ぐメルセデス・ベンツ製トラックとして販売を開始したのが「エコニック」だ。ストレートフレームに低~いキャブ搭載位置が特徴! 一体、エコニックとはどんなトラックなのか?
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
※2018年9月10日発売「フルロード」第30号より
【画像ギャラリー】革命的超低床!! これがメルセデス・ベンツのスペシャルトラック『エコニック』だ!!
■塵芥車から消防はしご車まで 幅広いジャンルで活躍するローエントリーキャブ車
ワイ・エンジニアリングが販売を開始したメルセデス・ベンツ・エコニック。主要マーケットは欧州で、アジア圏での展開は珍しいという
メルセデス・ベンツ・エコニックは、ローエントリーキャブ車と呼ばれる超低床キャブが特徴の大型特装トラックだ。
ローエントリーキャブ車とは、キャブを前側の低い位置に搭載することで、乗降性を高めたもの。通常の路線バスに対し、ステップ位置が低いノンステップバスをイメージするとわかりやすいかもしれない。
キャブの搭載位置が低いので、乗降性に優れるのはもちろん、背の高い上モノの架装にも向いており、欧州では塵芥車をはじめ、脱着ボディ車、空港のフードローダー、レフューラー(航空機給油車)、消防はしご車など幅広いジャンルで活躍している。
超低床キャブはキャブ全高が低いため頭上を架装スペースに使えるのがメリット。消防はしご車やフードローダーなど頭上に出っ張りが多い特装車には最適だ
ちなみに、エコニックはウニモグと同じダイムラーの特殊車両部門「メルセデス・ベンツ・スペシャルトラックス(MBS)」の仲間。ワイ・エンジニアリングはウニモグのみならずMBSの日本代理店も努めており、以前からエコニックの独自性に着目しており、このほどMBSと協議して販売に至ったという。
■日本仕様はGVW18t級の2軸車とGVW26t級の3軸車の2タイプ
後軸ステア機能は乗用車の4WSなどと同様、旋回性向上に寄与するもの。エコニックの同機能は後後軸と後前軸のどちらかを選んで設定できる
エコニック日本仕様のラインナップは、GVW18t級の2軸車とGVW26t級の3軸車の大きく2モデル。ただし、エンジン出力やシャシーバリエーションにより全体のラインナップ数は10種類となっている。
具体的には、2軸車は4×2のみの設定。いっぽう、3軸車は後後軸ステア機能付6×2、後前軸ステア機能付6×2、6×4を選択可能。ダイムラーの純正カスタマイズサービス「カスタマー・テイラー・トラック(CTT)」にも対応し、4×2の4WS仕様など特注仕様も製作可能だ。
ダイムラーが力を入れているCTTは補機類の移設のみならず、ホイールベース、オーバーハングなどのフルオーダーメイドが可能。幅広い需要に対応する
パワートレーンはダイムラー製OM936型エンジン(7.7リットル、直列6気筒)に、アリソン社製6段トルコンATを組み合わせた1種類のみ。エンジン出力は、モデルによって272PS、299PS、354PSの3種類が用意される。
なお、前述のCTTは燃料タンクの位置、排ガス浄化装置の位置、バッテリーの位置に加え、ホイールベース、前後オーバーハングの長さなども細かくオーダーできるという。
■優れた乗降性と架装性を両立した唯一無二の存在
4人乗りハイキャブのキャブ室内。最大1920mmの室内高は居住性アップに、大型フロントウィンドウは視認性アップにそれぞれ寄与するものだ
最大の特徴である超低床キャブは、キャブ全高2830mmで4人乗りのハイキャブ、キャブ全高2382mmで2人乗りのローキャブの2種類を設定。ハイキャブは室内高1745~1920mmを誇るいっぽう、ローキャブは優れた架装性を実現しており、用途に応じて選択可能だ。
ちなみにハイキャブの4名分のシートは横一列に配置される独特なもの。中央の2名分はエンジンを避けてやや高い位置に搭載される。
ハイキャブ、ローキャブともステップの高さ(間隔)は共通で、1段目が450mm、2段目が350mm、3段目が190mmとなる。ドアは通常のトラック同様のヒンジ式が標準だが、路線バスのような折りたたみ式もオプション設定される。
消防はしご車など特装車の架装ベースになることが多いエコニック。いっぽうで欧州では配送トラックや長距離トラックなどの採用例も見られ、日本でもアイデア次第でさまざまな活用ができそうだ
エコニックのキャブの特徴は低さだけではなく、大型フロントガラスによる「パノラマビュー」で高い視認性も特徴。低いアイポイントと広い視界により、市街地走行中の安全性も高そうだ。
超低床キャブモデルは、国産メーカーが扱っていないカテゴリー。絶対数は多くないだろうが、確実に需要はあるはずだ。昨年3月には東京消防庁がエコニックベースの消防はしご車を採用しており、今後も多方面での活躍が期待される存在だ。
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古いネタで商売できるんだね。