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2023 SUPER GT 第3戦 SUZUKA GT450kmレース 波乱の予選から始まり大波乱となった決勝レース

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2023 SUPER GT 第3戦 SUZUKA GT450kmレース 波乱の予選から始まり大波乱となった決勝レース

跡形もないほどの大クラッシュでレースは途中で赤旗終了となる大波乱。2023 AUTOBACS SUPER GT第3戦『SUZUKA GT 450km RACE』の決勝レースが三重県の鈴鹿サーキット(1周5807m×77周)で行われた。

6月3日(土)の予選ではGT500のポールポジションを#24リアライズコーポレーション ADVAN Z(佐々木大樹 /平手晃平)が獲得したのだが、予選後の車検で、既定の100リットルを超える燃料を搭載していたことが発覚し、ガスバック違反となり予選最下位からのスタートとなった。

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6月4日(日)の決勝がスタート、GT500クラスでトップに立ったのはポールポジションスタートの#36 au TOM'S GR Supra、2番手は#19 WedsSport ADVAN GR Supra、3番手は#100 STANLEY NSX-GTと上位は予選順位通りで1周目を終え、7周目のシケインで#1 MARELLI IMPUL Zがアウトから仕掛け、#100を抜いて3位に浮上。

その後も#36は2位の#19に詰められる事もなくトップをキープしていたが、8周目にGT300クラスのリアタイヤが外れるというアクシデントが発生。その後、全車がペース落として追い抜き禁止となるFCY(フルコースイエロー)が宣言され、翌周には何と各車のマージンがリセットされてしまうセーフティカーが導入され、これでトップの#36と#19とのリード差は無くなってしまった。

その後、13周目にレースが再開され#36は再び後続との差を広げ29周目にピットインを行なったが、先行してピットインを行なった#19と#1に先行を許してしまう。さらにタイヤの冷えているピットアウト後のアウトラップで#23にも先行を許し、4番手まで後退してしまう。

これで#19がトップになり、続いて#1,#23の順となる。その後は#1が猛烈にプッシュし#19と#1間隔が徐々に詰まり出したが、オーバーラップが難しいこの鈴鹿ではブロックされてしまうとタイムロスになるとの判断か、#1は42周目に2度目のピットインを行う。トップの#19と2番手の#23は46周目に2度目のピットインをおこなった。これにより#36が再びトップに躍り出るも、48周目に2度目のピットイン。

#36は#19と#1そして#23の前でのピットアウトする事に成功したが、直後の1コーナーで#19の先行を許してしまった。アウトラップを終えてタイヤのグリップ回復すると#19の追い上げにかかり、ほぼ真後ろに付くまで接近することに成功し、この後の展開に注目が集まっていたが、その矢先に、4位につけていた#23が高速コーナの130Rからシケイン間で並走する2台のGT300車両を抜こうとし3車並走状態から抜きに出た際に接触。#23は姿勢を乱してほぼバックの状態になり、空中に浮きながらタイヤバリアとフェンスににクラッシュするアクシデントが発生。これにより、セーフティカーが導入され、さらに赤旗提示となりレースは一時中断となった。

筆者はこのとき、130Rの反対側のデグナーカーブでカメラを構えていたため、その瞬間に居合わせることとなった。130Rからコース幅いっぱいに3台が並ぶのは危険だと思ったその瞬間のあっと言う間の出来事を目撃してしまった。長年SUPER GTを追いかけている筆者だが、これまで見た事もないあまりの衝撃的なクラッシュに体が震えた。すぐにオフィシャル達もドクターも駆けつけたが、マシンは跡形もないほど大破して、ドライブしていた松田次生選手の容態が心配で、ただただ祈るだけだった。今でもその衝撃は脳裏に焼き付いている。

その後ドライバーは救出され、数分後の場内アナウンスでドライバーの意識はあるとの発表があり、思いっきり涙が溢れた。幸いにも大きな負傷はないとの情報も入り、すぐに松田次生選手はドクターヘリで精密検査のために病院へ搬送された。GT500のマシンが大破するほどなので、130Rの高速コーナーで200km/hほど出ていたのではないだろうか。タイヤバリアやフェンスも大きく破損しており、安全が確保出来ないとの判断から、レースはそのまま終了となった。

58周終了時点の順位で暫定結果となり、GT500クラスは2度目のピットストップをまだ行っていなかった#3 Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)が優勝とされ、表彰式(暫定)も行われた。しかし、その後その暫定結果に対して10チームから抗議が出され、大会審査委員会はこの抗議を正当と認めた。これにより改めてGT500クラス暫定結果が発表され、2度のピットイン義務を行っていない#3には60秒加算のペナルティが課されて4位に下がった。

これで優勝は#19 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南)2位は#36 au TOM'S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋)、3位に#1 MARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)となった。ところが、#3のNDDP RACINGがこの改定の暫定結果に大会審査委員会に異議を申し立てたが却下された。同チームはこの抗議裁定に対して控訴を行う意思を表明。このため、GT500クラスの競技結果は控訴結果が確定するまで留保となり、未だに暫定結果のままとなっている。

GT300クラスは#61 SUBARU BRZ R&D SPORTが序盤からハイペースで走行し、大幅なリードを確保していた。一方で450kmレースは給油を伴う2回のピットインが義務付けられているため、序盤の混雑によるタイムロスを避けるため、下位のチームは早々にピットインして給油を行うチームも出てきた。

1周目を終えると予選16位であった#7 Studie BMW M4、#52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT、#5 マッハ車検 エアバスター MC86マッハ号がピットイン。翌周には4番手と上位につけていた#2 muta Racing GR86 GTもピットへと向かう。その後#8 UPGARAGE NSX GT3は給油とさらにタイヤ交換も実施。だが、コースに出ると右リアタイヤのナットが外れて、なんとホイールが脱落するというアクシデントが発生。

なんと、その#8はコースを塞ぐ形でストップしてしまったためにフルコースイエロー、さらにセーフティカーが導入される事となる。GT500の#36号車同様、このGT300も序盤よりリードを広げていた#61にとっては築いたリードがリセットとなってしまうことになった。

その後、各車1回目のピットを終えると、早めのピットイン作戦に出たチームが上位に躍り出る形となった。30周を終えると、早めに1回目のピット作業を消化した#2がトップに。そして#52に続き#7、セーフティカーランのリスタート時にピットインした#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTが続く展開となった。

この後、2回目のピット作業を行うのだが、上位陣はここでも同時にピットインするも、#52はリアタイヤの交換に手間取って出遅れてしまう、これで柳田真孝に交代した#7が#52の前に出る。さらに翌周に#2もピットインするが、こちらはアウトラップに1コーナーでオーバーラン。7#は労せず実質のトップに上がった。

GT300の全車が2回目のストップを終えると、#7がそのまま首位。しかし、僅差で2番手に#2が続き、#52までもトップ争いに加わってきた。その後方には、オーソドックスな戦法でピットインをこなした前回の富士のウィナーである#56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rと#61が迫っており後半に向けて緊迫の上位争いが展開されると思われた。

GT300もポールスタートの#61が来るのか、前回のウィナー#56が来るのか、それとも早めのピットイン組が来るのかが注目されていたが、その矢先に大クラッシュが発生し、レース終了となる。

GT300クラスは全車2回のピットインと給油を完了しており、各チームイコール条件の元、54周時点の順位となり、序盤にピットインを完了した3チームの#7 Studie BMW M4(荒聖治/柳田真孝)が優勝となり、今季初優勝を飾った。2位は富士に続き連続表彰台の#2 muta Racing GR86 GT、3位はこちらも連続表彰台の#52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)となった。

以下GT500ポイント圏内リザルト(暫定)1位 #19 WedsSport ADVAN GR Supra TOYOTA GR Supra GT500 国本 雄資 / 阪口 晴南2位 #36 au TOM'S GR Supra 坪井翔 / 宮田莉朋3位 #1 TEAM IMPUL MARELLI IMPUL Z 平峰一貴/B.バゲット 4位 #3 Niterra MOTUL Z3 千代 勝正 / 高星 明誠5位 #100 STANLEY NSX-GT Honda NSX-GT 山本 尚貴 / 牧野 任祐6位 #14 TGR TEAM ENEOS ROOKIE ENEOS X PRIME GR Supra 大嶋和也/山下健太7位 #8 ARTA MUGEN NSX-GTHonda NSX-GT 福住 仁嶺 / 大津 弘樹8位 #24 リアライズコーポレーション ADVAN Z Nissan Z GT500 佐々木 大樹 / 平手 晃平9位 #17 Astemo REAL RACING Astemo NSX-GT 塚越広大/松下信治10位 #38 ZENT CERUMO GR Supra TOYOTA GR Supra GT500 立川 祐路 / 石浦 宏明

以下GT300ポイント圏内リザルト 1位 #7 Studie BMW M4 BMW M4 GT3 荒 聖治 / 柳田 真孝 2位 #2 muta Racing GR86 GT TOYOTA GR86 堤 優威 / 平良 響 / 加藤 寛規 3位 #52 埼玉トヨペット Green Brave 埼玉トヨペットGB GR Supra GT 吉田広樹/川合孝汰 4位 #56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R NISSAN GT-R NISMO GT3 J.P.デ・オリベイラ / 名取 鉄平 5位 #65 PONOS GAINER GT-R NISSAN GT-R NISMO GT3 安田 裕信 / 大草 りき 6位 #61 SUBARU BRZ R&D SPORT SUBARU BRZ GT300 井口 卓人 / 山内 英輝 7位 #60 Syntium LMcorsa GR Supra GT TOYOTA GR Supra 吉本 大樹 /河野 駿佑 8位 #10 PONOS GAINER GT-R NISSAN GT-R NISMO GT3 安田 裕信 / 大草 りき 9位 #30 apr GR86 GT TOYOTA GR86 永井 宏明 / 織戸 学 / 上村 優太 10位 #20 シェイドレーシング GR86 GT TOYOTA GR86平中 克幸 / 清水 英志郎 / 山田 真之亮

この目で見たあの瞬間、本当にあっという間の出来事だったが、ついさっきのことのように思い出しては恐怖心を覚える。松田次生選手の容態が心配でならない。

次戦のSUPER GT第4戦は約2ヶ月先の8/5(土)~8/6(日)で富士スピードウェイにて開催される。

Photo/Text:Hisao Sakakibara

【筆者の紹介】Hisao sakakibaraモータスポーツフォトグラファー。レーシングカー好きが高じて、サーキット通いに明け暮れる。モータスポーツの撮影取材を始めて25年のベテランフォトグラファー。

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