スズキから、新型ダイナミッククーペスタイルのSUV、フロンクスが発売され、今回、公道での試乗を行った。フロンクスの概要を説明すれば、インドで生産され、すでにインド、中南米、中近東、アフリカなどで好評を得ていて、早くもインドの乗用車市場で累計販売台数10万台を達成したグローバルカーである。今回、日本に導入、逆輸入されたフロンクスは日本市場向けに特別に仕立てられた日本市場専用車であり、スズキの日本市場への意気込みを感じさせる新型車と言っていいだろう。同社は、10月末時点で販売台数が1万台を突破したことを明らかにした。新型「フロンクス」の目標販売台数は月間1000台だったが、発売から2週間近くで受注した1万台は目標の10倍という数字だ。
スタイリッシュなクーペスタイル
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「スタイリングを第一に開発し、楽しい走りも重視した」というフロンクスは、どこから見てもスタイリッシュなクーペスタイルが特徴。第一に注目すべきはボディサイズ。全長3995×全幅1765×全長1550mm。ホイールベース2520mmであり、日本の狭い道での運転のしやすさはもちろん、1550mmの全高から、都市部の立体駐車場への入庫も容易。ライバルの同じくインドで生産されるホンダ・WR-Vのボディサイズは全長4325mmx全幅1790mmx全高1650mmとなり、立体駐車場への入庫はほぼ困難なのである。
しかも、最小回転半径は軽自動車造りにたけたスズキだけに、195/60R16サイズのタイヤを履いていながら、コンパクトカーのスイフトと同じ4.8mと超優秀。WR-Vは5.2mである。
パワーユニットはK15C型直4 1.5Lエンジン101ps、13.8kg-m(2WD)/99ps、13.7kg-m(4WD)にモーター3.1ps、6.1kg-mを加えたマイルドハイブリッド+6ATとなる。WLTCモード燃費はFFが19.0km/L、4WDが17.8km/Lとなる。
WR-Vは3気筒1.5Lのガソリンエンジン+CVTのみで勝負しているわけで、ここでも差が付くことになる(あくまでスペック上だが)。もっとも、最低地上高はWR-Vの195mmに対して170mmとなるが、それでも走破性にぬかりはない。
ホンダWR-V
というのも、現時点で日本仕様のフロンクスのみに採用される4WDには、ヒルディセンドコントロール、グリップコントロール、そしてスノーモードと3つの走破用モードとスポーツモードとパドルシフト(全車)が設定されているからだ。
超スタイリッシュなクーペスタイルSUVのフロンクスだが、筆者はそのデザインにひとつ、勘違いしていたことがあった。それは上下にシャープな3連LEDライトを配したダイナミックなフロントビューだ。発表会で見た際は、上がヘッドランプ、下はフォグライトか・・・と思っていたのだが、実は逆。上がデイタイムランニングランプで、下がヘッドライトだったのである。
スタイリッシュSUVを所有する満足度、走りの自由度で4WDがFFを上回る
さて、フロンクスの運転席に乗り込めば、視界は文句なく、すぐに運転のしやすさを実感。身長172cmの筆者のドライビングポジションでは頭上に180mmのスペースがあり、コンパクトSUVトップクラスのゆとりと、ブラック×ボルドー+パールブラックの新鮮なインテリアカラーが新鮮。シートはブラック×ボルドーの合皮とファブリックの組み合わせで、インパネの力強い造形とともに、ラグジュアリーな雰囲気をも醸し出す。9インチひのフルセグTV付きドラレコ連動のスマホ&スズキコネクト連携メモリーナビゲーションが標準装備されるのも嬉しすぎるではないか。
後席に座ってみると、頭上に105mmの空間は全高1550mmのクーペスタイルSUVだからそれほどの余裕はないものの、膝周り空間はなんと210mmという上級SUV並みのスペースがあるから、足元広々。フロアからシート先端までの高さ=ヒール段差は360mmもあり、椅子感覚、太腿裏が座面にしっかり密着するアップライトで疲れにくく、快適なかけ心地にも満足できた。残念ながら、インド仕様などにある後席エアコン吹き出し口は日本仕様では不採用(その部分の穴が小物入れに)。後席もしっかり使えるクルマだけに、今後、追加装備を願いたい。
そうそう、フロンクスは先進運転支援機能も充実。スズキの安全技術、スズキセーフティサポートを日本仕様では満載し、その数16種類。単眼カメラ+ミリ波レーダー式のデュアルセンサーブレーキサポートIIを始め、ヘッドアップディスプレー、ACC(アダプティブクルーズコントロール)、車線維持支援機能、ブラインドスポットモニター、前後誤発進抑制機能、全方位モニター用カメラ、リヤクロストラフィックアラートなどを装備。とくにこのクラスとして贅沢なブラインドスポットモニター、および、WR-Vにない全車速追従機能・停止保持機能付きACCを、電子パーキングブレーキとオートブレーキホールド機能とともに搭載しているあたりは、価格を知れば、大サービス!?と断言できる。コネクティッド機能も充実し、もちろんSOSコールも用意する。
まず試乗したのはFFモデル。出足の加速感はかなり穏やかなもので、6ATの変速はまずまずだが、乗り味はシャキッとしたソリッドなタッチ。段差の乗り越えなどでやや荒めの音振・ショックを伝えてくる場面もあるにはあるが、むしろ軽快な走りに好印象が持てた。穏やかな動力性能ということで、スポーツモードにセットすれば、アクセルレスポンス、加速力は一気に向上。しかし、市街地の低速走行では、やや飛び出し感のある制御とも言える。
感心したのはステアリングのスムーズさ。切る、戻す、どちらでも雑味のないステアリングフィールを伝えてくれるから、走りが気持ちいい。
車内の静粛性は価格からすれば文句なし。4気筒エンジンが3000回転を超えたあたりから室内に元気なエンジンノイズが明確に入ってくるものの、その音質は決して不快ではなく、また、加速時を除けば高速走行を含めほぼ3000回転以下で走れるから、車内の静粛性は合格ラインだと思える。
日本仕様専用開発の、FFに対して60kg重くなる4WDモデルに乗り換えれば、意外なことに、FF車で感じた出足の穏やかさがやや解消され(リヤ駆動によるものか?)、乗り心地にしても重量増が効いているのか、よりしっとり上質な印象を受けることになった。たとえばマンホールの乗り越え、路面の継ぎ目のいなし方もこちらのほうがマイルド、ショックが抑えられているということだ。そしてステアリングフィールのスムーズさはこちらでも変わらず、カーブなどでの前後左右の姿勢変化の少なさも実感。終始、フラットな乗り心地を示してくれたのである。
短時間の試乗ながら、せっかく日本仕様のためだけに用意してくれて(スズキの人気がとくに高い雪国のユーザーを考慮)、FF車とともに日本の路上に合うように徹底的にチューニングされた、FFの254万1000円に対して19万8000円高の273万9000円となる4WDモデルの出来の良さ、走りの質感の高さ、4WDのみのヒルディセンドコントロールグリップコントロール、そしてスノーモードを含むオールラウンダーとしての機能性の高さ、ラゲッジルームの使い勝手の良さから、スズキ渾身のコンパクトなスタイリッシュSUVを所有する満足度、走りの自由度で4WDがFFを上回ると思えたのも本当だ。
この国産コンパクトSUVクラスでは、ホンダWR-Vが同じインド生産ということで直接的なライバルとなるが、やや廉価なWR-Vの内容、4WDの有無(WR-VはFFのみ)、フロンクスではマイルドハイブリッドとなるエンジン、先進運転支援機能のACCの作動範囲(フロンクスは全車速。WR-Vは約30km~の作動)、WR-VのACCにないカーブ速度抑制機能、車線変更時補助機能の装備などを含め、ラゲッジルームの広さ、容量は別にして(こちらはWR-Vが優位)、価格差を超えた商品力があると言っていいのではないだろうか。
文・写真/青山尚暉
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