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日本に正規輸入されたことがない「ルノー・エスパス」。コンセプトが変わる前の4代目モデルをベルリンで見かけて

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日本に正規輸入されたことがない「ルノー・エスパス」。コンセプトが変わる前の4代目モデルをベルリンで見かけて

もうまもなく4月になりますが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか。筆者の住むドイツの首都ベルリンの気温は相変わらず10度前後。さらに、非常に変わりやすい天気が続いていて、さっきまで晴れていたと思ったら突然雨が降り出したり、急に風が強まったりと、なかなか「春爛漫」といった雰囲気にはなってくれません。

3月31日にはサマータイムに切り替わるので、人々もいよいよ外出して遊びに行く時期に差し掛かりますが、そんな時に活躍するのが、5人から7人乗りのミニバンやSUVです。ドイツにおけるミニバンは、フォルクスワーゲン・シャランやメルセデスベンツ・Vクラスといったモデルを多く見かけますが、輸入車ではこのクルマをよく見かけます。今回ご紹介するのは、日本には未だに一度も正規輸入されたことがない、「ルノー・エスパス」です。

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ヨーロッパ初のMPV

ルノー・エスパスの初代モデルが登場したのは1984年のこと。エスパス登場時はもともと大量生産については考慮されていなかったのか、鋼板プレスに樹脂製のパネルを貼り付けるという、少量~中量生産に向いたボディ構造となっていました。結果的にはヨーロッパ初のミニバン(MPV)として登場したことで、その多用途性が評価されて瞬く間に大ヒットを記録。樹脂製パネルの恩恵で、比較的軽量に仕上がっていたこともあり、大柄な車体からは想像もできないほどのスポーティなハンドリングを実現していました。

樹脂製ボディをまとうエスパスは、その後2代目、3代目と続きましたが、4代目ではついに決別。樹脂製ボディを生産していたマトラとの関係も終了し、構造的にも完全に刷新されました。今回撮影したのも、この4代目エスパスです。4代目エスパスは2002年に登場し、2014年に生産が終了するまで、12年の長きにわたって生産されました。

高い安全性と多目的性を両立

4代目エスパスはその長い歴史の中で、フェーズ1からフェーズ4まで、計3回のマイナーチェンジが行われました。そのうち、フェーズ2に移る際と、フェーズ4に移る際にフェイスリフトが実施されています。今回撮影したクルマはミラーなどの形状から判断すると、2006年から2010年に生産されていたフェーズ2と考えられます。

4代目エスパスは、広い室内空間に7席を配置しつつ、多彩なシートアレンジを実現。カングーのロングバージョン「グランカングー」よりも乗用車らしい乗り味・乗り心地を実現しています。また、ヨーロッパで権威のある衝突安全テスト「Euro-NCAP」で最高評価の5つ星を獲得。安全性と実用性を両立したエスパスは、先代までの人気を引き継ぎ、4代目も堅調な販売を記録。とはいえ、ライバルたちの台頭と、先進装備の初期不良がたたってしまい、生産台数は約37万台とそれまでに比べて控えめなものとなっています。

ドイツでよく見かけるのは、この4代目エスパスです。大きな車体に関わらず優れたハンドリングと、多目的に使える室内空間。ロングツーリングに適した直進安定性で、アウトバーンを長距離走破しても疲れない快適性をも実現しています。ところが、エスパスの運命は思わぬ方向に動き始めることになるのです。

5代目モデルはコンセプトを大幅に変更

5代目エスパスは、そのコンセプトを大幅に変更。ボディの大きさはそのままながら、地上最低高を大幅に高くし、大径ホイールを装備し、インテリアも独立した座席が4つ据え付けられるなど、クロスオーバースタイルの高級車に生まれ変わることになりました。

4代目エスパスまでは右ハンドルが設定されていたため、イギリスでも販売されていましたが、5代目では右ハンドルの設定が消滅。イギリスからは落胆の声が上がったといいます。日本についても、5代目エスパスの正規輸入に関しては可能性がほとんどないと言ってよいでしょう。さらに、大幅に値上がりした価格のせいか、ドイツで見かける数もあまり多くはありません。

それまでのエスパスのコンセプトの完成形とも言うべき、4代目エスパス。それまで培ってきた多目的性と、中古車市場での低価格を武器に、これからも長くドイツの地に留まり続けることでしょう。春の訪れとともに、公道で見かける機会がますます増えるかもしれませんね!

[ライター・カメラ/守屋健]

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