2019年5月に登場した新型「マツダ3」の「スカイアクティブX」エンジンを搭載した仕様に、世界初試乗することができました。マツダが7月頭にドイツ・フランクフルトで国際試乗会をおこない、そこで試す機会が得られたわけです。
マツダ3が登場した当初から『大本命エンジン』であるとされてきたスカイアクティブX仕様のマツダ3は、いったいどんな走行性能を実現しているのでしょうか。
レクサスにも勝る小型SUV!? マツダ「CX-30」はクラスを超える仕上がりだった
「マツダ3」の本命モデルはどんな走行性能を見せるのか 知られているように、マツダ3はすでに非常に高い評価を得ているモデルです。同社の新世代商品群の皮切りとなる第一弾モデルとして登場し、デザインをはじめ基本骨格などすべてを一新したことで、このクラスの頂点ともいえる非常に高い完成度を見せています。
そんなマツダ3ですが、決してパーフェクトな商品ではなく、唯一の弱点といえるのがエンジン。現時点では1.5リッターと2リッターのガソリンエンジンと、1.8リッターのクリーンディーゼルエンジンが用意されています。
しかし、1.5リッターエンジンに関してはパワー的には期待が薄く、その上にある2リッターエンジンも他車と比べて圧倒的な高レベルというわけでもありません。悪くはないのですが、どちらかといえばライバル車と比べると存在感は希薄です。
そして1.8リッターのクリーンディーゼルエンジンに関しては、これまでのアクセラに2.2リッターのクリーンディーゼルエンジンが搭載されていた経緯があるのと、ひとつ上のクラスにある「CX-5」でも2.2リッターのものが採用されており、それと比べるとやはりややパワー不足が否めません。
それだけに、今回試乗した大本命エンジンであるスカイアクティブXには、大きな期待が寄せられていたわけです。
スカイアクティブXは世界初の「SPCCI燃焼」という、極めてユニークな燃焼方式を採用したまったく新しいエンジンとなっています。
メカニズムの解説をすると非常に複雑になるのですが、あえて簡単に説明するならば、このエンジンは、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンが持つ特性の中間的な存在にあるガソリンエンジンです。
実際にエンジンの圧縮比は16.3という数値で、これはガソリンエンジンとしては極めて高圧縮。通常だと11から12くらいです。一方、ディーゼルエンジンの場合、通常は18くらいなので、スカイアクティブXはディーゼルに近い圧縮比を持っているといえます。
スカイアクティブXの排気量は2リッターで型式は直列4気筒となり、これに「Mハイブリット」という24Vのマイルドハイブリッドシステムを組み合わせています。じつはスーパーチャージャーも組み合わせられているのですが、これは一般的なスーパーチャージャーとしての働きというよりも、SPCCI燃焼時にたくさんの空気を送り込んで希薄燃焼させるための役割が強いため、「エア・サプライ」と呼ばれています。
そして欧州仕様のスペックでは、最高出力180馬力を6000回転で、最大トルク224Nmを3000回転で発生。これに6速ATか6速MTを組み合わせて、前輪を駆動するFFレイアウトを採用します。
外装は、ほかのマツダ3とまったく変わりません。外観で唯一ほかのグレードと識別できる点となるのは、リアゲートに与えられるエンブレムで、ここに『スカイアクティブX』と記されるのみです。
そして内装もまったく変わりませんが、メーターを覗き込むとレッドゾーンはなんと6500回転という、最近のエンジンでは見たことがないほど高回転まで回せることが、ほかのモデルとの違いとなっています。
感動さえ覚えるスカイアクティブXのフィーリング 今回はまず、6速AT車から試乗しました。エンジンを始動すると、サウンドそのものに大きな特徴があるわけではありません。しかし、最近のエンジンにしては気持ちよく目覚める感覚があるな、と思えるのは事実です。
「スカイアクティブX」エンジンが搭載された「マツダ3」 そしてシフトレバーを「D」に入れて走り出すと、その瞬間から大きな感動に包まれます。端的にいって、これまでに感じたことのない、まさに未体験の感覚が始まったのです。
アクセルを踏み込んでいくと、まず感動するのはエンジンの回転が非常に滑らかに感じることです。加えて4気筒のエンジンとしては異様なまでに静粛性が高く、余分なノイズは一切カットされているのでは、と思えるほど。
なぜならば、スカイアクティブXのユニットはボンネットの中でカプセル化されており、徹底した遮音がなされているからです。
このように徹底的な遮音がされていると、エンジンが滑らかに回転し、力が湧き上がってくる感じがだけが伝わってくるため、より一層上質なエンジンだという印象を受けます。
そうしてさらにアクセルを踏み続けると、3000回転を超えたあたりから驚きの伸びの良さが伝わります。
最近の同クラスに搭載される直噴エンジンの場合、ターボ化されたものも多く、ガソリンエンジンであっても高回転にいくほどに回転が鈍って詰まる感じを受けるのですが、スカイアクティブXはそれらとは対照的な、じつに爽快で伸びやかな回転を伴うエンジンになっているのです。
そして回転が上がるにつれて伸びが増すとともにエンジンの力も湧き上がり、加速そのものが実に気持ちよく感じられます。
マツダ3は、すべてのモデルで非常になめらかな走り出しの感覚がある上に、乗り心地も同クラスのなかで群を抜いており、なおかつ走行時の静粛性も高いという非常に完成度の高い走りを持っています。
それだけに、このスカイアクティブXとの組み合わせはまさに最高の相性といえるもので、このクルマをさらにワンランク上の、上質なモデルに感じさせる要素となっています。
しかし、それでも完璧なわけではありません。最初は回転の滑らかさと静粛性の高さに驚かされますが、慣れてくるとエンジンの回転が低いところでは、微妙にトルク感が薄いように感じてくるのも事実です。
おそらく回転が高まるにつれて伸びが良くなり力を感じる特性に加え、組み合わされる6速ATのギヤ比の関係などが影響しているのでしょう。
そして、低回転でややトルクの細さを感じつつも、そこから回転が伸びるにつれて気持ちよさが増すために、ついついエンジンを回しがちになります。
対して、最近の高回転まで回らない直噴ターボエンジンなどの場合は逆に、低回転でトルクが太いので最初から力強さを感じるクルマも多いです。
マツダ3のエンジン特性は、世の主流といえる直噴ターボエンジンやクリーンディーゼルエンジンとは対極にある感じすらあります。
スカイアクティブXはMT向き!? その理由とは その後6速MTのクルマに乗り換えてみると、6速AT車で感じた低回転でのトルクの細さは、こちらの方が感じづらく好印象でした。
「スカイアクティブX」エンジンが搭載された「マツダ3」 なぜならば、MTとの組み合わせによって自分自身でギヤを選べて、なおかつシフトした際に比較的しっかりと踏み込むため、トルクの細さを感じる回転域をさほど使わないか、たとえ使ったとしても時間的にも短いので気にならなくなるのです。
またMT特有のエンジンを操る楽しさが加わるために、そうしたネガティブな部分が気にならなくなる傾向にもなります。それだけに、走りの楽しさや気持ちよさという意味では、このスカイアクティブXはMTで乗るのがオススメです。
もちろんATでも悪くはありませんし、エンジン自体のこれまでにない不思議な感覚は味わえますが、この感覚をより強く味わって気持ちよさを享受するという意味ではMTが正解です。ただし、ついつい高回転を使いがちになってしまうのですが。
すでにマツダ3は、ほかのグレードでも同クラスのライバルと比べたときに、乗り心地の良さや静粛性の高さ、滑らかな乗り味による走りの質感の高さ、さらに内外装における優れたデザインなどの各要素で、国産車のトヨタ「カローラスポーツ」やスバル「インプレッサ」、ホンダ「シビック」をはるかに凌ぐ、極めて商品性の高いプロダクトになっています。
輸入車の同クラスに君臨する王者・フォルクスワーゲン「ゴルフ」と比べても、モデル末期ということもあって明らかにマツダ3の方が上をいっていますし、同クラスの最新モデルであるメルセデス・ベンツ「Aクラス」に対しても、同等以上と評価できる部分はしっかり持っています。
そうしたクルマだけに、極めて個性的な世界初のスカイアクティブXエンジンの搭載は、マツダ3の世界観をさらに独自のものとして高めたといえるでしょう。
これまでマツダ3のエンジンラインナップが決め手に欠けていたのは事実で、そこに強烈なインパクトのものが加わりました。いうならば、マツダ3の世界観はこのスカイアクティブXの搭載によって完成を見たといえます。
とはいえ、まだ日本仕様を試したわけではなく、それを試乗して初めて真の評価を下すことができるといえるでしょう。その意味でも、2019年10月に予定されている日本上陸が楽しみでなりません。
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
車に表示される「亀マーク」の“意味”に「分からなかった…」 の声も! 謎の「青いイカ」に「コーヒー」も!? 多すぎるメーターの「警告灯」何を示す?
まさかの「4列“10人乗り”SUV」!? 90馬力エンジン×MT設定のみ! アンダー270万円の「“既視感ありまくり”SUV」…斬新すぎインド車に反響も
トヨタが「パンダトレノ」復活!? 伝説の「AE86」完全再現した“特別モデル”が凄い! 最新「ハチロク」日米で登場した姿とは
最近の軽自動車は高すぎ……ヤリスは150万円で買える! 最廉価グレードがおすすめできるコンパクトカーはどれ!?
この時代にまだ「パクリカー」を堂々展示……ってある意味スゴイ! バンコクのモーターショーで見つけたもはや笑えるクルマたち
日本のショップ「RWB」が手掛けたポルシェ「911」の世界的な評価は? 予想より低い約1800万円でした
「タコ2」三兄弟をおぼえてる? トヨタ「ターセル/コルサ/カローラII」はホットハッチ男子を魅了した国民的人気車でした
ズルい? ズルくない? 先頭で合流する「ファスナー合流」 “賛否両論”も実はNEXCO推奨!? 「渋滞解消」への画期的な合流方法とは
いまやその価値5億円!? バブル時代に人気絶頂だった“20世紀最高のスーパーカー” フェラーリ「F40」ってどんなクルマだった?
斬新デザインの[新型エクストレイル]爆誕!? ヘッドライトどこなの!? 日産本気のコンセプトカー4台イッキ見【北京ショー】
みんなのコメント
この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?