■世界最大級のカスタマイズカーの祭典で注目の日本車を振り返る
2021年11月2日にアメリカ・ネバダ州のラスベガスで、SEMAショー2021が開幕しました。前回は新型コロナウイルス感染拡大の影響でリアルイベントは中止となったことから、2年ぶりの開催です。
【画像】やっぱカスタマイズカーは素直にカッコイイ! SEMAショー2021の日本車を見る(28枚)
SEMAショーは、日本の東京オートサロンやドイツのエッセンモーターショーと同じくカスタマイズカーやカスタマイズパーツの祭典で、規模は世界最大級で50年以上の歴史があります。
もともとはアフターマーケットのパーツメーカーが主体のショーでしたが、自動車メーカーも参加するようになり、アメリカだけでなく世界各国の自動車メーカーが出展するようになりました。
自動車メーカーがつくるカスタマイズカーといっても、公道での走行を考えていないような改造車も多く見られるなど、世界中のクルマ好きから注目されています。
そこで、SEMAショー2021に出展された日本メーカーのクルマを、3車種ピックアップして紹介します。
●レクサス「HIRAKU&TOWNSEND BELL ストリートパフォーマンス IS 500」
レクサス「IS」の2022年モデルには、最高出力478馬力を誇る5リッターV型8気筒自然吸気エンジンを搭載する「IS 500 Fスポーツ パフォーマンス」がラインナップされています。
このIS 500をベースにカスタマイズされたモデルが、「HIRAKU&TOWNSEND BELL ストリートパフォーマンス IS 500」です。
HIRAKU&TOWNSEND BELL ストリートパフォーマンスはレクサスのアンバサダーでレーサーのタウンゼント・ベル氏が監修し、ボディキットメーカーのHIRAKU Co.が3Dプリンターでつくったワンオフのパーツが装着され、ストリートでのパフォーマンスを強調するコンセプトで製作されています。
外装ではフロントリップスポイラーにカナード、エアアウトレット付きのフロントフェンダー、サイドステップ、ルーフスポイラー、リアディフューザーなどが装着され、どれもIS 500のイメージを損なうことなく自然にフィットしています。
また、前後20インチのホイールには透明なパネルのリムシールドが取り付けられており、足元を引き締めています。
内装にはスパルコ製カーボンバケットシートに、ハンドルまわりとインパネには同じくカーボンでつくられたトムス製パーツを採用。
機能的なパーツでは、トムスのボディ補強パーツやA’PEXiの車高調、ブレンボ製リアブレーキキットが奢られ、エンジンは基本的にノーマルですが、トムスのサクションパイプやA’PEXiのスロットルコントローラーとマフラーが装着されています。
●日産「プロジェクト・オーバーランド フロンティア」
近年、アメリカで注目されているのが「オーバーランド」と呼ばれるアウトドアライフで、車中泊をしながら旅をして、自然を満喫するというものです。
オーバーランドに使われるクルマは本格的なキャンピングカーにとどまらず、ピックアップトラックの荷台やSUVのルーフにテントを設営するケースもあり、手軽にキャンプを楽しもうというのが根幹になっています。
そんなトレンドをキャッチアップしたかたちで、SEMAショー2021には複数のメーカーからオーバーランド仕様が出展されていますが、日産は2021年9月に登場したばかりのミドルクラスピックアップトラック、新型「フロンティア」をベースにした「プロジェクト・オーバーランド フロンティア」を仕立てました。
ベースはオフロード性能を高めた「フロンティアPRO-4X」で、装着されているパーツの多くはNISMOブランドを採用。
外観ではオフロードヘビーデューティバンパーに荷台とルーフにはオーバーランド用のラック、足まわりでは2インチ(約50mm)のリフトアップキットにホイールなどがNISMO製です。
また、人里離れた場所でのキャンプも可能なように、オールテレーンGPSシステムや、ソーラーパネルとリチウムイオンバッテリーによる電源、ハイリフトジャッキなどを装備。
日産はこのフロンティアのほかにも、SUVの「パスファインダー」をベースとしたオーバーランド仕様を出展しています。
●ホンダ「Fifteen52プロジェクト 96 アコードワゴン」
ホンダが出展しているクルマで注目されているのが、10月29日に発表されたばかり新型「シビック Si」と、これをベースにしたレースカーが挙げられますが、もう1台非常にユニークなカスタマイズカーなのが、「Fifteen52プロジェクト 96 アコードワゴン」です。
車名のとおり2代目アコードワゴンがベースで、1996年に全日本ツーリングカー選手権(JTCC)で、服部尚貴選手がドライブして活躍したレース仕様の「ジャックス アコード」をモチーフにカスタマイズされています。
なお、Fifteen52とはオンロード、オフロード用のハイパフォーマンスホイールのブランドです。
外観はジャックス アコードと同形状のフロントバンパーとドアミラーが装着され、カラフルなカラーリングも当時のものを再現し、ヘッドライトも日本仕様に変更されるなど、細部にまでこだわっています。
内装ではバケットシート、シートベルト、クイックリリースのステアリングがスパルコ製で、ロールケージを装着。
搭載されているエンジンは「シビック タイプR」用の2リッター直列4気筒ターボ「K20C型」で、ライトチューンが施されているようですが、最高出力は310馬力と公表されています。
また、同時にこのエンジンは、アメリカのHPD(ホンダパフォーマンスデベロップメント)から、一般ユーザーにもレース用に限って販売すると発表されました。
ほかにもブレーキがシビック タイプR用、サスペンションにはテイン製の車高調が装着されています。
※ ※ ※
アメリカでは古くからカスタマイズカーの文化が根付いていますが、自動車業界にも大きな影響があるといいます。
一部のマニアが始めたカスタマイズの手法がトレンドとなり、それによってベース車の販売台数やパーツの売上が上昇したり、新型車のデザインにも反映されるケースがあるというのです。
近年ではJDM(Japanese Domestic Market)が人気ですが、これも一部の愛好家から広まった例で、日産「スカイラインGT-R」の価格上昇のきっかけになったといえるでしょう。
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