はじめに
アストン・マーティン・ラゴンダ・グローバル・ホールディングplcというフルネームの、111年の歴史を持つこの会社にとって、2024年は記念すべき年になろうとしている。まず、ル・マンのトップクラスへの回帰を表明し、2台のヴァルキリーが世界耐久選手権への参戦準備を整えた。
【画像】アストン・マーティン・ヴァンテージとライバル 全18枚
次に、フラッグシップであり、フェラーリ12チリンドリに対する835psの力強いレスポンスである新型ヴァンキッシュをローンチ。さらに、フェルナンド・アロンソの依頼で開発が始まった、V12をMTで操る限定車のヴァリアントも発表した。
300万ポンド(約5億7600万円)オーバーのミドシップ・ハイブリッドハイパーカーであるヴァルハラも、本領を発揮すべくテストを開始した。そして昨年、DB12を発売してから、株価にもいい兆候が出ている。そうそう、最近ではベントレーのトップだったエイドリアン・ホールマークが、CEOとして加わったのもトピックだ。
しかしながら、おそらくそのどれも、改良型ヴァンテージの登場ほど重要ではないだろう。325km/hに達する665ps/81.6kg-mのモデルをそう呼ぶことに賛同してもらえるかどうかはともかく、アストンのエントリーモデルは、DBXを別にすれば、V8を積む稼ぎ頭になるだろう。
ヴァンテージは、ベントレーやポルシェ、メルセデスAMGやマセラティ、そしてもちろんフェラーリのライバル車に対して、アストンを代表するモデルと見なされることがもっとも多いであろうスポーツカーだ。その最新型は、これまで以上にスーパーカーを脅かす存在になった。ローレンス・ストロールがアストンに望む方向性を象徴するものでもある。フェラーリに照準を定めているのが明白だ。
従来比で30%もパワーアップし、最高速度も引き上げられた改良型ヴァンテージだが、楽しめるハンドリングバランスが犠牲になってはいないだろうか。確かめていこう。
意匠と技術 ★★★★★★★★★☆
2024年型ヴァンテージは、従来型から大幅に変貌したわけではなく、より力強い外観になりながらも、2005年登場のV8ヴァンテージ以来のDNAを持ち続けている。20年近いギャップがあっても、同じ系列のクルマだとわかるはずだ。
低く構えたリア周りや短いリアオーバーハング、均整の取れたノーズなどは特徴的だが、この3代目ヴァンテージでは、それらの表現がこれまで以上にドラマティックだ。グリルも歴代でもっとも存在感があり、21インチホイールはこれまで、ポルシェ911GT3対抗モデルである従来型のF1エディションにしか採用例がない。
最新モデルはまた、ボディが従来型より30mmほど拡幅され、全幅1981mmに達した。これは無視できる寸法ではなく、かつてのDB11よりワイドだ。シャシーは、アルミの押し出し材とキャスト材のブレンドで、基本的にDB12と同じアーキテクチャーだが、ホイールベースは短い。2705mmというのは、フェラーリ・ローマよりわずかに長い程度だ。しかし、全長は競合するフェラーリよりかなり短いのが興味深い。これは、GTカーよりスポーツカーであることを優先したことに起因する。
車両重量は、公称値が1670kg、73Lタンクを満たしての実測値が1745kg。先代を計測した際は1720kgで、冷却系の大型化や、サスペンションタワーの強化、前後アンダートレーの設置などを考えれば、増量幅は小さい。しかし、今回のテスト車に装備されていたカーボンセラミックのブレーキディスクは、27kgの軽量化を実現する。そして、2018年にテストした従来型にはなかったアイテムなので、単純計算で新旧の差は52kgということになる。
もっとも、その重量差をほぼ考えなくていいものにするほど、パワーアップしている。ほぼフロントアクスルより後方に収まったAMG由来のV8ツインターボは、3892ccで665psを発生。ちなみに、従来型は510psだった。トン当たりのパワーは398psで、これは格上に当たるDBSスーパーレッジェーラに4ps/t及ばないだけだ。
駆動力は、リアに積まれたZF製8速ATと、それに統合されたクラッチ式の電子制御LSDを経て後輪へ伝達。もしも3ペダル仕様が用意されるなら、LSDは機械式になるだろう。今回のAT車は、従来型よりファイナルを5%ショート化している。
ステアリングは電動アシストで、このアーキテクチャーを採用したほかのモデルと違って、ステアリングコラムとシャシーの接点にNVH減少のためのカップリングが用いられない。ステアリングの精密さを増すためだ。
さらにそれを高めるのが、ねじり剛性の向上だ。コーナリング時の荷重がかかった状態では、29%アップしているという。これは従来型に対する大きな進歩で、そこに組み合わせるのが、力分布の帯域幅が従来比で5倍になったというビルシュタイン製のスカイフックダンパーだ。タイヤはアストンの認証仕様であるミシュラン・パイロットスポーツS5で、フロントが275/35、リアが325/30のZR21。望めば、新型の調整式トラクションコントロールが補佐してくれる。
内装 ★★★★★★★★☆☆
ヴァンテージの改良の主なものは、刷新されたインテリアだ。そのテイストやハードウェアとソフトウェアは、DB12で導入されたもの。DB11や従来型ヴァンテージのはっきり言って古いメルセデス製ソフトウェアに比べれば、じつに印象的だ。
センターのタッチ式10.3インチ画面は、やはりユーザビリティの切り札とはなっていない。アイコンは小さすぎる場合もあり、レイアウトはちょっと直観性に欠け、表面はかなり熱くなる。しかし、Apple CarPlayやAndroid Autoとの統合は、かなりユーザーを楽にしてくれる。
デジタルディスプレイだけで構成されるメーターパネルは、われわれとしては好きになれない。たしかに鮮明だが、グラフィックにはヴァンテージのようなクルマにあるべきロマンティックさがない。ステアリングホイールの静電容量式コントロールは、遅れが出がちで、全体的にレスポンスがよくないところがある。
同時に、アストンは明らかに物理的なスイッチやダイヤルへの信頼をある程度持ち続けており、温度や風量と音量を調整する溝付きの小さなローラーは本当に好ましい。走行中に、ほとんど視線を落とさず操作できるのは言うまでもないことだ。650psオーバーを扱いながら操作するとなれば、その使い勝手はじつに役に立つ。
ワイドなトランスミッショントンネルにはシンプルなボタンが並び、走行関係の主な要素を調整する。ほかより大きな長方形のボタンは、ギアボックスをマニュアルモードに入れるためのものだ。
ステッチやマテリアルなど質感は高いが、ずんぐりしたギアセレクターなどの例外もある。テスト車は、キーフォブが車内にあるのを認識しそびれることがあった。ブレーキを踏み込んでからボタンを押してエンジンを始動する前に、必要な過程なのだが。
アストンは、電気系の信頼性を大幅に高めてきた。しかし、おそらくはまだ、ポルシェ911ターボSなどにはないような不具合も残っている。ディスプレイにはエラーメッセージが光ることもあり、そのどれも重大なものではない。
ドライビングポジションはストレートで低く、シートはサポート性と快適性をほどよく兼ね備えている。これまでヴァンテージはウインドウラインが高く、シートは比較的車内寄りに設置されてきたので、実際よりワイドで扱いにくく感じてしまう。これは諸刃の剣で、このアプローチは力強く踏ん張った感じも生む。いったん慣れてしまえば、否定しようのないこの手のクルマらしさを楽しめる。
走り ★★★★★★★★★☆
控えめなスロットルペダルのトラベルを思い切って深めに使ってみると、なぜアストンがリアタイヤ幅を295mmから驚くほどワイドな325mmに増すのが必要だと思ったかがわかるはずだ。
ここで取り上げているのがミドシップスーパーカーではなく、比較的に見ればジュニアクラスで、フロントのドライブシャフトを持たないGTスポーツであることを考えれば、ヴァンテージの直線パフォーマンスには、時たまうろたえさせられる。
2速での64−97km/hが1.2秒、また3速での97−129km/hが1.5秒というのは注目に値する。ここでは、路面へ叩きつければいつでも、乗員をシートバックへ激しく押しつけるのに十分なパワーとトラクションを備えたクルマを扱っている。もっとも驚異的で、このエンジンのとんでもない懐の広さを感じさせるのが、48−113km/hを4速固定で4.2秒というタイム。これはポルシェ911ターボSを0.7秒凌ぎ、DBSスーパーレッジェーラより0.1秒遅いのみだ。ポジショニングからすれば、まさしくポケットロケットと呼ぶにふさわしい。
スタンディングスタートは、公道走行とはさほど関連がない項目だが楽しい。新型はソフトウェアの新たなマッピングを得て、発進時のスリップ具合はアジャスタブルトラクションコントロールシステムで調整できる。レベル5に設定したときが、結果はベストだった。0−97km/hが3.5秒というのは十分速いが、DCTほど元気でダイレクトなダッシュではない。
0−161km/hは7秒フラットで、信じ難いがDBSスーパーレッジェーラより0.3秒速かった。そうは言っても、変速ありなら、四輪駆動のポルシェがどちらのアストンとも別次元の速さを見せ、5.7秒をマークする。
このAMG由来のV8は、主観的な魅力もあふれんばかりだ。173ps/Lという比出力はかなり高いが、それと引き換えに低回転でのターボラグはそこそこある。それを気にするテスターはおらず、ヴァンテージの独自性に付け加えられたおまけ程度に感じていた。低~中程度のスロットル負荷では、ドライバビリティをまったく損なわない。
ショート化したギアリングも、このヴァンテージをより楽しいロードカーにしている。ただし、シフトクオリティは一定せず、とくにシフトダウンでその傾向がある。このトルクコンバーターATは、瞬間的に近いほど楽にシフトし、ゆったり走るのも簡単だ。
しかし、低速ではときどき駆動系の反動や、ダウンシフト操作に対する作動のわずかな遅れが出る。それがフラストレーションの種になったり、多少ながらパワートレインの魅力を翳らせたりしかねない。そのいっぽうでV8エンジンは、レッドラインの7000rpmまで、驚くほど元気に回ってくれるのだが。
また、これはおそらく、AMGユニットを積んだ中ではもっとも付き合いやすいアストンだ。エキゾーストにはモードが3つある。最初は気にならないくらいかすかで、次は穏やかな轟きと小さな唸りを発し、その上は、オーバーランして凶悪なエキゾーストの破裂音が出なくても大騒ぎでとげとげしい。
もちろん、それらをすべて使い切る必要はない。おすすめの設定のひとつが、ダンパーは俊敏さを中庸にし、パワートレインはレスポンスを高め、エキゾーストノートはもっとも抑えたモードにする組み合わせだ。お気に入りの設定が見つかったら、走行モードのインディヴィデュアルにセーブしておける。
制動系については、鋳鉄かカーボンセラミックのブレーキディスクが選べる。ディスク径は、どちらもフロントが400mm、リアが360mmだ。どちらを選んでも、ペダルフィールは従来より硬くなっている。カーボンセラミック仕様のテスト車は、高速からのブレーキを繰り返しても深刻なフェードが出ることはなかった。
テストコース ★★★★★★★★☆☆
現状、ヴァンテージは基本的に、純粋なロードカーとGT3レースカーがあり、その間を埋めるような存在はない。われわれは、アストンが遠からず、ポルシェ911GT3対抗モデルを投入するとみているが。
今のところ、今回の標準モデルでもサーキット走行は楽しい。ESPとトラクションコントロールを完全に切れば、おそらくは新車で買える中でもっともスロットルでのアジャストが効くクルマになる。多少の荷重移動で、ドラマティックなテールスライドに持ち込めない速度域はどうやらなさそうだ。
みごとなのは、後輪の滑り出しが素早いわりには、それを捉えてバランスを取るのはとくに難しくはないこと。そこは、よくできた点だ。もちろん、新しいマルチステージ式トラクションコントロールを使うこともできるし、ウェットサーキットではそれが真価を発揮する。セッティングや介入のレベルによって明らかに差があるだけでなく、その介入が自然で、ヨーが小さくても大きくても、走りの勢いを衰えさせずに、自信を持ってドライブさせてくれる。
Rの小さいコーナーを抜ける際には、e−デフが、ロックアップして81.6kg-mものトルクを抑えようとするにつれて、奇妙で目立つ音を出す。われわれは好みだ。
しかし最終的に、今回のテスト車はサーキットマシンではなく、注意すべき点がある。まず、ブレーキは強いが、速度調整をしようとすると精密さが足りない。次に、ロードカーとしては分別ある微かなアンダーステア傾向が、楽なターンインを妨げる。さらに、ちょっと重すぎる。ただし、ワイルドで楽しい。
操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆
ヴァンテージはトランスアクスルレイアウトにより、完璧に50:50の前後重量配分を実現した。フロントエンジンのパフォーマンスカーとしては珍しい。それは、誰の尺度でも非常に優れているといえるハンドリングの基礎となっている。新型ヴァンテージは、フロントアクスルに自信を持って頼ることができ、テールは比較的簡単に流すことができる。どちらも気分次第だ。
従来モデルにはなかったニュートラルさがあり、改善された構造部の剛性が利益をもたらしているのは明らかだ。従来モデルにあったスロットルでのアジャスト性はそのままに、ときとしてトゲトゲしく、予想できずにブレークする挙動はきわめてわずかに抑えた。自由に操れるクルマになっている。
そして、楽しく走れるはずだ。フェラーリ・ローマほどターンインは楽ではなく、ポルシェ911ターボほどアキュラシーは高くないが、グリップが効いて直観的な方向変換に関しては、どちらのライバルにも負けないほどなめらかだ。アジリティも不足はない。パワートレインは、ショート化されたファイナルによって元気さが増している。
固定レシオのステアリングは、ギア比が13.1:1から12.8:1へとわずかに変更したが、違いがはっきりわかる。この変更を活用するのに必要なコントロールをすべてもたらすのが、新たなビルシュタインDTXダンパーだ。かなりの荷重移動を、ボディがステアリング入力とシンクロしなくなることはめったにないようなレベルのコントロールで、しなやかに支える。その結果、生まれるのは自信だ。このクルマは速く走りたがり、ドライバーにそれを実現させようとしてくれる。
どの程度が昔ながらのエンジニアリングによるもので、それを6D−IDUと銘打たれた新たなダイナミクスのコントローラーがどの程度支えているのか、気になるところだ。e−デフやトルクベクタリング、ABSやESPは全体に配置されたセンサーや、6軸加速度センサーから常に情報を得ている。何が起きても、ヴァンテージにはパワーをスムースかつ見たところ有機的にパワーを路面へ伝える。
もちろん、思い切り乱暴に走らせれば、ヴァンテージはそれに応えてくれる。しかし、ロードカーとしての安定感と速さのポテンシャルは、これまでのアストンにはなかったものだ。
気になるのは、ステアリング越しのフィードバックだ。もう少し精度が高くてもいいのではないだろうか。また、フェラーリ812スーパーファストのように、ダッシュボード下まで食い込むような位置にエンジンが積まれていたら、ターンインで瞬間的にノーズヘビーからくる慣性を感じさせることがなくなっていたかもしれない。
快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆
ヴァンテージは、一日中乗っていても苦ではないクルマなのがうれしい。アストン・マーティンのエントリーモデルがスポーティさのレベルアップを図ったとはいえ、それでもこれはラグジュアリーなフロントエンジンGTなので、長距離走行でのマナーは必要だ。それが足りなければ、かなりのマイナス評価となっただろう。
まず、運転関連のエルゴノミクスが優れている。背の高いドライバーでも、ショートアーム・ロングレッグのトラディッショナルなポジションを取ることが可能だ。シート自体の形状もよく、サポート部がしっかり張り出していながら、それほど邪魔にならない。
視認性は、この手のクルマとしては良好だが、はじめて乗るとやや気圧されるところはある。スカットルが高く、ボンネットが長く、四輪の位置が把握しづらい。ただし、すぐ慣れてしまう程度だ。
乗り心地は思いのほか良好。アストンによれば、ダンパーがプライマリーライドもセカンダリーライドもうまく処理するというが、それは実感できた。もっともソフトなスポーツと、もっとも過激なトラックとのパラメーターにはかなりの開きがあるものの、どちらを選んでもふらふらしたり、骨まで響くほど不快に硬かったりして、このクルマに合わないと思わされることは決してない。ほぼいつでも、上々のはたらきを見せてくれる。おみごとだ。
静粛性は興味深い。113km/hでは73dBAで、従来モデルと同じ。かなりうるさかったポルシェ911ターボSの74dBAとも大差ない、とくに静かではない数字だが、ヴァンテージのノイズは乗員を疲れさせるような性質ではない。テスト中には1日で600km以上走ることもあったが、走り終えてもかなりスッキリした気分でいられた。
購入と維持 ★★★★★★★★☆☆
新型ヴァンテージには、生産台数の少ない大排気量GTに一般的な注意事項がすべて当てはまる。16万5000ポンド(約3168万円)という本体価格は安くないし、先代は6年前の登場とはいえ12万900ポンド(約2321万円)だったことも見落とせない。しかも、エンジンやギアボックス、サスペンションといった主なメカニズムは基本的にキャリーオーバーなのだ。
同時に、このクラスは急騰しており、ヴァンテージより速いがスター性では劣るポルシェ911ターボSは18万6916ポンド(約3589万円)、フェラーリ・ローマは18万5975ポンド(約3571万円)となっている。それらを考えれば、ヴァンテージの価格はリーズナブルで、AMG GT 63よりちょっと高いだけだ。ただし、ライバルたちは形だけでも後席が備わる。
残価については、適切に使っていれば3年後で新車価格の半分程度と予測される。それほどひどいパーセンテージではないが、金額を考えるとなかなか手痛い損失だ。
全開にしたときの燃費の悪さもなかなかのもの。73Lと大容量の燃料タンクにより、高速道路でとくにトラブルがなければ800km程度の航続距離も望めるが、テストコースでは2.3km/Lだったことからもわかるように、ブーストを効かせまくるとすぐにガス欠だ。
B級道路では5.3km/L程度だろう。これは批判より注目に値する数字だ。なにしろ、ベーシックな仕様でも700ps近いエンジンで、320km/hに達するクルマなのだから。
スペック
レイアウト
ヴァンテージはトランスアクスル式ギアボックスを踏襲し、楽しませてくれるソリのような限界ハンドリングと、完璧に50:50の前後重量配分を実現した。
アルミモノコックシャシーは、先代より剛性をアップ。フロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンクのサスペンションは維持。e-デフはGKN製だ。
エンジン
駆動方式:フロント縦置き後輪駆動
形式:V型8気筒3892ccツインターボチャージャー、ガソリン
ブロック・ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ83.0×92.0mm
圧縮比:8.6:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:665ps/6000rpm
最大トルク:81.6kg-m/2750-6000rpm
エンジン許容回転数:7000rpm
馬力荷重比:398ps/t
トルク荷重比:48.8kg-m/t
エンジン比出力:173ps/L
ボディ/シャシー
全長:4495mm
ホイールベース:2705mm
オーバーハング(前):925mm
オーバーハング(後):865mm
全幅(ミラー含む):2120mm
全幅(両ドア開き):3710mm
全高:1275mm
全高(テールゲート開き):1990mm
足元長さ(前席):最大960mm
足元長さ(後席):最大-mm
座面~天井(前席):最大1130mm
座面~天井(後席):-mm
積載容量:235-346L
構造:アルミモノコック
車両重量:1670kg(乾燥重量・公称値)/1745kg(実測値)
抗力係数:-
ホイール前/後:9.5Jx21/11.5Jx21
タイヤ前/後:275/35 ZR21/325/30 ZR21
ミシュラン・パイロットスポーツS 5 AML
スペアタイヤ:なし(タイヤ修理キット)
変速機
形式:8速AT
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
1速:4.71/9.5
2速:3.14/14.2
3速:2.11/21.1
4速:1.67/26.7
5速:1.29/34.4
6速:1.00/44.6
7速:0.84/52.9
8速:0.67/66.5
最終減速比:3.03:1
燃料消費率
AUTOCAR実測値:消費率
総平均:8.1km/L
ツーリング:10.1km/L
日常走行:9.5km/L
動力性能計測時:2.3km/L
メーカー公表値:消費率
低速(市街地):-km/L
中速(郊外):-km/L
高速(高速道路):-km/L
超高速:-km/L
混合:8.2km/L
燃料タンク容量:66L
現実的な航続距離:594km(平均)/737km(ツーリング)/695km(日常走行)
CO2排出量:274g/km
サスペンション
前:ダブルウィッシュボーン/コイルスプリング、アダプティブダンパー、スタビライザー
後:マルチリンク/コイルスプリング、アダプティブダンパー、スタビライザー
ステアリング
形式:電動機械式、ラック&ピニオン
ステアリングレシオ:12.8:1
ロック・トゥ・ロック:2.3回転
最小回転直径:12.0m
ブレーキ
前:400mm通気冷却式カーボンセラミックディスク、6ポット
後:360mm通気冷却式カーボンセラミックディスク、4ポット
制御装置:ABS、EBD
ハンドブレーキ:電動、全自動
静粛性
アイドリング:57dBA
全開時(4速):96dBA
48km/h走行時:65dBA
80km/h走行時:69dBA
113km/h走行時:73dBA
安全装備
DSC/ABS/EBD/EBA/TC/HBA/AEB/FCW/TSR/LKA/LDW/RCTA
Euro N CAP:テスト未実施
乗員保護性能:成人-%/子供-%
交通弱者保護性能:-%
安全補助装置性能:-%
発進加速
テスト条件:乾燥路面/気温22℃
0-30マイル/時(48km/h):1.7秒
0-40(64):2.3秒
0-50(80):2.9秒
0-60(97):3.5秒
0-70(113):4.3秒
0-80(129):5.1秒
0-90(145):6.0秒
0-100(161):7.0秒
0-110(177):8.1秒
0-120(193):9.5秒
0-130(209):11.0秒
0-140(225):12.7秒
0-150(241):15.1秒
0-160(257):17.5秒
0-402m発進加速:11.4秒(到達速度:213.2km/h)
0-1000m発進加速:20.2秒(到達速度:271.0km/h)
ライバルの発進加速ライバルの発進加速
ポルシェ911ターボS(2022年)
テスト条件:乾燥路面/気温24℃
0-30マイル/時(48km/h):1.1秒
0-40(64):1.5秒
0-50(80):2.0秒
0-60(97):2.5秒
0-70(113):3.2秒
0-80(129):3.9秒
0-90(145):4.7秒
0-100(161):5.7秒
0-110(177):6.9秒
0-120(193):8.0秒
0-130(209):9.4秒
0-140(225):11.2秒
0-150(241):13.1秒
0-160(257):15.2秒
0-402m発進加速:10.4秒(到達速度:218.7km/h)
0-1000m発進加速:19.0秒(到達速度:276.5km/h)
中間加速
20-40mph(32-64km/h):1.4秒(2速)/2.4秒(3速)
30-50(48-80):1.2秒(2速)/1.7秒(3速)/2.4秒(4速)/3.6秒(5速)
40-60(64-97):1.2秒(2速)/1.4秒(3速)/1.9秒(4速)/2.7秒(5速)/4.4秒(6速)
50-70(80-113):1.4秒(3速)/1.8秒(4速)/2.3秒(5速)/3.5秒(6速)/5.1秒(7速)
60-80(97-129):1.5秒(3速)/1.8秒(4速)/2.3秒(5速)/3.3秒(6速)/4.4秒(7速)/8.4秒(8速)
70-90(113-145):1.6秒(3速)/1.9秒(4速)/2.4秒(5速)/3.2秒(6速)/4.1秒(7速)/7.2秒(8速)
80-100(129-161):2.0秒(4速)/2.4秒(5速)/3.2秒(6速)/4.0秒(7速)/6.6秒(8速)
90-110(145-177):2.1秒(4速)/2.6秒(5速)/3.4秒(6速)/4.2秒(7速)/6.7秒(8速)
100-120(161-193):2.7秒(5速)/3.6秒(6速)/4.5秒(7速)/6.8秒(8速)
110-130(177-209):2.8秒(5速)/3.8秒(6速)/4.8秒(7速)/7.3秒(8速)
120-140(193-225):3.1秒(5速)/4.2秒(6速)/5.0秒(7速)
130-150(209-241):4.0秒(5速)/4.5秒(6速)/5.5秒(7速)
ドライ制動距離
テスト条件:乾燥路面/気温22℃
30-0マイル/時(48km/h):8.0m
50-0マイル/時(64km/h):21.4m
70-0マイル/時(80km/h):41.7m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:2.34秒
ウェット制動距離テスト条件:ウェット路面/気温22℃
30-0マイル/時(48km/h):10.6m
50-0マイル/時(64km/h):28.1m
70-0マイル/時(80km/h):56.2m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:3.52秒
結論 ★★★★★★★★★☆
ヴァンテージは、強烈なパワーとパフォーマンスが際立っていながら、ただのV8モンスターではない部分がたくさんある。一例を挙げるなら、明らかにステップアップした運動性だ。従来モデルより落ち着きがあり予測できる動きになり、興奮度合いはドライバー次第だ。
同時に、長距離走行のマナーは適切で、ラゲッジスペースは広い。スポーツカーでありながら、GT的な魅力もふんだんにある。インテリアのハイテク関係も大幅に改善された。驚くほど守備範囲が広く、しかも好ましいクルマになった。
担当テスターのアドバイス
リチャード・レーンテスト場のオーバルコースをアウトバーンに見立て、176~241km/hでの燃費テストを行った。平均速度は193km/hだ。結果は3.8km/L。911ターボSとの価格差は2万ポンド(約384万円)以上あるが、ドイツで前回走行を繰り返していたら燃料費でその差が埋まりそうだ。
マット・ソーンダースナビはWhat3Wordsが内蔵されていた。このアプリは地表を3平方メートル単位のブロックに区切って座標を決め、3単語のコードを与える。既成概念を覆すような使いやすさだ。
オプション追加のアドバイス
アストンのカラーバリエーションはこのところ広がりを見せ、シルバー系やグレー系以外にも豊富な色合いが用意されている。一番のおすすめは1959レーシンググリーン。また、テールゲートにうまく取り付けできる傘は、役に立つアイテムだ。
改善してほしいポイント
・低速域でときどき起こるドライブラインの反動をなくしてほしい。
・アナログメーターを戻してほしい。この手のクルマには、そのほうが似合う。
・カーボンセラミックブレーキのスキール音をなくしてほしい。
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