ドライバーを魅了するロータリー・スポーツ
美しいスタイリングで身を包み、ドライバーを魅了する操縦性を備えたスポーツカーが、英国では2000ポンド(約32万円)程度の価格から探せる。しかも、8300rpmまで吹け上がるロータリーエンジンを積んだ、4シーター・モデルを。
【画像】圧縮比は要確認 RX-8 ロータリーのコスモとルーチェ、MX-30 現行ロードスターも 全119枚
マツダRX-8は、英国では驚くほど低い価格帯で取り引きされている。ただし、それには訳がある。
RX-8は素晴らしいスポーツカーだ。低く短いボンネットには、1.3Lのツインローター・ロータリーエンジンが収められ、英国仕様では200psと230psという2段階の最高出力が設けられていた。
200ps版でも不足なく速い楽しいが、230ps版なら0-100km/h加速を6.4秒でこなし、最高速度は234km/hに届いた。エンジンはコンパクトで、コクピット側の低い位置へ搭載することで、50:50の前後重量配分を叶えていた。
トランスミッションは、出力の低い方では5速、高い方には6速のマニュアルを設定。リミテッドスリップ・デフを介して、リアアクスルを駆動した。サスペンションは、フロントがダブルウイッシュボーン式で、リアがマルチリンク式となる。
車重も軽く、腕利きのドライバーはシャープなステアリングと懐の深いシャシーを堪能できた。加えてリアドアが備わり、一家でのドライブすら楽しめた。
リアシート側の空間は少々狭いものの、子供なら充分。着座位置は低く、インテリアの仕立ても悪くなく、高い訴求力を備えていた。
耐久性や経済性が現在の価値に影を落とす
RX-8は2008年にマイナーチェンジし、ボディ剛性が向上。スタイリングに手が加えられ、ビルシュタイン・ダンパーを獲得し、サスペンションは若干タイトに。ギア比がショート化され、エンジンもトルクアップ。動力性能が高められている。
その2年後、2010年に英国では販売が終了。RX-8の生産は2012年まで続いている。
ただし、大きな魅力を生んでいるロータリーエンジンは完璧ではない。燃費は褒めにくく、日常的な条件では7.0km/L前後と考えていい。エンジンオイルの消費量も多い。
低回転域ではトルクが細いことも、覚えておきたい。大人4名で市街地を走っていると、ハンドブレーキを掛けたままかと勘違いするほど、出だしはもたつく。
甘美に回るローターは、内部の圧縮比を維持するシール構造が摩耗しやすい。ロータリーエンジンの耐久性や経済性が、現在の価値に影を落としている。とはいえ、個性的な内燃ユニットとして、クルマ好きを惹き付ける存在であることも事実だ。
NSU Ro80やシトロエンGS Biなど、ロータリーエンジンを搭載したモデルは他社にも存在した。だが、現在まで生き残らなかった理由は、トラブルに依るところが大きい。
とはいえ、冒険してみるのも悪くないだろう。購入前に整備記録と圧縮比を確認すれば、ハズレを引く可能性は減る。走行距離は短い方が安心だ。
試乗で不自然な印象だったり馬力が足りないと感じたら、違う車両を探したい。ガソリンとエンジンオイルのために、多めのお小遣いも確保しておきたい。
新車時代のAUTOCARの評価は
RX-8のようなモデルの場合、好印象な側面が多いにも関わらず、そうではない部分に目がゆきがち。加えて、RX-8には相反するような印象も混在してもいる。それでも魅力的なモデルだ。
パワートレインは優れているが、本来のパフォーマンスを引き出しにくい。スポーツカーながら、シャシーは低い速度域を好む。よく作り込まれたインテリアだが、ドライバーは少々居心地が悪い。
いくつかの妥協も求められる。しかし本当のクルマ好きには、訴求力の高いオーナー体験を与えてくれるはず。(2003年9月16日)
購入時に気をつけたいポイント
エンジン
ピストンリングに相当する、ローターのシール部分が弱点。致命的な故障につながるため、圧縮比の確認は忘れずに。定期的なメンテナンスで、不具合は防げる。
英国の場合、RX-8のエンジンの半数は8万km未満でオーバーホールか交換が必要になった、というレポートもある。しかし、メンテナンスを怠らなければ16万km以上耐えるようだ。エンジンオイルの補充は1600km毎に必要だという。
外気が寒くても暑くても、2秒以内に始動するのが正常。試乗ではアクセルペダルを丁寧に傾け、パワーが落ち込むフラットスポットや、異音や振動が発生しないか確認したい。
低回転域で油圧が落ちると、エンジンのハウジング部分に取り付けられているステーショナリーギアの摩耗が進行し、リビルドが必要になる。内部にカーボンが蓄積しやすく、短時間の走行を繰り返すことも好ましくない。
電気系統
シートヒーターは、サイドボルスター部分のみが暖かく感じられる。ラジエタークーラントのレベルセンサーは故障しがちで、メーターパネルの警告灯を灯す。点火コイルが交換されていない場合は、予防的に新調しておきたい。
サスペンション
アンチロールバーのリンケージがへたると、凹凸を越えた時にコツコツと異音が出る。交換はさほど難しくない。
リアのサスペンション・スプリングは、腐食し折れることがある。不自然に車高が落ちていないか確かめたい。フロントのロアアームは、英国ではリコールが出されている。
ステアリング
ステアリングホイールを切った時にコツコツという感触が伴う場合は、ユニバーサルジョイントの劣化。パワーステアリングのアシスト量が安定しない場合は、センサーの異常かも。ラジエターホースから漏れたクーラントがかかり、不調を招くことがある。
ブレーキ
長期間放置されていた場合などは、ブレーキキャリパーが固着しがち。ディスクのサビも確かめたい。ブレーキの交換はそこまで高くないため、予防的にリフレッシュしたい。
ボディ
初期のRX-8は錆びやすい。2006年式以降で、コンディションの良い例を探した方がベター。外からは見えない部分や、ホイールアーチの裏側などの状態も確かめたい。荷室のフロアやサブフレームも錆びやすい。
オーナーの意見を聞いてみる
クリス・ブース氏
「マツダRX-8のオーナーになって5年が経ちますが、とても気に入っています。走行距離は8万kmを少し超えた程度。地元の中古車店で購入したのですが、圧縮比の確認など、しっかり点検整備を済ませています」
「1オーナー車で、入念なメンテナンスが施されてきたようです。自分がRX-8に乗るのは、休暇時の長距離ドライブだけ。エンジンオイルの補充は欠かせません」
「このクルマで大きな問題だったのが、ボディのサビでした。事前に下回りやホイールアーチなど、入念に確認した方が良いでしょう。荷室のフロア部分も弱点です」
知っておくべきこと
初期のRX-8の場合、防音材の品質不良が原因で英国ではリコールが出されている。エンジンの振動を吸収する、ダイナミックダンパー周辺の部分が対象だった。
フロントサスペンションでもリコールが出されている。アームのジョイント部分が原因で、操縦不能に陥る可能性があった。
2003年から2004年にかけて製造されたRX-8では、排気系統のリコールも英国で報告されている。マフラー周辺の部品が溶け、排気熱が燃料タンクにダメージを与える可能性があるという。
プロドライブ社がチューニングを加えた、RX-8 PZが2006年に英国でリリースされている。ビルシュタイン・ダンパーとアイバッハのスプリングで車高が15mm落とされ、シャシーは強化。独自のエグゾーストも組まれているが、最高出力は変わらない。
英国ではいくら払うべき?
2000ポンド(約32万円)~3499ポンド(約55万円)
ディラーで下取りされた初期型のRX-8を英国では狙える価格帯。状態は慎重に確かめたい。
3500ポンド(約56万円)~5999ポンド(約95万円)
マイナーチェンジ後のRX-8を英国では探せる。230ps仕様のクルマも含まれる。圧縮比抜けということはないだろう。
6000ポンド(約96万円)以上
しっかりメンテナンスされてきた、走行距離が8万kmを切るようなRX-8が出てくる。それでも、整備記録は確かめたい。可能なら保証も付けてもらいたいところ。
英国で掘り出し物を発見
マツダRX-8 登録:2007年 走行距離:14万8000km 価格:2825ポンド(約45万円)
230ps仕様のRX-8。メタリックブルーの塗装にレザーシートなど、ふんだんなオプションが盛り込まれている。5オーナー車だが、メンテナンス記録はしっかり残っているという。車検も付いている。
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みんなのコメント
翻訳の間違いだと思いますが圧縮比ではなく圧縮圧力です。