■操ることが楽しかった、2001年発売のスポーツモデルたち
平成になってからクルマの高性能化が急激に加速しました。現行モデルでは日産「GT-R」やトヨタ「スープラ」などがありますが、乗りにくさは皆無で、むしろスマートなイメージです。
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一方、かつての高性能車というと荒削りで尖った部分が残っており、ドライバーにもそれなりの「腕」が要求されました。
そこで、21世紀が幕開けした2001年に発売された、スポーツモデル5車種をピックアップして紹介します。
●マツダ「RX-7タイプR バサーストR」
1978年にデビューしたマツダ「サバンナRX-7」は、リトラクタブルヘッドライトとロータリーエンジンをフロントミッドシップに搭載したスポーツカーとして、国内外で人気となります。
2代目、3代目とモデルチェンジがおこなわれるたびに本格的なFRスポーツカーに育っていきました。
1991年に登場した3代目となるアンフィニ「RX-7」は、世界で唯一のシーケンシャルツインターボロータリーエンジンを搭載する美しいボディのピュアスポーツクーペです。
「モーターのように回る」と評価されたエンジンと、新開発の前後ダブルウイッシュボーンサスペンション、軽量なボディにより、RX-7として完成の域に達していたと思われました。
しかし、RX-7の進化は止まらず、さらなる改良が進み、1999年には最高出力280馬力に到達します。7
そして、2001年8月に500台限定で発売された「RX-7タイプR バサーストR」は、車重1260kgで最高出力280馬力、最大トルク32.0kgmと、パワーウエイトレシオは4.5kg/psを実現。
メインフラップを4段階に調整可能な翼端板付きリアウイングや車高調整式サスペンションといった、特別なパーツも組み込まれていました。
現在では海外での人気が高いために輸出されることが多く、国内の中古車市場では値上がりが続いています。
●ホンダ「インテグラ タイプR」
1985年にデビューしたホンダ「クイントインテグラ」は、「シビック」よりワンランク上に位置するスポーティハッチバック/セダンです。
最高峰のエンジンはシビックと同じ1.6リッター直列4気筒DOHC16バルブで、「バラードスポーツCR-X」よりもマイルドでありながらシビックのような実用車っぽさがないことで、少しオトナの世代に受け入れられました。
1995年には3代目インテグラにサーキット走行を視野に入れたチューニングを施した「タイプR」が追加され、高く評価されました。
2001年にモデルチェンジされた4代目では、3ナンバー登録となるワイドボディとなり、タイプRにはVTECとVTCを組みあわせた2リッター直列4気筒エンジンが与えられます。
最高出力は220馬力、最大トルク21.0kgm、レッドゾーンが8500rpmからと高回転型で、車重1180kgの軽量なボディによりパワーウエイトレシオは5.36kg/psでした。
鋭いエンジン回転上昇と自然吸気ならではの心地良いスロットルレスポンスを実現し、6速MTを駆使する走りはスポーツカーそのもののフィーリングでした。
●日産「スカイラインGT-R M・spec」
いまから50年前の1969年に、S20型2リッター直列6気筒DOHCエンジンを搭載した初代日産「スカイラインGT-R」が登場しましたが、1973年に一旦スカイラインGT-Rの系譜は途絶えます。
そして、1989年に8代目スカイラインに2.6リッター直列6気筒ツインターボのRB26DETT型エンジンを搭載したスカイラインGT-Rが発売され、あらたな系譜がスタートします。
この直列6気筒エンジンを搭載した第2世代のスカイラインGT-Rは、10代目スカイラインまで続きます。
最終のBNR34型では、4輪マルチリンクサスペンション+アテーサE-TS4WDシステム、ヨーレイトフィードバック制御が追加された4輪操舵システムのスーパーHICAS、ゲトラグ社製6速MTやブレンボ社製ブレーキを採用するなど「最強のロードゴーイングカー」と呼ばれました。
2001年に追加された「スカイラインGT-R M・spec」は専用の本革シートやリップルコントロールショックアブソーバーを採用し、新しい走りと高質なテイストをもたせた新グレードであり、洗練された走行性能と乗り心地、質感の高いインテリアを実現。
エンジンスペックは標準グレードと変わらず最高出力280馬力、最大トルク40.0kgmでしたが、内外装のコンフォートなイメージを払拭する驚異的な走りを見せつけました。
■常に切磋琢磨してきた2台のハイパーセダン
●三菱「ランサーエボリューションVII」
かつて三菱を代表する高性能セダンだった「ランサーエボリューション」は、コンパクトセダン「ランサー」をベースに進化(EVOLUTION)させたシリーズです。
1992年に「ランサー1800GSR」に「ギャランVR-4」のエンジンと駆動システムを移植して登場した第一世代に始まり、世界のラリーフィールドでそのパフォーマンスを見せつけ、海外でも「EVO(エボ)」と親しまれているほどです。
2001年に登場した第三世代の「ランサーエボリューションVII」は「ランサーセディア」をベースとしたことで見た目は大人しそうに見えますが、4WDシステムやブレーキが進化し「走る・曲がる・止まる」の運動性能を向上させていました。
ランサーエボリューションVIIは、「GSR」グレードに3モードでセンターデフの差動制限を電子制御する「ACD」(アクティブセンターデフ)を初採用。リヤデファレンシャルギアの左右駆動力をコントロールする「AYC」(アクティブよーコントロール)も継承し、トラクション性能と旋回性能を高めています。
搭載されたエンジンは2リッター直列4気筒ターボ4G63型で、最高出力280馬力、最大トルク39.0kgmを発揮。車重は1400kgでパワーウエイトレシオは5kg/psとスカイラインGT-Rを凌ぎ、実際の加速性能もスカイラインGT-Rを上まわっていたといいます。
●スバル「インプレッサ WRX STi type RA specC」
1992年に登場したスバル「インプレッサ」は、「レオーネ」の後継車として発売された「レガシィ」が1クラス上位車種に移行するために誕生したコンパクトセダンです。
インプレッサは初代から世界ラリー選手権に参戦することを前提とし、レガシィと同じEJ20型エンジンを与えられた「WRX」をラインナップ。
1994年にはSTi(スバルテクニカインターナショナル)製コンプリートカー「WRX STi」を追加ラインナップするなど、「インプレッサ=スポーツセダン」というポジションを確立します。
2000年にモデルチェンジされた2代目でもWRX STiが設定され、吸気側に「AVCS」(可変バルブタイミング機構)を採用したエンジンと、強化されたサスペンションにより運動性能が向上。そして、2001年末にはモータースポーツ仕様ともいえる「WRX STi type RA specC」を追加しました。
WRX STi type RA specCは2リッター水平対向4気筒ターボEJ20型エンジンを搭載し、最高出力280馬力、最大トルク40.2kgmを発揮。このパワーを「VTD-4WD」(不等&可変トルク配分電子制御4WD)により路面に伝達し、徹底した軽量化により車重1350kgからパワーウエイトレシオは4.82kg/psと、ライバルのランサーエボリューションのさらに上を行っていました。
※ ※ ※
2001年にデビューした高性能車は、すでに高度な電子制御化が進んでいましたが、MTを駆使したドライビングなど操る楽しみは残っていました。
単にスピードを追い求めればDCTのほうが優れているでしょうが、あくまでも公道で乗ることを考えると、いまの高性能車のスペックや装備では、逆に退屈になってしまうのではないでしょうか。
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