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【2023年末で生産終了】ラーダ・ニーヴァへ試乗 約50年生きたソ連の英雄 前編

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【2023年末で生産終了】ラーダ・ニーヴァへ試乗 約50年生きたソ連の英雄 前編

1977年の登場以来ほぼ形態は変わらず

執筆:Felix Page(フェリックス・ペイジ)

【画像】無骨さが魅力 ラーダ・ニーヴァ 英国で売られる実務主義的オフローダーたち 全111枚

撮影:Luc Lacey(リュク・レーシー)

翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)


今回の試乗は、いつもと違う。ステアリングを握ったのはラーダ・ニーヴァ。ご存知ない読者もいると思う。現代の自動車市場にあって、誰しもへオススメできるモデルではないことは、予めお断りしておこう。

驚くことに、ラーダ・ニーヴァは1977年の登場以来、ほとんど形態を変えずに生産が続けられている。これほど装飾的な要素を持たない実用車は、今後も作られることはないだろう。

多くの量産車は販売数を稼ぐため、数年おきに技術をアップデートし、エネルギー効率を高め、見た目が一新されている。それを当たり前のことだと、多くの人が考えているだろう。筆者もそうだ。

しかしニーヴァは違う。手頃な価格と耐久性、優れた走破性能で長年の支持を維持してきた。それでも過ぎる月日には勝てなかったようだ。プロトタイプの完成から50年近くが経過し、生産終了のXデーが近づいている。

最近われわれは、BMW i8やマクラーレン570S、初代トヨタGT86といった優れたモデルとの惜別を迎えた。ロシア生まれのニーヴァは英国では1996年以降、正規輸入されていない。でも筆者は、同じ気持ちでいる。

農業機械のような四輪駆動車を生産するために存在してきた、ラーダというブランド。少なくとも耐久性に関しては、ニーヴァは現代の魅力的なオフローダーと肩を並べる水準にあるといえる。

シベリアの大地が前提の高い実用性

ラーダ・ニーヴァがわれわれの目の前に姿を表したのは、1978年のパリ自動車ショー。スウェーデンのアバが、ポップミュージックのチャートを賑わしていた頃だ。ラーダの拠点は、まだソビエト連邦と呼ばれる国にあった。

当時の欧州でも、ニーヴァのターゲット市場は広いものではなかった。純粋に機能優先のオフローダーで、ドライバーの運転する楽しさや燃費、直線スピードは、殆ど追い求められていなかった。

ニーヴァが前提としたのは、永久凍土がすぐ近くに迫るような、麦畑が広がるシベリアの大地。ブラジルの平原の、ゴツゴツとした岩場も得意としていたはず。大都市の高速道路網や目抜き通りの移動に耐えられないとしても、当然ではあった。

似たような辛口の評価は、初代ランドローバー・ディフェンダーやジープ・ラングラー、メルセデス・ベンツGクラスへも過去には当てはまっただろう。しかし今では、オンロードとの相性が良い、プレミアム志向の都会派モデルへと進化している。

もちろんそれらも、長い歴史に裏付けされた、秀でたオフロード性能を変わらず備えている。しかしクルマの訴求力としては、3分の1程度を占めるに過ぎないと思う。

ニーヴァは40年以上、最優先事項として実用性を1番に掲げてきた。クロムメッキもアルカンターラもない。手頃な価格を維持し続けている理由でもある。

レトロで渋い雰囲気の車内

英国には、ニーヴァの輸入代理店がロンドン東部にあり、2021年モデルを購入することができる。だからといって、英国製の最新SUVに並ぶドライビング体験は期待しないで欲しい。

試乗車としてお借りしたニーヴァには、ステレオユニットが付いていなかった。実用主義を強く表す部分だと考えよう。

外観を眺めると、ボディの四隅でクルマを支えるコイルスプリングがよく見える。ボディパネルは、驚くほど薄い。ダッシュボードは質素で、センターコンソールと呼べる部分は殆どない。デフロックとトランスファーの実務的なシフトノブが伸びている。

ダッシュボードの裏側で活躍するコンピューターと、大きなタッチモニターが当然になったような現代のモデルに慣れていると、意表を突かれる。古臭いともいえるが、レトロで渋い雰囲気がないわけでもない。

基本設計が古いクルマらしく、固有の癖も存在する。長いシフトレバーは、普通に運転席へ座っていると1速と3速が前に遠すぎる。ウインカーとハイビームのレバーは、辛うじてステアリングコラムにくっついている感じ。設計者の意図通りなのだとは思うが。

エンジンを始動する鍵と、ドアをロックする鍵とが別にある。盗難にあったわけではない。車内が暑く感じてエアコンをかけると、目に見えてエンジンのパワーが食われる。

日常的な移動距離であれば、想像するほど運転が難しかったり疲れることはない。パワステもパワーウインドウも付いている。ウインカーは直進状態になると、自動で消える。

この続きは後編にて。

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